見出し画像

『獣の奏者』主要登場人物の年齢まとめ

宇宮7号と言います。普段は絵を描いたり世界史の授業動画を作ったりしています。上橋菜穂子ファンです。

最近は青い空(SNS)で上橋作品について話しているのですが、そこで「守り人シリーズ」と『獣の奏者』の年齢考察をしたので、こちらにもまとめておきます。これで、「ジグロって何歳で死んだんだろう」とか「ジェシっていつ産まれたんだろう」とかいう疑問がふと湧いた時も大丈夫です。(謎需要)
(この記事は『獣の奏者』だけです。「守り人」は別です。↓)

細かく検討してみて気がついたのですが、多少のずれがあり、どうしても整合しない部分があります。その辺は多少曖昧にしたまま、年齢を考察します。

※各巻の呼称(省略する場合の表記)
『闘蛇』『王獣』『探求』『完結』『刹那』

0.前提条件

季節にまつわる植物や行事まとめ

冬(新年)
カザルム新年の休暇:冬。(『王獣』第六章2)
オチワ:新年の夜が明ける瞬間に真王がオチワを神々の山脈に向けて飛ばす。〈残った人々の谷間〉に辿り着くのは、「春も浅く、雪消え残るころ」

トォク:木。早春に、梢の先に白い花が咲く?(『探究』第一章1)
ツシ:春先に沢で採れる木の芽
サロウ:春の湖畔に咲く花。蜂蜜になる。
ノサン:春の野に咲く花。蜂蜜になる。サロウより少し遅く散るか。
フジャク:夏の高地に咲く花。カショ山の七合目に咲く。
サシャ:夏の高地に咲く花。カショ山の七合目に咲く。春に真王宮にも咲いている(『闘蛇』第三章3)ことから、本来は春の花である可能性がある。

カザルム入舎ノ試し:毎年夏(『闘蛇』第四章2)
カザルム夏ノ試し/卒舎ノ試し:毎年夏
秋(年度初め)
カザルム入舎:毎年秋
チミ:柑橘系の木。秋になると実が落ちる。実は蜜煮にする。


考察:『守り人シリーズ』でも『獣の奏者』でも、新年は冬です。これは我々の身近な世界にそろえる為かもしれませんし、一般的に冬を一年の始まりとする社会が多いからかもしれません。
冬至(一年で一番昼が短い)を太陽の滅びと生まれ変わりと認識し、新しい年を冬とするという考えに基づきます。


年齢に関わる文化や慣習まとめ

誕生日が存在する:『刹那』「初めての……」にてジェシの誕生日/『闘蛇』にてハルミヤの誕生日
女性の平均婚姻年齢は16-17:ジョウンは嫁ぐ時期を16.7頃と考えている(『闘蛇』第二章2)/アサンは14のエリンを、まだ嫁ぐ年ではないと認識している(『闘蛇』第四章1「年頃になったら」)/ソヨンが17歳でエリンを産んだのは特に珍しいことではない。(『探求』第一章6「十六で嫁に行く娘はたくさんいる」)
30弱は妻帯している頃(王族男性)
『闘蛇』第三章2「そろそろ三十に手が届く年であったが、まだ妻帯していない」(ダミヤ)


基準となる年齢まとめ

年代特定のために利用できる、作中で言及された年齢情報をまとめる。
作中の記述と噛み合わない点が多々あるが、本記事ではこの年齢設定を正として解釈する

エリン
開始時(春):10歳
カザルム入舎(春):14歳
リラン妊娠時(春):18歳

イアル
『探求編』(春):39歳

ジェシ
『探求編』(春):8歳

アル(リランの子)
交合時(春):17歳

この情報を基準に、
一部季節や年代特定のできない箇所や、整合性のとれない箇所について、妥当そうな解釈を探る。

『王獣編』〜『探求編』の期間について

『探求編』は『王獣編』の最後から「11年後」と書かれているが、『王獣編』の最後は晩夏、『探求編』の最初は初春なので、実際にはぴったり11年後ではなく、およそ10年半後と考えられる

◯以下、検討過程
アルの誕生から交合までが17年
『探求編』からアルの交合までが6年
(上記いずれも春なので確からしい)

アル誕生から『探求編』開始までちょうど11年
『王獣編』最後はアル誕生の半年後(後述)なので
『王獣編』最後〜『探求編』開始まで10年半

※補足:ここで11年半説を採用する場合、エリンとイアル、エリンとジェシの年齢差が一歳減る。

カザルムの学年と年齢について

カザルムが六年制とも取れる描写(『王獣』第六章5「六年間暮らした学舎から巣立ち」)という表現があるが、エリンの年齢や本編の展開等から計算すると、七年制の方が妥当

◯以下、検討過程
アル誕生から11年後に30歳を超えている描写があるので、アル誕生時は最低でも19歳。
アル誕生の一年前(リラン交合時)は18歳なので、アル誕生時は19歳と確定できる。
・『探求編』(春)は30歳以上(記載あり)
→アル誕生時(春)は19歳以上
・リラン交合時(早春)は18歳(記載あり)
・編入時(春)は14歳(記載あり)

14歳で3学年に編入し
18歳のリラン交合時はまだ生徒なので
3+4=7年

降臨の野の時期について

降臨の野の時期については、月が季節と合致しないためわかりづらいが、真王行幸と同じ年の晩夏くらいではないかと考えられる。

◯以下、検討過程
・真王行幸は「初夏ノ月」
・降臨の野での戦いは夏
・その間、季節が巡っているような描写はない
・真王行幸から降臨の野まで4ヶ月強(真王崩御後、シュナンが「四月後」に降臨の野で雌雄を決する旨を提案)

月と年の関係は特に明言されていないため、この世界の4ヶ月は地球換算で2-3ヶ月程度である可能性もある(もちろん誤植の可能性もある)。
いずれにせよ、
・真王行幸から降臨の野までひと夏の間に完結
・エリンは教導師1年目の年

◯補足
ラザル移送時「この高地に来て六年」というモノローグがあるが、
アルの年齢を考えても、アル誕生/真王行幸/降臨の野は同じ年に発生したと考えるのが妥当。
これも単純に誤植か、高地にきて“五年強”を“六年”と表現したかだと考えられる

