2010年07月16日 坂本龍一さん Playing the Piano セットリスト
暫くの間、他所にあげていたセットリストの掘り起こしを続けます。感想は当時のものですが、ここでは極力その時の文章のままで。
これは2010年7月の坂本龍一さんのコンサートの時のメモ。この頃はとても丁寧に書いてますね、僕…。
教授、快癒をお祈り申し上げます。
*****
2010-7-29
先日、銀座のヤマハホールで教授のピアノコンサートを見てきたのでそのレポートを。2月に新装オープンとなった、伝統ある銀座ヤマハのヤマハホール---キャパ僅か333人の「音に贅沢な」ホールにて。
坂本龍一 ”Playing The Piano”
(16 Jul 2010 / ヤマハホール)
教授のPlaying The Pianoは2009年の春、冬に続いて、と言うことになるのだが、教授のライブ自体はこの4月の「生スコラ(教授がやっていたNHK教育の音楽番組)@紀伊国屋サザンシアター」以来。去年8月にYMOでも観ているから、何だかんだ言って年4回くらいは教授の姿を拝んでいることになる。一昔前じゃ考えられないペースでアクティブな教授に感謝。
さて、今回はホールも小さく、観客との距離感も近いためか、教授はかなりリラックスムード。何曲か弾いてはマイクで解説や雑談をする、というスタイルは「スコラ」を彷彿とさせる。とにかく音の響きが深いこのホールで、ヤマハ渾身の力作であるコンサートグランドピアノを坂本龍一さんが弾く、というだけでも感涙ものだが、教授が機嫌よく饒舌に音楽について話しているのを見ていると、どうも勝手が違ってくる。ま、楽しいのでいいんだけど。
*********
今回、頭の2曲はフェネスとの新作から。去年の春のツアーの折、各地で調を変えて即興曲を弾いていた教授だが、この2曲はその即興曲にフェネスが音をかぶせたものなんだそう。実はその即興曲にも裏話があり、ツアー本数が24本(これはハ長調・イ短調といった「調」の総数と同じ)だったことから、1か所ごとにハ長調、ハ短調、ニ長調、ニ短調…と調を変えて24曲作っていったのだとか。うーむ、深い。
5曲目からはヤマハが最近発売したコンサートエレピCP1とグランドピアノを行ったり来たり。CP1を丹念に説明しつつ、このエレピに付けられた3段階に光るYAMAHAのロゴをカチカチとやって遊ぶ教授に客席にも笑いが起こる。客席も教授慣れした人ばかりでいいムードだ。
しかし、それにしてもこのCP1はなんといい音なんだろう。生ピアノの音も素晴らしいし、フェンダーローズ的なエレピの音も気持ちいい。「青猫のトルソ」なんてもう、オリジナルそのまんまの音。このエレピ欲しいなあ、なんて思って後でカタログを観たら50万もしたけれど(^^;
*********
ライブ中盤、M10の解説から始まった教授の話は、上昇音階と下降音階がテーマに。静かで穏やかなM10も、実は「元気の出る曲」というリクエストで書いたもの、という教授の話に場内爆笑。「あ、でもこの曲は左手の音階が上がっていくんです。音が上がっていくと気持ちが高揚するんですよね」 …ここで「例」としてジョビンの「ONE NOTE SAMBA」を一節。教授が弾く久々のジョビン。イイ!
で、「反対に下がっていくと気持ちも下がっていく、と。で、僕の曲は下がっていくのが多い。その代表的なのがこれですね」…ここで弾き出したのが「Energy Flow」のイントロ。場内大爆笑。「Energy Flow」で笑いが起きるなんてコアな教授ファンの集まりならでは。更に、上昇・下降の話は止まらず、M14では話題がバッハに。「凄く下がっている」例として、ここでは「平均律クラヴィーヴァ曲集第2巻」から一節を弾いて見せたりして、完全にスコラ状態(笑)。
さて、ある種のノンビリムードで続いてきたライブも、終盤は雰囲気が一変。グランドピアノとMIDIピアノを使ってM18、そしてCP1(エレピ音)でM19、更にアンコール1曲目でM20とYMOを畳みかけ、WORLD HAPPINESS間近を感じさせる選曲(翌日の公演では「happyend」の替わりになんと「中国女」をやったらしい)。そして最後はあの「Parolibre」だった。満足度の高いセットリストを、こじんまりとして穏やかな環境の下、美しい響きの中で堪能した、そんな贅沢なライブだった。
教授のライブ、次回は上述のYellow Magic Orchestra(8月8日のWORLD HAPPINESS)。
01. タイトル未定1(新曲/fenneszとのコラボレーション曲)
02. タイトル未定2(新曲/fenneszとのコラボレーション曲)
03. 水の中のバガテル
04. flower is not a flower
05. Asience(CP1)
06. tamago(CP1)
07. 青猫のトルソ(CP1)
08. High Heels
09. koko
10. ambiguous lucidity
11. one note samba
12. energy flow
13. Tango
14. Das Wohltemperierte Klavier 2, BWV889
15. Bibo No Aozora
16. aqua(CP1)
17. Merry Christmas, Mr. Lawrence
18. BEHIND THE MASK
19. Thousand Knives(CP1)
encore 1
20. happyend
21. 1919
encore 2
22. Parolibre
坂本龍一: Piano
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?