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RF1の幻のサラダ「ヤッポ」

RF1(アールエフワン)というサラダ屋をご存じだろうか。
デパ地下とかにある、いろんなサラダとか揚げ物を量り売りしてくれる店である。
かなりどこにでもあるのでググッたら誰でもわかると思う。
絶対わかるから!!騙されたと思って一回ググってみて!な!!頼むって!!

サラダだけでも常時28種類の商品が取り揃えられている。
これはすごいことだぞ。野菜を組み合わせただけで28個もパターンを編み出せるのか。
その28パターンが全部商品開発会議を経てきている「選りすぐり」達なのもすごい。
大いなる企業のパワーを感じる。

「デンマークを味わうサラダ ニシンのマリネとカレー香るタルタルソース」とか、もうそれはサラダじゃなくて総菜カテゴリだろ。

RF1には長年レギュラーの座を守り続けている「野菜たっぷりポテトサラダ」という商品がある。
スタンダードなポテトサラダのように「あたり一面の芋!!!!」というタイプではなく、ざっくりマッシュしたポテトとたくさんの具材を一緒に食べるスタイルのようだ。
元従業員の知人曰く、マヨネーズ不使用らしいのでいずれ食べてみたい。

さて、この「野菜たっぷりポテトサラダ」、従業員の間で密かに語り継がれている愛称があるらしい。

その名も「ヤッポ」である。

さいたぷりてとさらだ」だ。

こうやって、本来の名称が長くて呼びにくい場合にかなり雑な方法で略しはじめ、あっという間に浸透する現象はどこの職場でもあるあるだと思う。
よくあるのは「ローストビーフ」を「ロービー」とかだ。

しかしこの「ヤッポ」、全従業員の間で通じる代物ではないらしい。
元従業員(勤務していたのは10年以上前)の知人が言うには、

・「ヤッポ」は社員のうち特定の人か、朝帯のシフトに入っていた厨房の人だけが使っていた
・その当時はポテトサラダが2種類あり、どちらか特定するために片方を「ヤッポ」と呼び始めた。

とのこと。

「ヤッポ」という略称、妙に中毒性があると思わないだろうか。

私はあるとき知人がおもむろに「昔バイト先で野菜たっぷりポテトサラダのことをヤッポと呼んでいた」と話し始めたとき、
その絶妙な語感にその場で笑い転げ、あれから2年以上たった今でも定期的に「ヤッポ、か・・・。」と思ってしまう。

ここまで耳と心に残る単語が、RF1従業員のうちどこまで浸透しているのかが気になる。

知人の情報から、浸透具合はそこまで高くはなさそうだ。
当時からこの略称を使っていた人は少ないようだし、この略称の生まれた経緯を見るに、メニュー上でポテトサラダが重複していた時期の長さにも左右されそうだ。
場合によっては知人が勤務していた店舗のみで使用されていたガラパゴス言語の可能性もある。

2013年のツイートが発掘された。
これは時期的にも知人がバイトしていた頃と被っている。
ツイッターの情報だけではこの人がどこの店舗で働いてたとかまでは分からないが、プロフィールに「地元は新潟」とあるので、好意的にみて少なくとも2店舗でヤッポが使われていることは分かった。

こっちはつい最近のツイートだ!!

(前略)ヤッポはないんですね……」というとすっごい砕けた人がいきなりめちゃめちゃ丁寧になる。

上記の書きぶりからして、この人はどうやらRF1でバイト経験があり、さらにいくつかの店舗でさりげなく「ヤッポ」をちらつかせるカマかけに成功しているようだ。

・・・これは大きい収穫だ。
知人の話では「厨房の人だけ」の間で通じる単語であるヤッポだが、実際はフロントの人にも通じる場合はあることが分かった。

この人のツイートには続きがある。
「ヤッポ」だけではなく「デリポ」を使う人もいたようだ。
そして現代名は「フレポ」。

ヤッポが分岐し、そして世代交代している。
「昔の人」という書きぶりからして、この人が従業員として働いていた時期もかなり昔のようだ。

同様にYoutubeやGoogle検索も試してみたが、求めているような結果はこれ以上は得られなかった。

しかし、少なくとも2013年から今に至るまで、「ヤッポ」の略称は連綿と受け継がれているようである。

しらない職場の知らないローカルルールが静かに息づくさまを観測できた。

マヨネーズとドレッシング嫌いの私であるが、たまにはデパ地下に赴いてみようと思う。
そして伝えるのだ。


「カキフライを100gと・・・ええと、ヤッポ、じゃなかった。野菜たっぷりポテトサラダを100g・・・。あ、105gなら大丈夫です。」

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