(エリンは計算上晩春〜夏にかけて歳をとるので
この時期に誕生日が来ており
14(誕生日前)→20(誕生日後)だとすると
自分の年齢を単純に引いて「20-14=6」とするのは自然な思考)



1.基本:エリン、イアル、ジェシ

エリン
0歳:トハン郡(大公領の西の端)に生まれる
10歳春:〈牙〉の不審死〜ジョウンと出会う
10歳夏:カショ山で野生の王獣を目撃
14歳春:トッチの出産をする/ジョウンの息子が訪ねてくる/獣ノ医術師を志す
14歳晩春:リランと出会
14歳初夏:リランが餌を食べる
15歳秋:リランの牙で怪我をする/遺書を書く
18歳春:リランが孕む
19歳秋:カザルムを卒舎する
19歳春:リランの出産の世話をする
19歳初夏:闘蛇の襲撃から真王を救う
20歳夏:降臨の野
22歳初秋:ジェシを産む
30歳春:〈牙〉の調査に赴く/王獣軍を作ることを決める
32歳春:ジェシがユグラ火蟻に噛まれる
33歳:王獣たちが霧の列柱ノ岩場を飛ぶ
35歳:ジェシがカザルムに入舎する
37歳:ラーザとの戦いで死亡

※開始時は10歳春
 最初の数日間の間に
 牙の不審者/母の処刑/ジョウンとの出会いが
 立て続けに起こっている
※カザルムの学年について
・入舎ノ試しは夏に実施。受験者は12歳。
・新年度は秋。
・エリンは春に編入。編入時14歳。
・エリンは学年通りの中等二段に編入。
・中等二段は二年飛び級。三学年目にあたる。
→中等二段は、14歳-15歳か
※中等二段(14-15歳)に編入した春に14歳
 リランと出会った時は14歳と後に発言
 →誕生日は春の終わりから夏にかけて
  ここでは暫定的に初夏として計算する
※降臨の野の時は(不確定だが)20歳と解釈する



イアル
8歳夏
:地震で父を亡くす/〈堅き楯〉となる(『闘蛇』第三章1)
15-6歳:堅き楯の誓いの意味を悟る(『王獣』第八章6)
18歳冬:初めて刺客を殺す(『王獣』第八章7)
20歳:ヤントクと再会(『闘蛇』第三章1「再開したのは、それから十二年もたってからだ」)
23歳春先:真王の誕生日周辺(『闘蛇』第三章1)
23歳春:真王誕生日当日。真王の警護に入り、真王をかばって負傷する(『闘蛇』第三章3) /以後、疑念の調査を始める(『王獣』第六章1)
28(29)歳:降臨の野/堅き楯を辞する
30(31)歳:母死亡/息子ジェシ誕生(『刹那』)
39歳:探求編 闘蛇乗りとなる
45(46)歳:アマスルの戦い/エリン死亡
53(54)歳:闘蛇乗りを辞す(『完結』エリンの木)
67(68)歳:死亡(『完結』エリンの木「母の死後、父は二十二年生きた」)

※誕生日は不明
※『探求編』春時点で39歳と発言
 →ここでは春を基準に年齢を考える
※初登場時は20歳を超えている
 アニメ版では5歳差設定らしい(出典未確認)が
 原作では8-9歳差のようである
※降臨の野/ジェシ誕生日/アマスルの戦いはいずれも秋。誕生日が春-秋であれば()内の年齢



ジェシ
0歳
:初秋に生まれる(『刹那』「刹那」)
2歳:乳離れする(『刹那』「初めての……」)
8歳:探求編/父母の過去を知る
10歳:ユグラ火蟻に刺される/獣ノ医術師を志す(『完結編』第六章2-4)
12歳:カザルム入舎(『完結編』第六章6)
14(15)歳:アマスルの戦い/母を亡くす
27歳:平民向けの高等学舎の設立を願い出る
~36(37)歳:子をもうける
36(37)歳:父を亡くす

・ジェシは初秋生まれ 
・秋の最終決戦時、ジェシは14歳
・秋の最終決戦時、ジェシは中等二段
→12で受験し秋に入学したと考えると、中等二段に上がってすぐに15になる。
※アマスルの戦いは、ジェシの誕生日と同じ秋なので、前後関係は不明。誕生日が来ていれば15歳。
※イアルは孫を腕に抱いたことがあるので、それより前に結婚し子をもうけている。
※子が生まれた時、イアル死亡時はいずれも季節の言及がないので誤差有。



年齢比較

ジェシ誕生時
エリン:22歳
イアル:30-31歳(誕生日不明の為誤差1歳)
ジェシ:0歳

『探求編』
エリン:30歳※
イアル:39歳(言及あり)
ジェシ:8歳(言及あり)(季節的に8歳半)

アマスルでの戦い(エリン死亡)
エリン:37歳
イアル:45-46歳(誕生日不明の為誤差1歳)
ジェシ:14-15歳(誕生日前後のため誤差1歳)



2.真王:ハルミヤ、ダミヤ、セィミヤ、他王家、大公家周辺

ハルミヤ
3歳
:〈血と穢れ〉による襲撃で母を亡くす(『闘蛇』第三章2)
5歳:襲撃の後遺症で祖母を亡くす。即位(『王獣』第七章6)
60歳:真王誕生日(『闘蛇』第三章2)
64歳:カザルムへ行幸する→襲撃に遭い、翌日崩御(『王獣』第七章1-6)


ダミヤ
30歳弱
:真王誕生日
(『闘蛇』第三章2「そろそろ三十に手が届く歳であったが」)
四年後:カザルムに御幸/襲撃に遭う
同年:降臨の野にて死亡


セィミヤ
16歳
:真王誕生日(『闘蛇』第三章2)
16歳:シュナンから手紙を受け取る(『王獣』第六章1「四年まえ、真王の誕生日の宴で暗殺が試みられた日から」「その日から四年たち」)
20歳:(本編『王獣』第六章1の段階での年齢)
21歳:湯殿でエリンと話す(『王獣』第六章1「ふたつ年上だと聞いているが、とても二十歳を過ぎているようには見えなかった」)
24歳頃:長男ヨナン誕生
27歳頃:長女ユィミヤ誕生
32歳:『探求編』/3人目の子を孕っている
38歳春:カザルムに滞在し、エリンから奏者ノ技を教わる

