たかはしきょうこ

俳優。 1978年度生まれの女4人の演劇ユニットチタキヨ http://chitak…

たかはしきょうこ

俳優。 1978年度生まれの女4人の演劇ユニットチタキヨ http://chitakiyo.net 喫茶店での日常を愛したい。 気になるものは マネキン、朽ちた薔薇、海月。 そこに自分の何かが隠れている気がしています。

マガジン

  • ひとりごと日記

  • 喫茶店のこと

  • 「静香のこと」

    短編映画『狂熱』の 役作りから生まれたお話。 本編とは別の わたしの想像の物語。

  • 「わたどこ」

    2月11日に公開!出演映画「私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは・・・」(北尾和弥監督作品)について、いろいろ書いてみようと思います。

  • 短編小説のようなものたち

記事一覧

「ほっ」と ひと息

今日は おやすみ。 自分のために 珈琲を淹れて 久しぶりに「ほっ」としている。 そんな気がする。 鞄から 本を取り出す。 電車の中で読もうと持ち歩いていたけれど 落ち…

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プロフィール詐欺

1978年生まれ。 喫茶店で 珈琲を淹れる日常の仕事と 俳優としての活動とをライフワークとし マイペースに活動。 1978年度生まれの女だらけの演劇ユニット チタキヨ メンバ…

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喫茶店時間と わたどこと

約束の時間まで 1時間以上ある。 その駅には 気になっていた喫茶店があることを思い出し なんて絶妙なタイミングと 楽しみに向かった。 ちょうどカウンターの真ん中 マス…

彼女は 何を着る?〜わたどこの衣装選び

北尾監督の回顧録に、衣装について書かれていたので、衣装選びについて書いてみよう。 舞台やインディーズの映画において、衣装を自前で用意することは多い。手持…

わたしの 「わたどこ」との付き合い方

わたしが出演している長編映画「私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは・・・」(タイトルが長いので、通称「わたどこ」としています。)が…

わたしはわたし。わたしのために。

実家みたいな喫茶店。 3ヶ月ぶり。…。もう3ヶ月か! ほんとうは 新しい仕事を決めて 軌道にのってから 胸を張って報告に来たかったのだけれど。 テレビ番組で 有名な…

毎回忘れて また新しく

この 喫茶店を訪れるのは 何度目だろうか。 安定の お気に入り。 おなかがぺこぺこだったので 唯一のフードメニューのクロックムッシュ。 これしかないって潔い。 選択肢…

10年後に 理想の居場所を。

早めに訪れてしまった夏休みが 終わる。 新しい職場で働くことになった。 ✴︎ 自分を律するのではなく 泳がせた1ヶ月半。 生活リズムは無茶苦茶だし お酒の量も増えたし…

実家みたいな。

わたしの喫茶店歴も ずいぶん長くなったものだけれど 20年ほど前に 初めて働いた喫茶店は 喫茶店の実家みたいなもので 頻繁にではないけれど 折を見て里帰りをする。 先日…

その愛すべき距離感を 突破するか

2015年11月から この珈琲を淹れている。 2017年9月頃に 今の店に移動して 自分の暮らし方を考えながら ずっとずっと続いていた日常。 手放すと決めたら あっというまだ…

そのときが来れば。

びっくりしている。 遠くを見ることを諦めて 目の前を見て しばらく 変わらずにいくつもりだったのに。 ひっくりかえしちゃった。 きっかけを ありがとう。 目の前を見…

トンネルを抜けたら

トンネルを抜けるのかな。 そんな気がしている。 そこには 何も変わらない道が続いているようで 手放せるかもしれないと思ったものたちも わたしは やっぱり 変わらずに …

避難所

冷たい雨。 気を抜いたら 道を間違え いつのまにやら遠回り。 凍えた身体を 緩めたくて。 目についた喫茶店に飛び込んだ。 小さな空間に みちみちと人が詰まっていた。 …

添い寝の君

差し出された腕を合図に 彼の左肩に頭をのせる。 首筋の匂いを嗅ぎ 足を絡める。 わたしたちは ぴたっとピースがはまったみたいに しっくりと ひとつになる。 そして 眠る…

鏡よ 鏡、わたしの味方

「ちょっと お化粧直し。寄っていい?」 駅のトイレに 朋子が入ってゆく。 入り口付近で待ちながら わたしはフェイスパウダーのコンパクトを開く。 小さな鏡についた粉を…

