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世界一周 5日目🇫🇮 ヘルシンキ 到着
湖と森の国、フィンランド。
上空から見た2月のこの国は雪に覆われていた。
みるからに寒そう。
空港に到着して驚いたことが一つ。
入国審査をやらないのだ。
ミュンヘンでの乗り継ぎの時に軽いパスポートチェックがあったが、それが代わりということだろうか。
便利で助かる。
こんな芸当ができるのは、さすが欧州連合といったところ。
空港からヘルシンキ市街までは、電車で行けるらしい。
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チケットを買い、乗り込む。
列車は雪原を飛ぶように走り、30分ほどで終点、ヘルシンキ駅へと到着する。
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駅で犬を連れたおじさんとすれ違う。
モッフモフの犬だった。
雪国っぽい。
駅を出ると広がっていたのはオシャレな街並み。
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人が少ない。そして静かだ。
路面電車がレールの上を滑るように走っていく。
ムンバイとあまりに違う光景だった。
別の世界に来たようだ。
とりあえず近くのカフェに入ることにする。
何か飲んで、体を温めたかった。
駅の目の前、大きな商業施設の一階にあるガラス張りのカフェに入った。
「Moi !」と店員さんが気さくに挨拶をする。
アメリカーノと軽食を注文して席についた。
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目の前にはヘルシンキ駅、その左右には石像のモニュメント。
薄く雪が張った街路。
いかにも北欧、といった風な景色を見ながらコーヒーを飲む。
このコーヒーとサンド、合わせて12€。
日本円だと1800円くらい。
ムンバイで食べたカレーが日本円で900円いかないくらいだったから、2倍以上の値段がすることになる。
北欧の物価の高さに舌を巻いた。
荷物を置くためにホテルに向かう。
ヘルシンキ大聖堂が途中にあった。
白く聳える整然とした外観。
端然とした街並みの中で、かすかに歴史の香りがした。
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それにしても。
街並みのどこを切り取ってもお洒落なのはちょっとずるいと思う。
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しばらく歩いてホテルについた。
コインランドリー、キッチン、サウナがあるらしい。
いいねサウナ。フィンランドっぽい。
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あとコインランドリーはすごく助かる。
ムンバイで手洗いしてみたんだけど、全然乾かなくて困ってたんだ。
一気に今まで出た洗濯物を片付けることができる。
最高。
キッチン、使うかな?
設備によっては使ってみたい。
外食続きで野菜が不足しているんだ。
明日見てみよう。
とりあえずお洗濯の時間だ!!
綺麗になった洗濯物たちを満足げに眺めながら私は思案する。
昼に飛行機がついたこともあって、今日微妙に時間があるんだよね。
何するかなぁ……
そうだ、サウナ行こう。
インドと長距離フライトの疲れをさっぱり落としに行こう。
私はパソコンを開いて、サウナを予約した。
窓の外を見ると、次第に日が翳ってくる。
まだ17時過ぎだというのに……緯度高いね。
サウナは20時から22時の枠で予約したから、街をぶらぶら歩きながら向かおう。
外に出た時には、街は蒼い蒼いブルーモーメントに入っていた。
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街灯がキラキラと光って眩しい。
長い石畳が敷かれた、ヨーロッパらしい近代建築が立ち並ぶ通り。
綺麗で、整理されていて、物質的に豊かな街の姿がそこにあった。
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ふとムンバイの、暑くてごちゃついた色彩を思い出していた。
私の鼻に冷たいものが触れる。
上を見れば雪がちらちらと降り始めていた。
ヘルシンキ市街の移動は、路面電車が便利らしい。
キオスクで一日券を買って乗り込む。
あっという間に目的地に着いてしまった。
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人気のない海岸。
黒い海面がてらてらと光る。
街路の氷を踏むと、ザクザクと音がする。
オレンジ色の街灯に照らされて、雪が舞っている。
サウナの建物は、変わった形をしていた。
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受付でバスタオルとお尻に敷くタオル、ロッカーの鍵をもらう。
水着に着替えていざサウナへと繰り出した。
せっかくだから外のサウナに入りたい。
ガラス扉を開けて、小さなサウナ小屋を目指す……
足が、ちべたい。
サンダルを持ってこなかったから、雪の冷たさがダイレクトに足裏に伝わってくる。
足裏の痛みに顔を顰めながら小屋の扉を開けてサウナに入る。
木目と暖色の光で暖かみのある内装だった。
しかも実際にあったかい。
熱々の石にセルフサービスでお水をかけるらしい。
ダンディなおじさんが水をバシャリ、と解き放つ。
じゅわ、と音がして水蒸気が舞い上がる。
一気に上がる室温。
顔に熱い蒸気が当たる。
アイロンがけされている衣服のような気持ちを味わう。
しばらく座っているとじわりじわりと汗が吹き出してくる。
緊張とか、溜め込んだ余計な気持ちとかと一緒に汗が流れ落ちていく。
軽くなっていく、私が。
内側に、じんわりとした温かさが広がる。
息を吸い込むと、熱々の空気が肺に広がる。
体の中から、健康になっていくような感触だ。
ああ、いい。
好きになってしまいそうだ。
水が欲しくなったので、外に出る。
冷たいスカンディナビアの風が、火照りを覚ましてくれる。
それにしても足が、冷たい。
痛いくらい冷たい。
これ絶対サンダルあった方がいいやつだ。
焼石の上を歩く鶏のような足取りで室内へと戻った。
水は飲み放題だった。
水道水らしいが、驚くほど美味い。
かすかに甘い感触が、口内に残るような味がする……
しばらく屋外のサウナと屋内のサウナを転々とし、夜の海にも腰くらいまで浸かってみたりしたところで、一旦休憩所に腰掛ける。
暖炉に火が燃えている。
私は、私を大切にできているだろうか。
何かを成し遂げようとする、そんな目的ばかりに囚われて、生きていることを逃していないだろうか。
そんなことを、ふと思ったりした。
ロッカーの鍵を受付に返却する。
建物を出て、ホテルに向かう。
行きは冷え切っていた体が、今はぽかぽかと暖かだった。
路面電車を乗り換える。
あっという間にホテルまで戻ってきた。
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サウナに入ってスッキリしたので、とりあえず乾杯しよう。
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