※誕生日は冬-春か
『闘蛇』第三章2、真王誕生日の際に「十六歳になったばかり」という記述がある
※『探求編』時点で、ヨナンは「今年九歳になる」ユィミヤは「五つにしては背の高い娘」とある
※「末の娘も五つになったので」カザルム滞在が実現していることから、『探求編』より6年経過していることがわかる


シュナン
20歳
:真王誕生日(『闘蛇』第三章2)
20歳:セィミヤへ手紙を送る
25歳:真王に謁見し求婚する
25歳頃:降臨の野
28歳頃:長男ヨナン誕生
31歳頃:長女ユィミヤ誕生
36歳:『探求編』/エリンに牙の大量死を探るよう命ずる
36-38歳頃:次女誕生
42歳頃:アマスルの戦い


ヌガン(シュナンの弟)(年齢明言なし)
成人の儀礼
:ヤマン・ハサルの憧れを口にし、笑われる/ダミヤに声をかけられる(『闘蛇』第三章3)
真王誕生日頃:ある人物(ダミヤか)から手紙を受け取る
降臨の野:大公軍に叛逆/牢に繋がれる

※シュナンとの差はそれほどない様子
※成人の儀礼は過ぎているので、真王誕生日時点で十代後半と考えられる


オリ(シュナン・ヌガンの妹)
20歳弱
:『探求編』冒頭
→シュナンと16歳は離れている


ロラン(ヨハルの養い子)(年齢明言なし)
9歳:戦災孤児となり、アマスル伯に拾われる
?歳:歌い手として王宮をまわっている/エリンと出会う
6年後:イミィルの裏切りを知らせる


サリ(ヨハルの娘/ロランの姉)(年齢明言なし)
4歳:兄(9歳)を亡くす
?歳:アマスル伯の館でエリンと出会う


ヨハル・アマスル(年齢明言なし)
8歳:曾祖父を亡くす
?歳:血と穢れを率いる
?歳:エリンと出会う



3.王獣:リラン、アル、他王獣たち

リラン
初登場時は、乳離れしてしばらくの状態
『王獣』第七章2「捕獲されて連れてこられる幼獣より、アルはずっと幼い」
→乳離れすぐではないことがわかる

初登場時を0-1歳とする
0-歳春
真王誕生日:矢で射られる
一月後:エリンと出会う
9日後:餌を食べるようになる
12日後:王獣舎の外へ出られるようになる
4-5歳春:エクと交合する
5-6歳春:アルを産む
5-6歳初夏:アル乳離れ
7-8歳(アルを産んで2年後過ぎ):再度交合
22-23歳
春:アルが交合
秋:アマスルの戦いで死亡


アル

0歳:リラン5-6歳
春:誕生
初夏:乳離れすぐ/真王行幸
17歳
春:ウカルと交合
秋:ジェシをアマスルに運ぶ



4.周辺:ソヨン、ジョウン、エサル、他大公領やカザルムの人々

ソヨン(エリンの母)
16歳
:アッソンと添うことを決める
17歳
:エリンを産む
17-18歳:『刹那』「綿毛」乳飲み子のエリンをかかえて母のことを想う
27歳:処刑

アッソン(エリンの父)
18歳:死亡
※ソヨンとの年齢差等は不明

ナソン(ソヨンの元許嫁)
40代半ば
:18歳のエリンと会う(『王獣』第六章2)
※ソヨンよりもいくらか年上のようである


ジョウン
12歳:竪琴を弾きはじめる
(『闘蛇』第二章1「十二の年から、竪琴を弾くのが大好きだったんだ」)
18-19歳:タムユアンでエサルが編入してくる
(『刹那』「胸の病で四年ほど遅れて入学したとかで、そのときはもう、十八、九だったはずだ」)
24-25歳:教導師見習いをしている
(『刹那』「教導師見習いの苦しい日々や」)
32歳:教導師になる
40歳:12年間教導師長をつとめる
(『闘蛇』第四章1「教導師として二十年、教導師長として十二年生きてきた」「四十歳で教導師長になれたのも」)
※20+12=32年と考えると、20歳で教導師になっていなければならないので考えにくい。教導師長時代も含めて20年と考えた方が自然
52歳:教え子の自殺事件で罷免される/蜂飼いをはじめる
56歳春:エリンに出会う
(『闘蛇』第一章3「あの事件のせいで、家族から離れ、蜂を飼いながら暮らしはじめて、そろそろ四年になる」)※英語版では6年
56歳夏:夏の小屋へ移動。この時点で55歳以上
(『闘蛇』第二章2「五十五歳を過ぎたあたりから」)
→教導師長になった40歳+12年+4年=56歳
60歳
:体に不調を感じる/王都に戻る
60-61歳夏:死亡(夏ノ試しの後にエリンの元に死亡の連絡がある)


エサル
14歳(15になる年)
:タムユアンに編入する
(『刹那』「早生まれのわたしはまだ14だった」)
17歳:春:リノミヤ(ハルミヤの子)の誕生日にて王獣を見る/ホクリ師に出会う
(『刹那』「タムユアンの最終学年だった十七の春」)
18歳(19になる年):研究学舎にすすむ
19歳(20になる年):ムチカ(小型の鹿)と木の関係に気がつく
(『刹那』「山野の観察を始めて一年ほどが過ぎたころ」)
19歳:晩夏:ホクリ師が怪我をする/休学届を出す/ユアンと関係を持つ
(『刹那』「夏が終わるころ」)
19歳:晩秋:山を降りる
19歳:冬:研究/研究結果をホクリ師に伝える/王獣を見にラザルへ行く
26歳:教導師になる(『闘蛇』第四章2「三十年教導師をやってきたから」)
:野生の王獣を探して森へゆき、背の高い緑の目の男に忠告される。(『王獣』第六章1)
54歳:教導師長となる(エリン入舎の2年前)
56歳:エリンをカザルムに受け入れる
60歳:リラン交合
61歳:リラン出産
72歳:『探求編』
78歳:アル出産/アマスルの戦い
82歳:死亡