今よ 永遠に

匂いが 近くまで 戻ってきている。 そんな気がする。 もわもわと立ち昇る湯気に 温かさだけではない ムオムオとしたものが加わるようになった。 わたしの知っている珈琲…

「ほっ」と ひと息

「ほっ」と ひと息

今日は おやすみ。

自分のために 珈琲を淹れて
久しぶりに「ほっ」としている。
そんな気がする。

鞄から 本を取り出す。
電車の中で読もうと持ち歩いていたけれど
落ちついて読めていなかった本を開いた。
また 最初から。

最近 集中力がないと感じていた。
本を読んでいても
片足しか浸かっていないような。
何を読んでいるのか わからなくなる。

文章を書いても 途中のまま。
note にも 下書

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プロフィール詐欺

プロフィール詐欺

1978年生まれ。
喫茶店で 珈琲を淹れる日常の仕事と
俳優としての活動とをライフワークとし
マイペースに活動。
1978年度生まれの女だらけの演劇ユニット
チタキヨ メンバー。

わたしのプロフィールの文章だ。
これに 主な出演作を加えて。

映画のクラウドファンディング用に
プロフィールを求められて
この文章を送ったところ
(きっと いい意味で) 笑われた。
俳優としてのプロフィールなのに

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喫茶店時間と わたどこと

喫茶店時間と わたどこと

約束の時間まで 1時間以上ある。
その駅には
気になっていた喫茶店があることを思い出し
なんて絶妙なタイミングと 楽しみに向かった。

ちょうどカウンターの真ん中
マスターが珈琲を淹れる窓の前が空いていた。
混み合う休日は受けられないこともあるという
ネルドリップ珈琲を
タイミングが大丈夫だからと受けてくれた。
ネルドリップ目当てだったので嬉しい。
とても優しい 珈琲だった。

控えめに ぽろりぽ

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彼女は 何を着る?〜わたどこの衣装選び

彼女は 何を着る?〜わたどこの衣装選び


北尾監督の回顧録に、衣装について書かれていたので、衣装選びについて書いてみよう。

舞台やインディーズの映画において、衣装を自前で用意することは多い。手持ちのものや 知人に借りる場合もあれば、そのために購入しようと探し歩くこともある。予算がおりることもあるけれど、あまりないために自前を求められることも多いので、自分で購入することも。その後、私服として使えるものならばいいけれど、自分と かけ

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わたしの 「わたどこ」との付き合い方

わたしの 「わたどこ」との付き合い方


わたしが出演している長編映画「私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは・・・」(タイトルが長いので、通称「わたどこ」としています。)が、2月11日(土)から 渋谷のイメージフォーラムにて公開される。

北尾和弥監督が 自身の世界観を突き詰めて創りあげた この作品を、ぜひ たくさんの人に観ていただきたいと思っている。

ところが。この映画は、魅力を言葉で伝えることが、とて

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わたしはわたし。わたしのために。

わたしはわたし。わたしのために。

実家みたいな喫茶店。

3ヶ月ぶり。…。もう3ヶ月か!

ほんとうは
新しい仕事を決めて 軌道にのってから
胸を張って報告に来たかったのだけれど。

テレビ番組で
有名なタレントが絶賛したからと
売り切れが続いていたアンプレスも
今日は まだあるようでホッとする。
評判になっても
やたらと仕入れを増やしたりしない
商売っ気のなさも 嫌いじゃないょ。
だけど わたしが食べられないのは寂しい。

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毎回忘れて  また新しく

毎回忘れて また新しく

この 喫茶店を訪れるのは 何度目だろうか。
安定の お気に入り。

おなかがぺこぺこだったので
唯一のフードメニューのクロックムッシュ。
これしかないって潔い。

選択肢の多さは 楽しさもあるけれど
やたらと迷ってしまったり
あっちのほうがよかったかもと
後に目移りしてしまったり。
ちょっと疲れてしまうことも。

潔いメニューは
変わらずに存在してくれて
無駄なパワーを使わせない。

今日は これ

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10年後に 理想の居場所を。

10年後に 理想の居場所を。

早めに訪れてしまった夏休みが 終わる。
新しい職場で働くことになった。

✴︎

自分を律するのではなく 泳がせた1ヶ月半。
生活リズムは無茶苦茶だし
お酒の量も増えたし
自分の言動に わーーーーとなることもあるけれど
わたしは 元気だ。とても。
そのことに ちょっと感動する。

