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肺胞出血闘病回顧録_Day 1 ①一回目の喀血

※出血の表現があります。ご注意ください。

2018年8月のとある土曜日、ウミネコは三度の喀血に見舞われた。その一回目について記す。


一週間前〜前日 若干の体調不良

一週間くらい前から喉が痛く、前日から少し咳も出ていた。また、胃が荒れ気味だった。しかし、口を開けて寝たりして喉を痛めることも、胃が(日々のストレスで)荒れているのも珍しくない。咳はたまにエヘンと出る程度。疲労感や息切れも無かった。

総じて風邪の引き始めの中でもごく初期という印象だったため、病院には行かず胃腸薬以外に市販の薬も飲まず、様子を見ているところだった。


Day 1, 午前 自宅で一回目の喀血→何事もなく治まる

図1

ウミネコはいつも通りの休日を過ごそうとしていた。朝食を済ませた後、自室でくつろいでいた。

夕方には近所のイタリア料理店で夫の誕生日を祝う予定があり、美味しいものを食べられると朝からウキウキしていたのを覚えている。

その時だった。ふいに喉から液体がせり上がってくる感覚がした。鼻血が出たときに顔を上に向けたら血が喉を通って口に流れ込んでくるのとよく似た感覚である。その液体をティッシュに出して見たら1円玉大くらい、大体0.5 mLの血だった。血を吐くといえば太宰治という変な観念があったので、とっさに彼の顔を思い出した。

最初は鼻血が出たのかと思った。そこで鼻にティッシュをあてがったが、血は全く付かない。鼻血ではないのだろうか?そうしている間にも、口から血が出てくる。一回に出る量は最初と変わらないが、3〜4秒にひと吐きのペースで血が泉のように湧き出てきて止まる気配がない。そこでウミネコはティッシュを2枚ほど使った後で、次のティッシュを口に当てながら、若干急いで洗面所へ移動した。

ペッペッと血を吐き出しながら、わけがわからないなりに状況を把握しようとした。

まず、口の中や唇が切れたことを疑い、鏡を見たり舌で触れて痛みがないか確認した。しかしどこも切れた様子がない。では出血源は口より奥のようだが、いきなりなぜ?と訝った。

次に、白い洗面台に吐き出された血を観察した。血は鮮やかな赤色で、細かい泡状になっている。実はこれらは呼吸器から出血し口から吐く「喀血」の特徴である。しかし当時のウミネコは、「喀血」と出血元が消化管である「吐血」の違いも、それぞれの原因疾患も、何も知らなかった。ただ、鮮やかということは動脈血だろうか、体内でたくさん出血していたら嫌だなぁと少々不安になった。

そして最後に、体に変化がないか確認した。どこか痛くないか、苦しくないか、ふらつかないか……、しかし異常な感覚は何もなかった。ただ、前日までと同じで喉が少し痛く、胃が少しムカムカしていた。ちなみに、血を吐いている最中に咳は出なかった。

この時点で、ウミネコは別室にいた夫を洗面所へ呼んだ。夫は常に冷静沈着な性格をしており、血を見ても「うへぇ…」と少し驚いた程度だった。

血が溜まっていく様を見るのは気味が悪かった。血の観察と夫へのお披露目(?)が済んだため、ウミネコは洗面台の血を水で洗い流しながら、新たに出てきた血を排水口に直接吐き出した実はこの行動は失敗だった。

しばらくすると血を吐かなくなった。吐き出したトータルの血の量は、数十mLあった気がする。しかし具体的な量はわからない。

ヒトが口から血を吐く原因はたくさんある。それは病院に行く必要のないものから一刻を争う重篤なものまで様々だ。医師や救急隊員といった医療従事者は、血の状態や量、付随する症状から重症度や緊急度を判断し、その後の対応を決めるようだ。

この「血の状態や量」は、結構大事な情報らしい。しかしこういった事柄を、医療の素人が客観的な尺度無しに言葉だけで伝えることは難しい。実際ウミネコは、この後に行った病院で、血の特徴を医師に正確に伝えられなかった。血を吐いた時は、量がわかるように容器に溜め、現物の写真を撮っておくべきだったのだ。


(Day 1 ②救急外来で風邪診断、一旦帰宅 へ続く)

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