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新聞のスクラム読みで世界を変える

新聞を誰かと一緒に読むことで、1人では得られない深い気づきや学びを得ることのできる、「新聞のスクラム読み(通称スク読み)」

日経新聞×noteが運営するコミュニティ、Nサロンの「新聞部」で生まれた活動ですが、その生みの親の初代部長のイッシーさんとマンツーマンで「日経新聞スクラム読み」をやりました。
2人なのでスクラム読みじゃなく、正確にはペア読みですね。

マンツーマンでのスク読みはお互い初めてでしたが、12/13の日経新聞の記事をもとに、90分間、話の発散・収束を繰り返し、

「ビジョンは示すものではなく、行動をともなってワンセット」
「ビジョンを浸透させるには、自分が本気でそれにコミットする」
「そうすることで、それに共感する人が集まる」
「共感する人が集まると、それが個別最適から全体最適に広がっていく」

という、世の中をよりよくしていくための行動指針をインサイトとして導き出しました。

新聞のスクラム読みって、なに?

「新聞のスクラム読み」は、新聞を誰かと一緒に読むことで、1人では得られない深い気づきや学びを得る、新聞を味わい尽くす活動のことです。

基本的なやり方はこんな感じです。

▼やり方
①記事を読む
 各自が新聞を読み、最も気になった記事を1つ選ぶ
②記事について話す
 記事の概要、選んだ理由について、1人ずつ発表
③記事を広げる
 発表内容をもとに自分の意見や知識・経験をシェア
④記事をつなげる
 記事やシェアされた意見の共通点をつなげる

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スクラム読みのメリット

新聞は1人で読んでも、気づきや学びを得ることができますが、そこに他の人の意見や知識、経験をかけあわせることで、1人の時よりもさらに多くの深い気づきや学びを得ることができます。

また、人に「話す」こと、知っていること、経験したことを「教える」ことで、ただ「読む」だけの時より、学んだことを深く自分の中に定着させることができます。

アメリカ国立訓練研究所が発表した研究結果では、「能動的な学習(アクティブ・ラーニング)は学習定着率が高い」と言われています。

このnoteを読んでいる方も、「人に何かを教えた」経験があると思いますが、人に教えることで「より自分の理解が深まり、記憶にも残った」経験があるのではないでしょうか。

スクラム読みをすると、記事の内容を「なんとなく知っている」から、「自分の意見が言える」状態にすることができます。

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選んだ記事

いつもは「1人1記事」ですが、今回は2つずつ記事を選びました。

最初に私が選んだのは「国際会計基準(IFRS)」に関するこの記事です。
記事によると、IFRSの採用企業数は増えているがその課題として、「営業利益の定義が企業間で異なる」、「100社を調査したところ、9つの定義が存在した」という、個人投資家として驚きの内容でした。

私は日本株への投資を行っていますが、投資先を選ぶ際は当然、投資先企業の業績をチェックします。
業績をチェックする際は、売上高や営業利益、営業利益率など、各種の指標で同業他社との比較を行いますが、指標の定義が企業間で異なっていると、誤った理解をして投資を行ってしまうリスクがあります。

政府は「貯蓄から投資」への方針を掲げ、1面でも2020年度からNISAを新制度に移行すると記事にとりあげられていましたが、こうした会計基準の複雑さは個人投資家や、これから投資を始めようとする人にとって、「やっぱり投資は難しい」と、投資離れを招く恐れがあると感じました。

イッシーさんからは、

「制度面の整備より先に、まず金融知識や会計知識について学ぶ機会を整備する方が大事なはずなのでは」という意見が出ました。

続いてイッシーさんが選んだ記事は、マクドナルドの復活を解説したこの記事。

現在は富山在住のイッシーさん。生活圏内にマクドが2店舗あるそうですが、いつもめちゃくちゃ混んでいるそうです。
「食品偽装問題の業績低迷からのこの回復ぶりはすごい!」ということで、カサノバCEOが何に手を入れたのか気になって読み進めたところ、収益に直接結びつく商品ではなく、「収益に直接結びつかない店舗改装から手を入れたのがすごい」とのこと。

