【エッセイ】大切なことは忘れたくない

「あとでやろう」と「あとでやろう」がくっついたり、集まって来ると、ぷよぷよの連鎖みたいになって用事ごと消えることが分かった。或いは記憶が。なるべく早めに用事はこなしたい。

　本日の午後八時頃、ふとそう思いました。

　私自身はたいして用事はないと思っているのですが、メモしてみると割とあったりします。メモに残さないと忘れてしまうので書き出してあるのですが、その書き出した用事すら、あまり時間が空くと忘れてしまいます。メモしたことすら忘れています。やがて日常の隙間に思い出すこともあるのですが、やらなくちゃ、と思ったのはその一瞬で、また忘れてしまいます。

「あとでやろう」

　これひとつならば、長い間、覚えていられます。

「あとでやろう」「あとでやろう」

　用事がふたつになったのに後回しにしていると、ちょっと覚えていられるか不安になって来ます。この時点で「あとでやろう」同士がくっついてぷよぷよのように連鎖を起こして虚空の彼方に消えてゆく時もあります。そして、私は消えたことすら忘れてしまいます。

「あとでやろう」「あとでやろう」「あとでやろう」

　用事がみっつになったのに後回しにしていると、高い確率でぷよぷよのように連鎖を起こして虚空の彼方に消えてゆきます。消えたことすら私はやがて忘れてしまいます。

　忘れても思い出す場合もあるのですが、おそらく忘れたことすら忘れている場合もあると思います。

　忘れたのだからさして重要なことでもないのだろう。そう思う時もありますが、かなり私の中では重要なことだったという場合もあります。困ります。

　可愛い紙のメモ帳や付箋を沢山持っているので、それらに書いてマスキングテープとかで壁に貼っておこうかなと今日、思いました。可愛いうみぞうのイラスト付きで。自宅の室内の扉などには「うみぞうはこうちゃもたしなみます」とか書かれたメモ帳がうみぞうのイラストと共に飾ってあったりもします。なごみます。

　忘れたことすら忘れてしまう。これが私は恐ろしいと思っています。人間の記憶域にはたぶん限界があるので、忘れて行くことも必要なことですし、忘れたくなくても忘れてしまうこともあるとは思いますが。なるべくなら、忘れたくないことは忘れたくないのです。その為に用事は忘れる前にこなしたいし、文章化が出来ることは文章にして残しておきたいです。

　日々の生活の中で、大切なことはずっと覚えていられますように。