※ほぼジョウンの相対的年齢から算出
 誕生日による前後1年の誤差あり


トムラ
18-19歳(最上級生):リランの世話を任される。エリンと出会う、卒舎ノ試しに主席合格する
22歳:教導師になっている
26歳前後:三男ヤムキ生まれる(ジェシと同じ頃の生まれ)
※妻の名前はユナカ


ユアン
17歳:エサルと出会う(『刹那』に記載あり)
20歳:医術科の最終学年
21歳:エサルと関係を持つ


年齢比較

エリン入舎時
エリン:14歳
ジョウン:60歳
エサル:56歳

※エサルとジョウンは誕生日を考慮していないため、誤差前後1歳



参考:作中時系列まとめ

時系列をかなり細かく記載する
エリン誕生時を0000年として計算する

リョザ神王国史

建国時
王祖ジェが降臨する。(『闘蛇』第三章2)
真王4代後
隣国ハジャンの侵攻。ヤマン・ハサルが撃退する。(『闘蛇』第三章2)
大公2代後
オシク・ハサルが闘蛇と闘蛇乗りを育て隣国へ攻め入る。(『闘蛇』第三章2)
アマスル平野が大公領となる。(『探求』第三章1)
ヨハルの曾祖父によって〈血と穢れ〉が組織される。(『探求』第三章7)
ー0054年
真王シイミヤ/大公ラマシクの代。ハルミヤ3歳。
真王シイミヤ〈血と穢れ〉による刺客に暗殺されかける。
真王宮が焼失する。娘ミィミヤ火にまかれ死亡。
〈堅き楯〉成立。(『闘蛇』第三章2「五十七年前に一度この御殿は焼失している」)
ー0052年
シイミヤ後遺症で崩御。
ハルミヤ5歳で即位。(『王獣』第七章6「わたしは、わずか五つで、なにもわからぬまま、即位せねばならなかった」)


エリン誕生前

ー0046年
ジョウン誕生。
ー0042年
エサル誕生。
ー0034年
ジョウンが竪琴を弾きはじめる。
ー0028〜27年
タムユアンでジョウンとエサルとユアンが出会う。
ー0023〜21年ごろ
エサルがユアンと関係を持つ。ジョウンは教導師見習いをしている。
ー0017年
ソヨン誕生。
ー0016年
エサルが教導師になる。
ー0014年
ジョウンが教導師になる。
ー0009年
イアル誕生。
ー0006年
ジョウンがタムユアンの教導師長になる。
ー0001年以前
ソヨン、鹿狩りをしていたアッソンと出会う。(『闘蛇』序章2)
→鹿狩りは一般に気温の高い時期は避けられる。秋から春のいずれかか。
ー0001年
地震発生。イアルの父死亡。


エリン誕生以後

0000年
エリン誕生。季節は不明だが夏の可能性が高い。
0000-0001年
春、闘蛇の幼体の蓋鱗を取る時期に乳を吸っている様子がある。(『刹那』「綿毛」)
0001年
カザルムで学童が噛み裂かれて死亡する事件が起こる。(『闘蛇』第四章2「十三年前」)
0004年
真王ハルミヤの娘夫婦死亡。(『闘蛇』第三章2「十年まえに、馬車が立ち木に激突するという不慮の事故で、セィミヤの両親が命を落として」)
0005年
ツラナ(父の従妹)がアケ村からトカラ村へ嫁にいく。(『探求』第一章6)
0006年
ジョウンが教え子の自殺事件で罷免される。蜂飼いをはじめる。
0008年
(ソヨンの日記のうち、残った一部がこの時期のもの)


『闘蛇編』『王獣編』

0010年:物語開始時
序章(アケ村の出来事):春
1日目:夜明前に〈牙〉が死亡。夕餉に猪肉を食べる。(『闘蛇』序章1「十五歳になるには五年も待たねばならない」)
2日目:監察官がくる。ソヨン捕らえられる。(『闘蛇』序章3)
4日目:ソヨンが捉えられて3日目:夜更に闘蛇の裁きを知る。(『闘蛇』序章3「明日の夜明けに〈闘蛇の裁き〉にかけられるってのかい?」「春の月が」)
5日目:夜明に〈闘蛇の裁き〉ソヨン死亡。精霊獣現れる。(『闘蛇』序章3)
9日目:精霊獣出現から四日後:探索に行った者が戻ってくる。村では箝口令が敷かれている。

第一章(ジョウンに拾われる):春
1日目:朝湖畔の岸辺に流れ着く。ジョウンに助けられる。(『闘蛇』一章1「サロウの大樹が、満開」「朝っぱらから」「闘蛇にまたがったまま一昼夜も水の上を引きずられてきたあと、水の中に落ちてしまった」→物語開始時から数えて6日目か)
2日目:朝、目を覚ます。(「白い朝の光が」)
3日目:外に出る。蜂の分封を見る。共に暮らし始める。(『闘蛇』第一章2「昨日より、ずっといい顔をしているな」「横になっているのは、もう、あきあきだった」第一章3「わずか三日間一緒に過ごしただけなのに」

第二章(ジョウンと暮らし始める):春-夏
春:蜂の蜜を集めるなどして働く。(『闘蛇』第二章1「春は、蜂飼いにとって、一番忙しい季節だ」)
晩春:市場へいく描写(七日に一度)。(『闘蛇』第二章1「春からゆっくりと夏にむかうにつれて」
初夏:留守中に書物を読んでいるのが見つかる。(『闘蛇』第二章1「そろそろ夏が近い、ある雨の日だった」)
春から夏にかけて:竪琴を弾きはじめる。
夏:夏の小屋への移動の準備を始める。(『闘蛇』第二章2「夜明けから蝉が鳴く季節」「麦の取り入れが終わり、次の豆作りに備えての作業もすんだ頃に馬を貸してもらい、秋にはまた返す約束」)
5日後:明け方に出発し、夕方に小屋に到着。(『闘蛇』第二章2「五日後の明け方だった」「黄昏の光が斜めに木の幹を照らすようになったころ」)
夏の盛りの頃:薬草を取りに行くと聞かされる。
翌日:ジョウンを追いかけ、崖に落ちたジョウンを発見する。
翌朝:夜明け頃、野生の王獣を目撃。昼頃小屋に戻る。(第二章3「長い夜が、ようやく開けはじめたころ」)


