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忍殺TRPG小説風リプレイ【フー・ウィル・キル・ニンジャスレイヤー?(その13)】


◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

それではやっていきたいと思います!

◆本編

◇3ターン目

遭遇ニンジャスレイヤー?: 1d12 = (11)
ブレードブレイカー

「ニンジャスレイヤーは負けない……ニンジャスレイヤーは不滅の永遠存在……俺はニンジャスレイヤー帝国の創設者……アカシックレコードに記されしニンジャスレイヤー概念の管理者俺はニンジャスレイヤーを内包し俺すなわちニンジャスレイヤー俺はニンジャスレイヤー俺はニンジャスレイヤー」

 思わぬ偶然によりブラックヘイズの拘束を脱することが出来たニンジャスレイヤーであったが、彼の状況が好転したとは言い難い。その身体から流れ落ちていく血の量も、その口から垂れ流される妄言の内容も、ニンジャスレイヤーが危険な状態にあることを如実に物語っていた。

「俺はニンジャスレイヤー……俺はニンジャスレイヤー……」ニンジャスレイヤーは自分で何処へ向かおうとしているのかも分からず出鱈目に走り続け、気が付けばいつの間にか真夜中のジンジャ・カテドラルに辿り着いていた。「おお……おお!」そこで彼は目撃した。ニンジャスレイヤーが……初代が繰り広げる壮絶なるイクサを。

「イヤーッ!」「イヤーッ!」ブレードブレイカーの唐竹割りをニンジャスレイヤーはブレーサーで迎え撃つ!「イヤーッ!」「イヤーッ!」一瞬後にはニンジャスレイヤーとチキンハートが同時に放ったトラースキックが交差!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」ブレードブレイカーの横薙ぎとチキンハートの回し蹴りがニンジャスレイヤーを挟み撃ちにする!ニンジャスレイヤーはこれをブリッジ回避!ブレードブレイカーのカタナとチキンハートの脚がぶつかり合う!

「「イヤーッ!」」だが2人のソウカイニンジャはそのままカタナと脚を組み合わせたまま振り下ろす!2人のニンジャが互いの攻撃を加速させ合い、その速度と威力は2倍と2倍の2乗、すなわちとてつもない速度と威力を生み出すのだ!いくら死神といえどこの攻撃をまともに受ければネギトロ重点!

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは……ブリッジ姿勢のまま動かない!その天に向かって突き出された腹部に紅きカタナと鋭利な鶏の踵が……叩き込まれる!アブナイ!その様を陰から見ていたニンジャスレイヤーは思わず目を覆いそうになり……次に起こった出来事に閉じかけていた目を極限まで見開いた!

「なにィ!?」「馬鹿な!」ブレードブレイカーとチキンハートは驚愕の声を上げる!ニンジャスレイヤーが突き上げた腹筋……ただの無防備な腹部に自分たちの渾身の一撃が受け止められたからである!そしてその驚愕はニンジャのイクサにおいてあまりにも大きな隙!

「イヤーッ!」「「グワーッ!?」」ブリッジ姿勢を解除したニンジャスレイヤーはそのままブレイクダンスじみた回転蹴りでブレードブレイカーとチキンハートの2人を同時に蹴り飛ばした!

 それにしてもニンジャスレイヤーは如何にしてブレードブレイカーとチキンハートの同時攻撃を耐えることが出来たのか!?答えはニンジャスレイヤーの取った姿勢……ブリッジ姿勢にある!

 読者の皆様の中に古代ローマカラテ、あるいはニンジャカラテ建築学に詳しい方はおられるだろうか?もしいるのならばニンジャの基本的回避動作の一つであるブリッジ姿勢がやがてアーチ橋の建設に繋がったという闇の歴史についても当然知っておられるであろう。

 このアーチ曲線を用いた建造物はエジプト、バビロニア、ギリシャなど数々の強力なニンジャたちを輩出した国家にも存在していたが、古代ローマにおけるコロッセオやガール橋のような大々的な建造物には用いられていなかった。これはすなわちニンジャの存在を隠蔽しようとした何者かが……いや、これ以上歴史の闇を掘り起こすことを無闇にするべきではあるまい。

「イヤーッ!」とにかく今はニンジャスレイヤーのイクサに集中すべし!立ち上がったニンジャスレイヤーは左右に同時にスリケン投擲!「イ、イヤーッ!」蹴り飛ばされてどうにかウケミを取ったチキンハートはこの鉄十字をどうにか蹴り落す!

