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忍殺TRPG小説風リプレイ【フー・ウィル・キル・ニンジャスレイヤー?(その14)】


◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

 それではやっていきたいと思います!

◆本編

◇4ターン目

 1:ブラインド(20)

 2:ニンジャスレイヤー(10)
   遭遇判定振り直し可(恒久)

 3:デスドレイン(10)

 4:ドラゴンチック&タカギ・ガンドー(8)
   遭遇判定振り直し可(恒久)

 5:ブラックヘイズ&リストレイント(8)
   遭遇判定振り直し可(恒久)
   ニンジャスレイヤー、ドラゴンチック、ニンジャスレイヤー?と遭遇した際、
   そのターンをブレードブレイカーに横取りされる。

 6:チキンハート(7)
   ニンジャスレイヤーに対しダイス+2
   デスドレインに対しダイス+2

 7:グロウコブラ(7)
   ニンジャスレイヤーに対しダイス+2
   デスドレインに対しダイス+2
   ニンジャスレイヤー、ドラゴンチック、ニンジャスレイヤー?と遭遇した際、
   そのターンをブラックヘイズに横取りされる。

 8:デスクランチ(7)
   ニンジャスレイヤーに対しダイス+2
   デスドレインに対しダイス+2

 9:リストレイント&ブラックヘイズ(7)

10:ニンジャスレイヤー?(6)

11:ブレードブレイカー(5)
   ニンジャスレイヤーに対しダイス+2

12:セルフハーム(5)
   遭遇判定振り直し可(恒久)
   デスドレインに対しダイス+2
   ニンジャスレイヤー、ドラゴンチック、ニンジャスレイヤー?と遭遇した際、
   そのターンをブラックヘイズに押し付けてもよい。

:???(-1)(このキャラクターはダイスでは選ばれない。) 
遭遇ブラインド: 1d12 = (3)
デスドレイン

「アザマシター」「アイアーイ」ヤクザスラングめいた店員の声を背にブラインドはカラオケ店を後にする。「次は何処に行こうかな」すぐ近くにあった露店で購入したオハギ・ソフトクリームを舐めながら、ブラインドは何かに吸い寄せられるようにふらふらと路地裏に足を踏み入れる。

 ネオンタトゥー屋台とファッション・サイバネ・ショップの間にある、隙間のような狭い道を、ジャージを壁に擦りながら進んでいく。「オットット」ブラインドは地面を伝うパイプに足を取られ、転げるようにして少し開けた場所に出た。

 表通りを隈なく照らすネオンの輝きも広告音声も届かない、まるで都会の喧騒から切り取られたように薄暗く静かな空間に、雲間から覗くドクロめいた月がスポットライトめいた光を当てている。ブラインドはその光の奥の暗がりに潜む影に気が付き、声をかける。「誰かいるの?なにしてんの?なんか楽しいこと?」「楽しくねェーよ」

 闇の中から出てきたのは、闇だった。月光を蝕むように姿を現した男の背後には黒いスライムめいた物体が蠢いており、まるで巨大な蚯蚓か手足と顔の無い龍のように男の身体を持ち上げていた。「ドーモ、俺はデスドレインだ」

 男はブラインドを見下ろしながらアイサツし、彼女にジロジロと不躾な視線を浴びせる。「女……まあ一応女か」「ドーモ、ブラインドでーす。お兄さん怪我してるじゃん。どうしたの?どこから来たの?歳いくつ?オハギ食べる?」「へへへ……ウルセェよ」デスドレインは地面に下り、差し出されたオハギを叩き落とした。

「ああ、もったいない」ブラインドは四つん這いの姿勢になり、地面についていない部分をなんとかして舐めようとする。「マジかこいつ。意地汚ェな」デスドレインの背後にあった暗黒物質がズルズルと音を立ててデスドレインの目鼻口から彼の体内に吸い込まれていく。地面のオハギも暗黒物質に巻き込まれ、ブラインドはオハギを舐め損ねた。

「そんで、なんだっけ?何処から来たのか、だっけ?」「え?うん、ああ、そうそう」ブラインドは残ったアイスを口に放り込み、地べたに行儀悪く腰を下ろしたデスドレインと並んで座る。

「キョートから新幹線で来たんだけどよ。ヒデエ街だなここは」「キョートか~。懐かしいな~。ヤツハシが美味しいんだよヤツハシがさ。それもアンコの奴」「どいつもこいつも人の顔を見るなり殴り掛かってきやがってさぁ、おっかねえよ。ホント」「そうなの?カワイソ!きっと見た目がヒョロっちいから舐められてるんだよ」「ウルセェよ。へへへ……」

「ネオサイタマの市民はねえ、アレだよアレ!えっと……獣だよ!つまりネオサイタマっていうのは……あの、ホラ、アレ、弱いから肉を食べる?食べて強くなる?ホラ、なんかそういうコトワザあるじゃん!そういうのなんだよ!だからだよ!」「意味分かんねえ」

「そう?まあいいや。お肉食べる話してたらお腹すいてきちゃった。ゴハン食べに行こっと」ブラインドは飛び跳ねるように立ち上がり、尻に付いた土埃を払う。「よかったら一緒に行く?デスドレイン君ってば瘦せっぽちだからさあ。もっと食べた方が良いよ!」ブラインドは首だけで振り向き、デスドレインにサムズアップした。