0014年~0015年
第四章(ジョウンの息子が尋ねてくる)
春:トッチの出産。アサン訪問。(『闘蛇』第四章1「十四歳とはとても思えぬ」「うららかな春の日射しに」)
その夜:ジョウンの身の上話を聞く。王獣の医術師を志す。
翌日以降:ジョウン、エサルへ手紙を書く。

第三章(ハルミヤ誕生日)
ハルミヤの誕生日周辺:大公が王都に着く。(『闘蛇』第三章1「明日には大公の一行が王都に入る」)(『闘蛇』第三章2「萌えはじめたばかりの新芽」)→ハルミヤの誕生日は春先。
誕生日当日:幼獣が献上される。真王への刺客が矢を飛ばす。
同じ頃:大公領では闘蛇の披露が行われる。

第四章・第五章(カザルムでリランと出会う)
半月後:エサルからの返事がくる。
春:入舎ノ試しを特例で受ける。学童と対面する。(『闘蛇』第四章2「春とはいえ、雨降りの高地」「年齢どおりの中等二段に入っていいわ」「二年飛び級ですか」)→12歳が受ける試験/12-13が初等/その二学年上の中等二段は14-15歳
翌日:ジョウンが去る。カザルムでの生活がはじまる。
半月ほどのち:音無し笛が吹かれるのを見る。
(『闘蛇』第四章4「学者で暮らしはじめて、半月ほどたったころだった」)
晩春:真王誕生日から1月後:リランと出会う。1月だけ世話を任される。(『闘蛇』第四章4「そろそろ夏が訪れようとしていたある日」)(『闘蛇』第四章5「ひと月前の、真王のお誕生祝いの宴席で」「ジョウンは世捨て人みたいに暮らしていたらしいから、そういう話も伝わっていないのね」)→1月前はまだカザルムにいないと予想できる。(『王獣』第八章8「そのとき、わたくしはまだ十四歳で」)→このとき確定で14歳。
※ここを1日として日付を数える
5日後:王獣舎の壁をはがす。肉を振ってみる。(『闘蛇』第四章7「もう五日になりますよ」)
その夜:竪琴を使うことを思いつく。
翌日(通算6日後):楽器店にいき、竪琴を改造する。(『王獣』第五章1「朝食を終えて」「春が終わろうとしていることを感じさせる」)
翌日(通算7日目):改造した竪琴を弾く。
二日後(通算9日後):リランが餌を食べる。(『王獣』第五章2「一昨日の朝、リランの前でこれを鳴らしてみたら」)
三日語(通算12日後):初夏。リランが外に出る。(『王獣』第五章3「初夏の光の中へ、リランが出ていったのは、餌を口にしてから三日後のことだった」「この十二日間」)教導師の会議が行われる。夕食でエリンと王獣のことを口外しないよう話がある。
夏:夏ノ試し(『王獣』第五章4)のあと、長い休暇に入る。トムラは卒舎ノ試しに主席合格する。ユーヤンが故郷に帰る。ジョウンに手紙を出す。リランが自分の言葉を理解していると気がつく。
少し後:ジョウン死亡の手紙が届く。(『王獣』第五章4)
晩夏:リランの産毛が抜けはじめる。(『王獣』第五章5「夏が過ぎ、学童たちがもどってくるころ」)
秋:牙で怪我をする。(『王獣』第五章5「秋の午後の透明な光が」)

0015年
第六章
春:リランが完全にエリンの言葉を解するようになる。(『王獣』第六章2「二度目の春が訪れるころには」)

0018年~0019年
第六章(リランの交合)
ラーザの国境侵犯が激しさを増す。(『王獣』第六章1「四年まえ、真王の誕生日の宴で暗殺が試みられた日から」)
冬:リランは大人の王獣になる。(『王獣』第六章1「カザルム学舎に来てから、四度目の秋」「過酷な冬がやってきた」「冬至のころには」)
新年の休暇:地震が起こる。飛翔する。ナソンと会う。鞍をつけて飛翔訓練をすることが決まる。(『王獣』第六章2「雪原を」)
数日後?:鞍をつけて飛ぶ(日付不明/休暇中)。(『王獣』第六章3「学童たちがもどってくるまでに」)
春:エクがやってくる。(『王獣』第六章4「雪が解け、小鳥たちがさかんに空を舞うようになったころ」)
翌日夜:エクの世話を任される。(『王獣』第六章4「その翌日の夜」)
翌日:エクと対面する。王獣舎で夜をあかす。(『王獣』第六章4「ひと晩、時間をください」)
翌朝:竪琴でエクをしずめる。自分一人で〈奏者ノ技〉を背負うときめる。(『王獣』第六章4「夜が明けはじめたころ」「十八とはとても思えぬ静けさがある」)→この時点で18歳
半月後:エクの脚が完治する。リランとエクが交合する。(『王獣』第六章5「わずか半月で」「暖かい春の日」)
?:リランの妊娠が確認される。
?:王宮へ報告することが決まる。
その夜:エリンとエサルが特滋水と繁殖について話す。
?:王宮にリラン妊娠が伝えられる。
夏:卒舎ノ試し。リラン妊娠中。主席となる。(『王獣』第六章5「王獣の妊娠期間は人よりも長い」「リランの腹の変化が目立つようになったころ」「暑い夏の昼下がりで」)
夏:ユーヤンが帰郷する。
夏の終わり:入舎ノ試し。

0019年~0020年
第六章
秋:教導師となる。学童を迎える。
秋:初めて教壇に立つ。(『王獣』第六章5「美しい秋晴れの日で」)
晩冬:世話と講義の両立が厳しくなる。(『王獣』第六章5「春が近づくと」)
春?:リランの世話に専念する。(『王獣』第六章5「産み月を迎えると」「(※産まれる時期について)もっと暖かくなってからね」)