 一方のブレードブレイカーはすでに体勢復帰しており、野球のバットめいて構えたカタナでスリケンを撃ち返そうとしていた!「イ……」「イヤーッ!」「……アァ?」だがスイングの瞬間、新たなシャウトが戦場に割って入った!「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」

「ドーモ、ブレードブレイカーです……はァ?」「チキンハートです……え?」ブレードブレイカー、チキンハートの2人は困惑した。今まさにニンジャスレイヤーを相手のイクサをしていたところに、ニンジャスレイヤーと名乗るニンジャが乱入してきたのだから。

「ブレードブレイカー=サン。彼は一体……?ニンジャスレイヤー=サンの味方……?ですかね?」「知るか。オイなんだテメェ、ワナビー野郎。シラケさせてんじゃねェぞ」結果的にスリケンを見逃しストライクすることになったブレードブレイカーは乱入ニンジャに対して威圧的に詰め寄る。

「こうして話すのは私がニンジャスレイヤーを継いでからは初めてだな。初代よ」「……」しかし、乱入ニンジャはブレードブレイカーを無視してニンジャスレイヤーへと何やら話しかけた。ニンジャスレイヤーは何も答えず、アイサツすらしない。

「フッ、言葉も出ないか。それは嫉妬のためか、恐怖のためか、あるいは……感動か?」乱入ニンジャはニンジャスレイヤーに指を突きつけ、宣言する。「そこで見ているがいい。この私がお前を、初代を超える決定的瞬間……歴史の転換点を!」「……」ニンジャスレイヤーは沈黙したままだ。

「おいテメェ、無視してんじゃねェぞ。こっち向きやが」「イヤーッ!」乱入ニンジャは振り向きざまのチョップをブレードブレイカーへと放つ!その腕には赤く燃える炎が絡みつき、邪悪なるニンジャを焼き払わんと「イヤーッ!」「アバーッ!?」

ニンジャスレイヤー?『対抗判定:カラテ』+『★カトン・パンチ(1)』:
11d6>=4 = (1,1,4,6,1,5,1,2,4,5,2 :成功数:5)

ブレードブレイカー『対抗判定:カラテ』+
『◉◉タツジン:イアイドー(2)』+『イチガツ(カタナ)(2)』:
21d6>=4 = (2,1,2,6,4,1,6,2,1,1,4,4,4,2,6,6,2,2,4,6,5 :成功数:11)
ニンジャスレイヤー?体力1 精神力0

 乱入ニンジャのチョップがブレードブレイカーの高級ヤクザスーツに触れるより早く、ブレードブレイカーのヤクザキックが乱入ニンジャの下腹部へと突き刺さっていた。「オゴーッ!」その一撃は乱入ニンジャの腹筋を貫通し、内臓を破壊された乱入ニンジャは血塊を吐いた。

「オイ、ニンジャスレイヤー=サン。なんなんだコイツは。テメェの知り合いか?」ブレードブレイカーはニンジャスレイヤーに尋ねる。「知らぬ」ニンジャスレイヤーは短く答えた。

「……!ウワアアァァァーーーッ!」それを聞いた乱入ニンジャは突如半狂乱となり、絶叫しながら何処かへと走り去っていった。「ブレードブレイカー=サン!追いかけますか!?」チキンハートはクナイを構えながら確認する。「ほっとけバカ!それよりもこっちに集中しやがれ!」ブレードブレイカーはもはや乱入ニンジャに一瞥もくれず、ニンジャスレイヤーを注視した。

※ニンジャスレイヤー?は今後、攻撃側でダイス+2、守備側でダイス‐2。

◇◇◇

遭遇ブレードブレイカー: 1d12 = (2)
ニンジャスレイヤー

「訳の分からねェ邪魔が入ったが」ブレードブレイカーは垂直に立てたカタナを顔の横に持っていくハッソー・スタイルを取る。消耗が少なく、長期戦に向いているとされるイアイドーの構えである。「続けるぞ、いや終わりにしてやる。今度こそなァ」

「私もいい加減オヌシらの顔は見飽きたところだ」ニンジャスレイヤーはジュー・ジツの構えを取り、ブレードブレイカーの放った殺気を真っ向から受け止めた。ニンジャスレイヤーは僅かな時間、過去を想起する。目の前のニンジャと初めて出会った夜のことを。

 ブレードブレイカーはかつて一介のソウカイニンジャだった。上から与えられた任務をこなし薄汚いマネーを稼ぐ、スラッシャー上がりのレッサーヤクザ。いずれはインガオホーの時を迎えて死んでいく定めにあるテッポダマの一人。ブレードブレイカーという男はただのそれだけの存在でしかなかった。

 それがいつの間にか経験を積み、実績を上げ、カラテを鍛え、フジキドにとっての恩人であるドラゴン・ドージョーの者たちを含む大勢の無辜の民を犠牲にし、ついにはソウカイ・シックスゲイツの座にまで上り詰めた。そしてそれはすべてあの夜、ホーリースマイト・オブ・ブッダ・テンプルにて、ニンジャスレイヤーがブレードブレイカーを取り逃がしたことから始まったのだ。


「イイィヤアーーッ!」思考は何の脈絡もなく打ち切られた!唐竹割り!袈裟斬り!後ろ回し蹴り!ブレードブレイカーが得意とするイアイドーとヤクザカラテのコンビネーション!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは装束にカタナが掠めるほどぎりぎりのところで回避!

