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感情を動かされた秋



食欲の秋、読書の秋、紅葉の秋。2021年の秋は、私にとって「人生の秋」「ドラマの秋」になった。

夏から秋に、秋から冬へ。秋はどこへ行ったのだろうか?と思うくらい、秋という秋がない。ここまで「秋」という言葉を11回使った。
「夏の終わり」の定義も人それぞれ。私は蝉の声が聞こえなくなったら。今はもう聞こえない。

今回はドラマの秋について長々と語ろうと思う。


◾️大豆田とわ子と三人の元夫(2021年)
◾️カルテット(2017年)
◾️きのう何食べた?(2019年)



小さい頃、祖母の家に泊まった日の夜はテレビを観ながら寝落ちしていた。「寝るという意識を持ったまま寝ることができない」と話していて、今も続けているという。
「結局どんなエンドロールを迎えたんだろう」と後悔の念が残るほど、私は毎回、ドラマ終了の20分前には寝ていた。

なぜだか、10月になってからドラマを観たいという気持ちで沸々としていたので気になるものを3つだけ観てみた。


◾️大豆田とわ子と三人の元夫
今春のドラマはいくつか録画しつつまとめて観たり、Netflixでドハマりしたシーズン物の洋画が私的に最終シーズンを迎えた時期でもある。あれからもう5ヶ月も経った。

「3人も夫がいた」というだけで、観る気持ちが少々遠のいていたのに、ズブズブと沼にのめり込めば2日で見終えてしまった。現実で同等の事象が起きたら、皆仲良く接することができるのだろうか。再婚できないとしても、最終話であんなにも優しく3人が彼女を見守ることができるのだろうか。
「疑問vs役者の良い味」がぶつかり合う。結果、後者の勝利。

朝ドラのようにナレーターありきのドラマは話が入りやすく、初めにどのような回になるかの説明もあり、私の中で何かが燃えた。
とわ子の娘役の女優さんは私より年下で、とても大人びて見えた。観了後に年齢を調べると衝撃的だった。様々な作品に出演して、良い経験を積んで欲しいと初めて思える若手女優さんに出会えた。



◾️カルテット
「大豆田〜」の流れで鑑賞。そのドラマと関わりのある俳優が2人いたので、照らし合わせながら観ると面白かった。
順序を逆にすれば、また見方が変わっていただろう。そう思うと記憶を0にして改めて見てみたいなとも感じた。
当時、母が観ていたのを横目で盗み見していた記憶がある。「カルテット」の意味が分からず、『当時は6人いたはず』『もっと暗い話だったような』『殺人事件の話じゃなかったっけ』など思い返してみたが全て違う。一つも一致しない。

鬼寒い軽井沢での撮影。広く暖かな別荘。ダラダラしつつも芯があり、ミステリアスな4人。
「唐揚げにレモン問題」は食事が好きな私にとって、今後の人間関係に関わる案件なので、目を凝らして見た。かけてはいいものだけど、無断でかけることによって起こる事象。その一言さえあれば起こらなかった事象。これには大きな差があるからだ。
丹精込めて作った肉じゃがに、一口目から調味料を付け足してしまったり、何気なく観ていた番組のチャンネルを勝手に変えられる事と同じく。

特に印象的なのは、第8話の冒頭の夕食のシーン。良い意味で皆、子供のように見えた。敵のように見えた老人も温かい存在になっていて。ドラマという名のフィクションなので仕方がないが、人間は数話で人格が変わってしまうものかと思った。
あるお店で働いていた元アイドル(ドラマ内)の女の子。内通者がその子に移り、別荘で言い合いになったシーンは怖く震えたし、その後の殺人風のシーンにはヒヤッともした。全ての役に味があって、いい出汁が出ていた。ドバドバと。
HSP特有なのか、感情をすごく動かされた作品。


◾️きのう何食べた?
当時、飛ばしながら数話観ていたので記憶は曖昧。
登場人物さえ曖昧だったので、ケンジ役の方を今日まで「滝藤賢一」さんだと大きな錯覚をしていた。劇場版の公開が発表され、出演陣にその人がいなかったので可笑しいぞと思った事がきっかけ。
その日から日を重ね、「観る」という行為にようやく移すことに成功。始めるまでに時間がかかるのも私の悪い癖。

定時まで仕事をこなし、買い物をして自炊をする。これも現実的に考えると頭を抱えた。同性愛者は悪いことではない。
ただ、ゲイのクラブのシーンやゲイ特有の口調は異様に感じてしまった。これは、ゲイやレズ、バイに該当していないからこそ感じることができる事象とプラスに考えることができたので、この作品と真剣に向き合うことができた。
ゲイに対する両親や知人、職場のファーストコンタクトやその後の付き合いを考えると、そちらの世界も容易ではないと思い、心が苦しくなった。

食費をきちんと鑑みてかつ最高の料理を作る主人公には圧倒されたし、料理のシーンは夜に観てはいけないとつくづく感じつつ、しっかりと夜に観た。
インスタントやコンビニやスーパーの弁当済ませる事は十人十色。作れる物はきちんと作って自炊したい派で、どんどんレパートリーを増やしたいので、シロさんの食に対する気持ちに共感したまま寝落ちした日もあった。

少し自分の話を挟む。
ある症状持ちなので、公開終了ギリギリまでに映画館に足を運べるのかと不安があるが、劇場版は絶対に映画館で観たい。もし行けた日にはまた更新しようと思う。愛されている作品なので、ギリギリまで満席になるのではとも予測している。
自分の話、終了。



「大豆田〜」では中村慎森(岡田将生)。
「カルテット」では家森諭高(高橋一生)。

「何食べ」は誰派でもないが、シロさんの父役をしていた俳優さんが病気で亡くなったというニュース(リアルの)を観た時はすごく悲しかった。8話くらいから代わりの「新・お父さん」がいたが、俳優が変わったということもあるのかピンピンしていて前の俳優の演技が無かったかのように見えたのもすごく悲しかった。
空から劇場版を暖かく観てほしいなと涙を流しながら願った最終回。落ち着いたら、次のシーズンもありますように。


役に「森」、本名に「生」が入っているのは偶然。捻くれている役柄に惹かれる私。心も捻くれているのだろうか。
元はと言うと、松田龍平さん目当てで観ていたので、他の役に心を奪われるんだなと不思議な気持ちになる。


観了後、結婚発表の記事が目に入った。最高の作品とおめでたい話を有難う。映画「探偵はBARにいる」の3作品を見るのが益々楽しみだ。アマプラビデオ、Netflixのような媒体には感謝してもしきれない。


今秋観たドラマの2期がないかと勝手に待ち遠しさを抱えている。何はともあれ、最高の秋になったことは間違いない。



※わたしが描いたイラストです

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