第七章(真王の行幸)
初夏ノ月(トサル・バル)の九日:真王が王宮を出る。カザルム領地で一泊する。(『王獣』第七章1「カザルム高地は王都から一日ほどのところにある」「よく晴れた初夏らしい陽気」)
初夏ノ月の十日:アルの乳離れ後。保護場への真王の行幸。(『王獣』第七章1「早めに休んだ翌朝は」「アルが肉を食べるようになると」)→乳離れ後、何度も肉を与えていたことがわかる。(『王獣』第七章1「二十歳そこそこに見えた」)→19か20歳。
初夏ノ月の十一日:真王への襲撃。リランを飛ばして助ける。(『王獣』第七章3「昼頃にサラノの街を出るという」)※翌日とは書かれていないので、数日ずれている可能性もある
初夏ノ月の十二日:大公に知らせがくる。(『王獣』第八章1「襲撃があった翌日には」)
初夏ノ月の十五日:真王に晩餐に招かれる。(『王獣』第七章6「襲撃から四日後のことだった」)
初夏ノ月の十七日:真王の沙汰。(『王獣』第七章6「それから二日後のことだった」)
数日後(堅き楯到着次第):真王帰路に着く。真王倒れる→崩御。

第八章(真王崩御〜降臨の野)
?日後:訃報が大公に伝わる。大公、真王に品物を送る。
?日後:ハルミヤの葬儀。
その10日後:セィミヤ即位。(『王獣』第八章1「真王ハルミヤの葬儀から、新たな真王が即位するまでの十日間」)
翌朝:イアル、自宅に戻る。
?日後:荷馬車が送り返される。
?日後:セィミヤとダミヤが結婚相手について話す。シュナン、傷病兵を伴い真王に謁見する。(『王獣』第八章1「四年の歳月は」)→真王誕生日から5年は経っているので、4年と考えると計算が合わない。また一度会った?

初夏:ラザル王獣保護場の人々が来訪する。エリン、リランに指を食われる。(『王獣』第八章2「黄色いキマの花」)
二日後:目を覚ます。(『王獣』第八章2「二日後の朝、目を覚ましたときには」)
その三日後:雨。リランについて考える。
七日後:起き上がる。リランと対峙する。(『王獣』第八章2「エリンが起きあがれるようになったのは、七日後だった」)→目覚めて七日後なのか十日後なのかは不明。
その二十日後:カザルムを出てラザルへ。(『王獣』第八章2「それから二十日後の朝」「まぶしい初夏の日射しが」「この高地に来て、六年」)→6年だと計算が合わない。“5年と少し”を繰り上げ計算している?
シュナン謁見から約2ヶ月後:エリンがダミヤに謁見する。(『王獣』第八章1「四月後の〈建国ノ夜明け〉の祝い日に、雌雄を決しましょう」)(
『王獣』第八章3「あとふた月もすれば、真王は、降臨の野にて」「初夏」)
翌日:奏者ノ技が自分にしかできぬとダミヤに示す。(『王獣』第八章4「雨ひと晩中降りつづき、夜明けになってようやくあがった」「初夏の日射し」「そろそろ昼になろうとする時刻」)
その夜:ダミヤがイアルを呼び出す。真王がダミヤの求婚を受け入れたことを話す。イアルが襲撃を受けてエリンのもとへ行く。(『王獣』第八章5「今日のことは聞いているか」「満月の宵だった」)(『王獣』第八章6「初めて会ったころのリランとちょうど同じくらいで」)→リランは生まれて4ヶ月ほどでエリンに出会った
翌朝:追手が来る。セィミヤと会う方法を考える。(『王獣』第八章6「朝靄の中に」)
?日後の夜:セィミヤと湯殿で話す。帰り道に母の一族と出会う。(『王獣』第八章6「六年もの歳月をともに過ごして」)→ここも6年だと計算が合わない。“5年強”を繰り上げている?
シュナン謁見から4ヶ月後:〈建国ノ夜明け〉の祝い日。降臨の野に集う。大公、ダミヤが殺され、ヌガンが反乱する。(『王獣』第八章1「四月後の〈建国ノ夜明け〉の祝い日に、雌雄を決しましょう」)(『王獣』終章2「夏の鳥たちも」)→夏が長い?例えば初夏ノ月が5月くらいで、建国ノ夜明けが9月くらいなら、可能性もあるか?
その後:カザルムに戻る。


『刹那』「刹那」「初めての……」

0020~0021年
「刹那」
早春:イアルの家を訪ねる。(『刹那』「まだ春も浅い日に、初めて訪ねてきてくれたときの」「早春によくある、大気がしんと光るような寒い日で」)
初夏:街でエリンとイアルが出会う。(『刹那』「春が過ぎ、初夏が訪れると」)
夏:龕灯祭りの夜に肌を合わせる。以来、共に暮らすようになる。
秋:妊娠の兆し。(『刹那』「霜が降りるころ」)
冬:イアルに妊娠を告げる(『刹那』「厳冬のころ」)
0022年
初秋:ジェシを産む。(『刹那』「蜩の声が聞こえた」「産み月である初秋」)

0022年ごろ
『探求』の八年前:ラーザが闘蛇衆をさらう。(『探求』第四章6「ラーザが、もう八年もまえに闘蛇衆をさらっていた」)

0024年ごろ
『探求』の六年前:瘧り病が流行る。(『探究』第一章3)
25歳秋:ジェシ2歳の誕生日。(『刹那』)

0022年~0024年ごろ
王獣捕獲者のオラムと知り合う。(『完結』第七章3「まだジェシをおぶっていたころ」)(『完結』第七章4「あの赤ん坊が、あんだけ大きくなるんだからな」)


『探求編』

0030年
第一章(大量死の調査)
早春:トカラ村で〈牙〉の死亡。
2日後:大公城にて〈牙〉の調査を任される。(『探求』第一章1「大公城に到着したのは、三日前の朝だった」「やわらかい早春の日射しを浴びて」)
5日後:雨。〈牙〉の調査。(『探求』第一章1「二十年以上まえのあの遠い夜明け」「三十を過ぎてからは」「十一年という歳月が流れていた」)→10歳+20年以上。30歳だとちょうど20年なので、31歳以上?計算は合わなくなるが。(『探求』第一章1「死後五日もたっている」)
次の日以降:闘蛇の腑分け。(『探求』第一章5「昼下がりの木漏れ日を」)
翌日:夜明けにツラナの手紙を読む。(『探求』第一章7「翌日の夜明けだった」)
二日後:夕刻に腑分けが終わる。(『探求』第一章7「二日後の夕刻だった」)