さきほどのIFRSの話とつなげ、

「目先のところに取り組むのはわかりやすいけど、本当に状況を変えたいならその土壌から耕さないといけない」
「表面上見えていることに疑いの目を持ち、真に必要なことは何か?に目を向けるべき」

という感想を持ったようです。

そこから、「なぜ店舗改装が客数増につながったのか?」と話が発展し、

・まず最初に、お客様と商品の間にいる働き手に対し、マクドナルドを変えるという覚悟を店舗改装で示したのでは。
・コクヨも業績低迷した際、オフィスを変革することでコクヨを変えるという覚悟を経営者は従業員に示した。
・目先の利益を追うのではなく、お客さまとの間にいる働き手に目を向け、そこから変えていかないといけないというのをマクドの事例は示しているのでは。
・自分たちも、実現したいことだけでなく、その間にある何かに目を向けないといけないのではないか。

と、「ビジョンを達成するために必要なものは何か?」という話に広げていきました。

この話の流れに乗って、私が次に選んだのはこの記事。

電子取引が拡大するメリットを中心に書かれていますが、目先の利益のことだけでなく、「利用者や関係者を含めた全体最適を考えないと、普及が進まないのでは?」という話をしました。

そこから「キャッシュレスは普及するか?」、「データをどう活用していくか?」と話が発散した後、「データ活用を成功させるためには、経営者のビジョンとお客さまの両方を理解した働き手が必要」という話から、「働き手の流動性が高まると、会社のビジョンを理解した働き手は減るか?」という論点で議論が盛り上がりました。

私は、複業のように働き方の自由度が増すことで、会社のビジョンに共感し、それを体現している経営者のもとに働き手が集まるようになるため、働き手の流動性が高まることで、むしろ、会社のビジョンを理解した働き手は増えると考えています。

そのあと、イッシーさんがあえて変化球として「アラムコの時価総額が2兆円超」という記事を選びましたが、ESG投資というキーワードから、「環境を大事にしない会社は生き残れない」、「ESGは前提。石油で人を幸せに、環境にも優しく、の両方を実現するビジョンを考えていく必要がある」と、

・ビジョンをどう浸透させるか
・全体最適をどう実現するか

に論点は戻り、冒頭にあげた結論に至りました。

「ビジョンは示すものではなく、行動をともなってワンセット」
「ビジョンを浸透させるには、自分が本気でそれにコミットする」
「そうすることで、それに共感する人が集まる」
「共感する人が集まると、それが個別最適から全体最適に広がっていく」

まとめ

今回のスク読みを一言でまとめると、

「目先の利益を追うのではなく、全体最適を考えてビジョンを掲げ、それにコミットする姿勢が大事」

ということになると思います。
実現したいことに本気で取り組んでいると、最初はそれが個別最適だったとしても、それに共感する人が集まり、結果として全体最適につながっていくのではないかと思います。

ここで、イッシーさんが新聞部に対する思いが綴られたnoteを引用します。

つながりについて
このキーワードはこれからの時代にとても大切な要素だと思っています。
連想されるのは人と人との関係性からくるその言葉なのですが(もちろんそれは大事なのですが)ここではあえてイノベーション的な観点からです。
調子に乗ったおおごとになってきてますが、マジメにそう思うのです。

(中略)

さらに言ってしまえば、新聞部自体がかけ算の結果です。
もしも、部を楽しんでくれている人が少しでもいて、中には何か転機になったなんていう人がいて、その場が必要で求められるものとなるのであれば、小さな小さなイノベーションと言えるかもしれません。

「心理的安全性をもって経済をディスカッションし、個人の横展開を創る場」にしたい。というビジョンを掲げて始められた新聞部。

最初は2人しかいなくても、今もまだNサロンの中だけの活動だとしても、ビジョンにコミットし続けていれば、そこに人が集まり、それが世の中に広がっていく。

「新聞をみんなで読む」というこの活動も、いつか「人と人をつなぎイノベーションを起こす活動」に発展しているかもしれません。
そんな夢を持ちながら、引き続きスク読みを続けていきたいなと思います。

新聞のスクラム読み、「やってみたい」と思われた方は、お気軽にTwitterのDMなどでご連絡ください。
新聞、一緒に読みましょう(^^)



いつも支えてくれている嫁と息子に、感謝の気持ちとして美味しいお菓子を買ってあげたいと思います^^