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【エッセイ】旅の先に

 迷っているというのは出口を探しているということだ。自分の中でだけでも、答えを出したいということだと思う。 座り込んでいる時やひたすらに寝ている時でも、きっとそれは必要な時間で、ある意味で迷っているのだと思う。

 二〇二三年の三月九日、私はそう書き残していた。この時の自分が出口を探していたのかどうかは覚えていないが、きっと私はいつでもなにかを探し、どこかへ行こうと道に迷い、時々の決断に迷っている気がする。座り込んでいる時やひたすらに寝ている時を過ごしながらも、きっと私はそうなのだろう。

 作家になるという夢を追いながら、足元の花を見たりして私は過ごしている。体調によって出来ることと出来ないことがある日々の中で、執筆と趣味と家事を繰り返して過ごしている。これで良いのかと自問することも多々ある。作家を目指しながら別のこともがんばろうと思い、行動してみた結果、体調を崩してその道は行けなくなったことも記憶に新しい。私はきっと、ずっと旅の中で迷いながら過ごしている。

 誰しも、そうなのかもしれない。夢があったり趣味があったり、しなければならないことがある中で、自分の大切なものを守り、迷いながら過ごしている。街を行く人々は、なにも問題のないような顔ですたすたと歩いている。けれども、皆、心の中に沢山のものを抱えながら生きているのだろう。

 私は時々、自分だけが一生懸命で自分だけがつらいのではと思ってしまうことがあった。最近ではあまりなくなったが、何年も前の私は自分のことしか見えていなかった。そして、そのことに気が付いていなかった。視野が狭く、心が重たく、毎日に太陽がなかった。その長い期間を終えて今日こんにちを迎えている私は、沢山の友人に支えられて此処まで来られたのだ。これから私は友人になにを返せるだろう。私は友人に、ひいてはひとに優しく在ることで、自分の人生と周囲のひとの人生を大切にして行きたい。

 今後も私はずっとなにかを探し、どこかへ行こうと道に迷い、時々の決断に迷っていると思う。それが人生を生きるということかもしれない。その旅の先に灯を灯し、作家になるという決意を此処に残す。

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