第二章(王宮の情勢)
春:トゥラ王国のタウロカ王子が来訪する。(『探求』第二章1「春の宵の生暖かい風が」)
翌日:セィミヤが夜明けに目覚める。昼の食事会にシュナンとヨナン、オリが出席する。
二日後:タウロカ王子が帰国する。(『探求』第二章2「わずか三日の短い滞在ののち」)

第三章(ウハン村〜アマスル伯領)
春:国境周辺へ向かう。(『探求』第三章1「サシャが満開の時を迎え」「春風にふうわりとゆれる花の下」)
翌日:早朝にウハン村へ向かう。昼前にウハン村への道を辿る。夜に村に着く。
翌日:〈牙〉のイケを見る。夕方に卵を見に行く。襲撃され、指笛を吹いて逃げる。アマスル伯の館に着く。(『探求』第三章3「あれは、昨日の…」)→アウル千戸長に会った翌日とわかる
二日後:アマスル伯の家族と夕食をとる。夜にクリウと国境について話をする。(『探求』第三章5「館に来て二日後の夕刻だった」「ロランは大きな仕事を終えて帰ってきたばかりなんだ」)→タウロカ王子の来訪か
翌日:夜、ヨハルに会う。(『探求』第三章7「翌日は朝から曇っていて、夕方ごろからは篠突く雨になった」)
翌日:残った人々の記を読む。(『探求』第三章9「昨夜の雨は夜明けにはあがり」)
翌日:王宮へ向かう。(『探求』第三章9「明日の朝、あなたを連れて、王宮に発つ」)

第四章(イアルとジェシへ追手)
エリン不在時:リランたちの発情期。(『探求』第一章4「大公さまに呼びだされてから、もうずいぶんたちますが」「まだ八つの子に」)→この時点でジェシ8歳

時期不明:夜に街で襲撃され、カザルムに向かう。エサルとイアルが話す。(『探求』第四章1「夕暮れの鐘だ」)(『探求』第四章2「夜の帳が街をおおっていた」)(『探求』第四章3「学童たちの就寝時刻をとうに過ぎたころ」)(『探求』第四章4「降臨の野で、エリンが王獣に乗り、闘蛇軍を蹴散らしてから十一年」)
翌日:追手を撒き、カザルムを出る。(『探求』第四章4「夜が明けたら、ジェシを連れて、カザルム領を出ねば」)(『探求』第四章5「まだ夜は明けきっておらず」)

数日後:真王の皇宮に到着する。
翌日:カザルム方面から鳩便が来る。(『探求』第四章6「昨夜この館へついたのは」「鳩が飛んできた方角には、カザルムがある」「そなたの夫と息子は、盗賊に襲われたようだ」)
翌朝:新たな疑問が湧く。(『探求』第四章7「夜明けに、ふっと目がさめた」)
昼:セィミヤと話し、残った人々の谷に行くことを決める。(『探求』第四章8「シュナンと話した翌日の昼下がりだった」「初めて会ってから」「はい。十一年がたちました」)

第五章(王獣軍編成をきめる)
翌日:昼、王都でイアルとジェシがカイルと会う。(『探求』第五章1「昼下がりの光を浴びて」「八歳です」「エリンさんは、三日ほど前に王宮に入ったようだ」「昨日の午後、真王陛下がおられる、〈奥の中庭〉に入っていったのを見かけて」「エリンがカザルムを離れたのは、もう一月以上も前だ」)→『探求』は春頃のひと月程度の話だとわかる。
夜:嵐の川でエリンを助ける。農家の納屋に泊まる。(『探求』第五章3「もう真っ暗だよ」)(『探求』第五章5「昨夜は大変だった」)
翌日:オリとロランが話す。(『探求』第五章4「昨夜の嵐が」)
翌日:農家を出て王都へ向かう。(『探求』第五章6「父が別を出してしまったので、二日間泊めてもらった」)
翌日:真王に謁見(『探求』第五章6「いい匂いのするふっかふかの布団で眠るのも」)→真王宮で一泊したと考えられる。(『探求』第五章7「三十九でございます」)→イアル39歳。エリンとの差は8、9歳。

0031年
ラーザが東の隊商都市を攻める。(『完結』第六章1「去年の暮れ」)→完結編冒頭からみて去年の暮れ。新年の時期が不明だが、冬ならあまり時間は経っていないことになる。


『完結編』

0032年
第六章(ジェシの進路が決まる)
冒頭:冬季休暇中。(『完結』第六章1「わずか二年で、エリンは、王獣をここまで訓練してしまった」「雪に覆われた崖に立って」「学童が親元に帰る時期」)
同時期:ジェシがユグラ火蟻に噛まれる。
翌日:ジェシを看病する。(『完結』第六章2「昨夜ほどの高熱ではなかった」)
春:ジェシと昼餉を共にする。(『完結』第六章3「渓流の岸辺の雪も消えた、うららかな春の日に」)(『完結』第六章4「あなた、今年は十一になるわよね」)→新年時点で10歳、初秋に11歳。
三日後:ジェシから獣ノ医術師になる決意を聞く。(『完結』第六章4「三日後の夜だった」)

0033年~0034年
第六章
時期不明:飛行訓練。霧の中、列柱ノ岩場をリランたちが潜り抜ける。(『完結』第六章5「もう一年以上、ジェシの勉強をみている」)

0035年
◯第六章

夏:ジェシが〈入舎ノ試し〉に合格する。
秋:ジェシがカザルムに入舎する。(『完結』第六章6)

