音楽が好きなのだ。

朝起きたら最初に何をするか?音楽を聴く。外を歩く時も、一本のタバコを吸う時もイヤホンは欠かせない。一曲も聴かずに1日を終えることはここ10年余り、おそらく1日もない。もはやあって当然で、なくては生きていると思えない。自然に、あまりに自然に私は音楽を愛して生きている。


言葉である。詩である。メロディーである。私は音楽というより、歌が好きなんだ。言葉が好きなのかもしれない。耳元で誰かの言葉が鳴っている。視覚を失うより聴覚を失う方が怖い。

音楽が好きだ。脳内にいくつの歌がはいっているんだろうか。それらが私を生かしている。何年も前に作られた言葉が今この瞬間音となり私に理解されていること。美しい人のやさしい言葉が私の中に入ってくる。自分が少し、前よりマシな生き物になった錯覚を得る。好きな歌を聴いている時だけは私は自由だ。イヤホンは、世界と私を分けるために不可欠なものだ。


一つの景色が、ただ一人の夜がこの音で救われる。同じ世界を愛している人がいる事実が嬉しい。僕らはさみしいから、誰かの言葉を求める。人が生きている証拠なんて、言葉しかないから。見えない心を見るために言葉や音楽を求めるのだろう。

いつでも頭の中はうるさくて自分をしきりに傷つけたがるけど、同じように思っている人がいることや、そんなに悲しがらないでという言葉で、歌で、私は勝手に救われるのだ。

いくつのどうしようもない夜を、救ってくれただろう。悲しくて悔しくて逃げたい時間を、やさしい時間に変えてくれだろう。その言葉を、音に乗せてくれたことでより容易に心に染みるかたちに変えてくれたことに感謝する。音楽の偉大さの一つはその手軽さだから。ほんの5分で、私たちは少し楽になれる。ただ、どこかのやさしい誰かが生み出した言葉を聴いているだけで。ああ、好きだなあ。


「ひとりぼっち 僕ら、嫌いばかり だから音楽を好きになったんだ」



最後まで読んでいただきありがとうございます。 あなたの心に何か残れば幸いです。