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」反撃のチョップ突き!ショートフック!エルボー!カタナの間合いより更に接近してのワン・インチ距離カラテ!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」ブレードブレイカーはカタナを鞘に仕舞い、ボックス・カラテめいた拳撃で迎え撃つ!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」両者譲らぬ互角の攻防!横で見ているチキンハートが手出し出来ぬほどの至近距離で行われるカラテはジゴクの坂を転げ落ちるイン・ヤン模様車輪めいてその速度を危険な水準まで上昇させていく!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」

ブレードブレイカー『対抗判定:カラテ』+
『◉◉タツジン:イアイドー(2)』+『イチガツ(カタナ)(2)』:
21d6>=4 = (6,3,1,4,6,1,3,6,3,4,6,4,4,3,3,3,5,2,3,6,2 :成功数:10)

ニンジャスレイヤー『対抗判定:カラテ』+
『◉◉タツジン:ジュージツ(2)』+『◉鉄拳(2)』:
20d6>=4 = (2,5,2,1,6,1,1,3,5,5,5,3,2,3,5,2,1,4,5,6 :成功数:9)
ニンジャスレイヤー体力9 精神力12

◇◇◇

遭遇セルフハーム:1d12 = (5)
ブラックヘイズ&リストレイント

「ハァーッ!ハァーッ!早く……早くしてよ!」閉店時間を迎えてシャッターを下ろされたスポーツ用品店『ショージンSAY』。その店舗内に鍵を破壊して逃げ込んだセルフハームはバレーボールが詰め込まれたボールかごの中に身を潜め、必死で携帯UNIXを操作していた。

「こんな時に役に立ってこその傭兵でしょうが!ノーティス送ってるのに!早くしないとあの子に見つけられる……!」セルフハームはイライラを鎮めるために右目を覆うPVC包帯を外し、眼孔に埋め込まれた刃物に指を沈めたり抜いたりを繰り返した。

 キャバァーン!「フーッ……!やっと返事が来た!」暗がりの中で眩しく光る携帯UNIXの液晶画面には『了解』の2文字。セルフハームが送った救援ノーティスがブラックヘイズに届いたのだ。セルフハームは安堵の息を吐くと右目の包帯を巻きなおし、ボールかごの中から出る。彼女が携帯UNIXの電源を落とすと店内は完全な闇に閉ざされた。

 ネオサイタマの死神だの、ドラゴン・ドージョーの生き残りだの、そんな連中を真面目に相手にすることのなんとバカバカしいことか。そのような危険な真似はシックスゲイツなどの腕に覚えのあるニンジャや、臨時ボーナス狙いの命知らず共で勝手にやっていればいい。自分はもっと慎ましやかでいい。それで十分ではないか。

「もう少しここで休んで、ほとぼりが冷めたらまたどこか別の場所を探しましょ」セルフハームはニンジャ視力で暗闇の中を進み、休憩用ベンチの上に腰掛けた。彼女はパーカーの内側に仕込んだ複数の刃物を吟味する。出刃包丁、鎌、鋸、高速振動ナイフ……数多の刃物の中からセルフハームが鼻歌混じりに取り出したのは、病院からくすねてきた手術用のメスだ。

「♪~」セルフハームは手のひら、手首、二の腕、上腕……と、メスで赤い線を描いていく。彼女はこうしている時間が好きだった。自分で自分にすることも勿論そうだが、自分を慕う誰かにしてあげることも、逆にしてもらうことも同じくらい好きだった。

「ちょっとセンチメンタルになってるのかしら。ノスタルジイってやつ?場所が場所だからかしらね」セルフハームは過ぎ去りし日々の甘い思い出に浸りつつ、一本のメスで自分の腕の皮を丁寧に切り開いていった。

※セルフハームは次回遭遇判定時にニンジャスレイヤー、ドラゴンチック、ニンジャスレイヤー?と遭遇した際、そのターンをブラックヘイズ&リストレイントに押し付けてもよい。(次回1回のみ)

◇◇◇

遭遇???: 3d9 = (1+3+3)
遭遇???: 3d9 = (8+5+7)
遭遇???: 3d9 = (7+3+5)

フー・ウィル・キル・ニンジャスレイヤー?(その14)へ続く