ここ数年のわたしを支えていた
喫茶店の仕事による日々のルーティン。
ぽーんと放り出された自分が どうなるのか
不安にな

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実家みたいな。

実家みたいな。

わたしの喫茶店歴も
ずいぶん長くなったものだけれど
20年ほど前に 初めて働いた喫茶店は
喫茶店の実家みたいなもので
頻繁にではないけれど 折を見て里帰りをする。

先日も また。
6年半働いた喫茶店を卒業して
これからのことも何も決めていない今
原点に戻って 自分の本音を知りたくて。
そんなときは 実家に帰るに限る。

賑わう店内。
カウンターから離れた席なので
本を読み、音楽を聴き、ぼんやりす

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その愛すべき距離感を 突破するか

その愛すべき距離感を 突破するか

2015年11月から
この珈琲を淹れている。

2017年9月頃に 今の店に移動して
自分の暮らし方を考えながら
ずっとずっと続いていた日常。

手放すと決めたら
あっというまだった。

残された時間を大切に。
感謝の気持ちで過ごせますように。
そう祈る日々。

とはいえ
天使のような心持ちばかりで
仕事ができるわけでもなく
何も変わらずに日々は過ぎて。

急なことで
お客さまへの挨拶も ままな

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そのときが来れば。

そのときが来れば。

びっくりしている。

遠くを見ることを諦めて
目の前を見て
しばらく 変わらずにいくつもりだったのに。

ひっくりかえしちゃった。

きっかけを ありがとう。

目の前を見て
自分に問いかけたら
答えは出た。

そういうものなんだろう。
動くときというのは。

悲しさや寂しさもあるけれど
そのタイミングの波に
うまく乗れば
ぐいーんと前に進めるだろう。

動き出した。

トンネルを抜けたら

トンネルを抜けたら

トンネルを抜けるのかな。

そんな気がしている。

そこには
何も変わらない道が続いているようで
手放せるかもしれないと思ったものたちも
わたしは やっぱり 変わらずに 持っている。

なんだ。
変わらないじゃない。

だけど
それでも
抜けるんだな、という気がする。

遠くを見ることを 今しばらく 諦める。
わたしは 近眼だからなぁ。
いつか老眼がやってくる、それまでは。

目の前を見る。
欲し

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避難所

避難所

冷たい雨。

気を抜いたら
道を間違え いつのまにやら遠回り。
凍えた身体を 緩めたくて。
目についた喫茶店に飛び込んだ。

小さな空間に
みちみちと人が詰まっていた。

ゆっくり過ごしたいときには
出直すところだけれど
凍えたわたしには あまり時間もなく
次の用事までに 少しでも復活したかったのだ。

カウンターの隙間に収まる。

年配の女性が
なんでもないことみたいに
さらりと淹れた珈琲が

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添い寝の君

添い寝の君

差し出された腕を合図に 彼の左肩に頭をのせる。
首筋の匂いを嗅ぎ 足を絡める。
わたしたちは
ぴたっとピースがはまったみたいに
しっくりと ひとつになる。

そして 眠る。

眠りに落ちきる間際の微睡み。
夜中に どちらかが寝返りをうつとき
一瞬 離れた肌を求めて お互いに弄り
また しっくりと嵌る形をみつけたときの
なんともいえない安心感。

至福の眠りだ。

✴︎

目覚ましの音は
小鳥の鳴き

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鏡よ 鏡、わたしの味方

鏡よ 鏡、わたしの味方

「ちょっと お化粧直し。寄っていい?」
駅のトイレに 朋子が入ってゆく。

入り口付近で待ちながら
わたしはフェイスパウダーのコンパクトを開く。
小さな鏡についた粉をティッシュで拭き取り
ちょちょちょっと 覗き込む。
右目、左目、口元、うん、きっと、大丈夫。

「中に鏡あるのに」

トイレから出てきた朋子は
隙なく 出来上がっている。

「うん。駅のトイレの鏡って嫌いなんだもん。
絶対ブスに映る

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今よ 永遠に

今よ 永遠に

匂いが
近くまで 戻ってきている。
そんな気がする。

もわもわと立ち昇る湯気に
温かさだけではない
ムオムオとしたものが加わるようになった。
わたしの知っている珈琲の匂いではないけれど
色合いが感じられるのは嬉しい。

日常の ふとした瞬間に
匂い?と 立ち止まる。

レモングラスが感じられるらしく
美容院で不意に流れ込んできた
シャンプーの香りに
わーわーわーと 心が叫んだ。

レモングラス

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