0036年(ジェシ中等一段)
第七章(アルの交合)
冬:冬季休暇中:セィミヤからの催促の手紙を受け取る。夜、ジェシに王獣に触れないよう諭す。(『完結』第七章1「冬も半ばを過ぎたころ」「友だち連中が故郷に帰っているこの時期は」)
その夜:夢を見て放牧場について思いつく。
翌日:王獣捕獲者のオラムを呼ぶようエサルに頼む。
雪解けの頃:オラムが来る。(『完結』第七章4「そろそろ雪解けというころだった」「今日の風には、サシャの匂いがしとった。もうすぐ交尾の季節だな」)→発情期は春。
初春:昼すぎ、寮母のカリサに、ジェシの木の芽印のことを聞く。(『完結』第七章5「うららかな春の日差し」「学童たちが机に向かっている静かな昼下がり」「あの子、もう中等一段になったんですね」「半年以上も忘れていた」)→入学から一年半。
翌日:ジェシと共に金糸を買いに行く。(『完結』第七章5「明日の午後は半休だから」「まだ春も浅いのに」)
春:真王が極秘でカザルムを訪れる。(『完結』第七章6「春風にサシャの花びらが舞い飛ぶ、よく晴れた日に」「夏休みの前倒しで」「末の娘も五つになったので」)→六年前に身籠っていたので、数え年でなく満年齢か。(第七章6「これからふた月、しっかり教えてちょうだい」)
?日後:セィミヤに竪琴を教えている。夜明けと共にアルとウカルが交合する。ジェシがエリンの日記を読む。(『完結』第七章6「朝靄がゆっくりと渡っていく野に」「昇ったばかりの朝日を隠すように、二頭の王獣たちは」「アルは今年十七になります」)→11年+6年=17年
晩春:真王がカザルムを去る。(『完結』第七章9「春の終わりを告げる雨」)
翌日か:宮に戻ったセィミヤがオチワを飛ばす。(『完結』第七章9「宮にもどるとすぐに」)→カザルムから王都は約一日。

0037年(ジェシ中等一段~二段)
第八章(アマスルの戦い)
夏:オリがトゥラ王国の王子との婚姻を決める。(『完結』第八章1「その夏は、冷たい夏となった」「発表は来年の春ということになった」)
晩夏/初秋:イアルが闘蛇村での喧嘩を仲裁し、軽い傷を負う。10日ほどの休養をとる。(『完結』第八章2「カザルムは高地だから、秋の訪れも早かろう」)(『完結』第八章3「日向の匂いのする秋の風」「錦秋というには早く」「三日後にまた迎えにきてくれるよう頼む」「ジェシはまだ十四」「そのために闘蛇乗りになり、この六年を生きてきた」)→ジェシの14の誕生日直前ごろか
同時期か:西ウリシの大首領が協定を持ちかける。

第八章
一月半後:秋。ラーザが隊商都市ウラムを占領する。
半月後:真王が戦を決める(茶の一刻)。(『完結』第八章7「ふた月ほど前、西ウリシの大首領が」「ウラムでなにが起きたのかを伝えたのが半月まえ」)
数日後:戦準備が始まったことをエリンが知る。(『完結』第八章8「リランはもう、二十歳を越えた」)
翌日:日暮にカザルムを立つ。(『完結』第八章8「山の端から刺してくる暮れ落ちる寸前の日の光が」)(『完結』第八章9「(ジェシに)中等二段の学童くん」)→カザルムは新年度になったので、前後してジェシも15になる可能性が高い
夜?:ラザルについたエリンが、セィミヤに会う。(『完結』第八章5「一ト(約1時間)もあればラザルまで行ける)
翌日夜:アマスルへ向かう。
?:イアルがイミィルにて軍議を行う。
その夜:丘陵地帯を偵察に向かう。
?:エリンがアマスルに到着する。
同日午後:〈残った人々〉がカザルムに尋ねて来る。夜、ジェシがアルに乗ってラザルへ飛び立つ。
深夜:アマスルにラーザ闘蛇軍の知らせが入る。
夜明け:戦が始まる。
四日後:エリン死亡。
→死亡時37か



まとめ

時系列問題補足

時系列の誤差が発生する箇所
・カザルム卒舎年
・降臨の野での戦い
・ラザル移動時
・11年後
これ以外にも細かな誤差はあるが、他の描写等や季節も鑑みて一番確からしそうなものを採用した。

それぞれのズレから発生する誤差を総合しても、誤差は最大で2歳。
まあ大体の年齢は出せたのではなかろうか。


参考までに、算出に使った表をあげる。
これはカザルム七年制/降臨の野はアル誕生と同年/『探求編』は10年半後/『完結編』最後は6年半 のバージョン。
概ね辻褄は合うが、『探求編』でエリンが母の処刑を「二十年以上前」と言ったり、アマスル伯が降臨の野から今までを「十一年以上」と言ったりする点が食い違う。

カザルム七年制/探求編まで10年半/決戦まで6年半

一応、別バージョンも作っている。
こちらは、カザルム七年制/降臨の野はアル誕生と同年/『探求編』は11年半後/『完結編』最後は5年半 のバージョン。
空白期間を11年半にするため、その後を短くして辻褄を合わせている。
カザルム入舎ノ試しを「その年に12歳になる者」と解釈すればこのバージョンでも良い。
ただしこちらを採用した場合、最終年春のセィミヤの「末の娘も五つになった」発言と食い違うため、どちらも決定打にはかけるというか、一長一短という感じではある。

カザルム七年制/探求編まで11年半/決戦まで5年半

この場合はエリンとイアルの年齢差は8歳となる。

※表について、自分用につき、注釈等が隠れている等、見辛い点はご容赦願いたい。



あとがき

以上、長々と『獣の奏者』の時系列と年齢をまとめましたが、色々と不確かな部分が多いので、あくまでも一解釈とお考えください。

守り人と違って物語の分かれ目がなく、ひたすらに連続しているので、軽い気持ちで始めたら結局全記述を追いかける羽目になりました

そんなにまでしてエリンとイアルの年齢差を知りたいのか……と途方もない気分に襲われたりしつつ、最終的には割と徒労に終わったわけですが、アニメ派(一説によると5歳差という設定らしい)の誤解を正すための、原作厨の無益な試みの形跡くらいは、ここに残しておこうと思います。
エリンとイアルの年齢差は8-9歳です(私調べ/異説複数あり/ただ少なくとも5歳ではない)。
以上です。

上橋作品については他にも語っていますので、ご興味あれば以下をご覧ください。
↓↓↓

それでは。
お読みいただきありがとうございます。

宇宮7号

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?