「……へへへ、どこへでも連れてってくれよ」デスドレインは億劫そうな、しかし何処か嬉しそうな表情を浮かべ、ブラインドの後をついていく。「ヨッシャ!決まりだね!この近くに24時間営業の焼き肉屋があるからさあ……」「そりゃ楽しみだ。ヘヘヘ……」

 方向性のまるで違う2人の無軌道ニンジャが進む道が今この瞬間重なり合い、彼らは束の間を共に行動することとなった。果たしてそれが今宵のネオサイタマにどのような影響をもたらすのか。答えは誰にも分からない。ドクロめいた月は何も言わず、ブラインドとデスドレインの2人を見下ろしていた……。

※今後ブラインドとデスドレインは同時行動する。

◇◇◇

遭遇ニンジャスレイヤー:1d12 = (12)
セルフハーム

※ブラックヘイズ&リストレイントへの押し付けが発生する

攻撃相手
1ブラックヘイズ2リストレイント: 1d2 = (1)

『あと25秒でポイントBにターゲットが到着する。用意はいいな?』「いつでもいい」空中ホロ・トリイゲートを通過するマグロツェッペリンの上からブラックヘイズは遥か眼下のスクランブル交差点を見下ろす。重金属酸性雨に霞む視界の向こう、赤黒の影が走り来るのが見えた。

 ブラックヘイズは深く息を吸い、コンセントレーションを高めた。脳内に数百通りのイマジナリー・カラテが流星群のように流れ、それらが一つに収束し、やがて現実の光景と重なり合う。『カウントダウン……5……4……3……2…………』ゼロ。ブラックヘイズは跳んだ。

「イヤーッ!」リストレイントのハッキング監視と重力の助けを得た完璧なアンブッシュ!さしものニンジャスレイヤーといえど反応は間に合わない!故に回避も防御も迎撃も不可能!ブラックヘイズの空中前転踵落としがニンジャスレイヤーの脳天に叩き込まれる!「イヤーッ!」「グワーッ!?」

ニンジャスレイヤー『対抗判定:カラテ』+
『◉◉タツジン:ジュージツ(2)』+『◉鉄拳(2)』:
20d6>=4 = (5,4,6,1,4,6,6,4,5,4,2,2,5,1,5,4,3,6,5,6 :成功数:15)

ブラックヘイズ『対抗判定:カラテ』:
8d6>=4 = (2,2,4,2,6,3,4,5 :成功数:4)
ブラックヘイズ体力3 精神力2

 ナムサン。いったい何が起こったのか!?気が付けば地面に横たわっていたのはブラックヘイズの方ではないか!「こそこそと嗅ぎ回っているネズミ共が」ニンジャスレイヤーは両腕を前に出し、片足で深く腰を落として立つ奇妙な構えを取っている。ここは時間を数秒戻し、確かめるしかあるまい!

 読者の皆様におかれては今度こそ瞬きせずにご覧いただきたい!ブラックヘイズの踵落としがニンジャスレイヤーの脳天に叩き込まれる直前……否、叩き込まれたまさにその瞬間!ニンジャスレイヤーは驚異的ニンジャ反射神経を発揮し、その場で前宙!カウンターの回転蹴りをブラックヘイズに喰らわせたのだ!

 ブラックヘイズにとって不幸であったのはニンジャスレイヤーの精神状態がイクサの最中にある時と同じであったことだ。彼はつい先ほどまで2人のソウカイニンジャを相手取って激しい戦闘を繰り広げており、そしてその決着は横槍が入ったことにより、いまだついていない。舞台を変えてもう一度仕切り直し、というところに情報を手に入れてしまったブラックヘイズが訪れたのだ……!

「ドーモ、ブラックヘイズ=サン。オヌシの雇い主はまたぞろリー先生か。ならばオヌシのそっ首叩き落し、それをあの狂った研究者にオリガミ・メールの代わりとして送り付けてやろう。サンシタを迎えに寄越さずともいずれこちらから出向く。そして次は貴様がこうなる番だとな」

「……だ、そうだ。聞こえていたかね」『こいつは規格外だぜ……!ブラックヘイズ=サンよ、死んでゾンビーに改造されるのはゴメンだろう。そうなる前に逃げた方がいいんじゃねえか』「ああ、その通りだ。だから逃走ルートを提示してほしいという話さ……!」

 ブラックヘイズはZBRアンプルを首筋に注射し、力を振り絞って立ち上がる!カジバヂカラ!そしてそのままニンジャスレイヤーに背を向け、逃走を開始した!「ニンジャスレイヤー=サン、オタッシャデー!次に会う時はお互い生身だといいな!」「次は無い!ニンジャ殺すべし!」ニンジャスレイヤーがその後を追う!ジゴクの追跡劇の始まりだ!

◇◇◇

遭遇ブラインド&デスドレイン: 1d12 = (4)
ドラゴンチック&タカギ・ガンドー

「アグアグアグ!ガツガツガツ!」24時間営業焼き肉店、『カウコーベ24』の個室内。ブラインドは網の上の生焼け肉を次々に口に放り込んでいく。彼女の視線の先にあるのは各テーブルに設置された注文用タッチパネル式UNIXだ。

 通常ならば本日のおすすめセットやお得なセール品などの情報が表示されているその画面にはネオサイタマ全域に設置された監視カメラ映像が映し出されている。ブラインドのハッキングによるものだ。「モグモグモグ!ムシャムシャ!」ブラインドは肉を貪りながら映像を次々とザッピングしていく。

「おい、ちょっと止めろ」テーブルを挟んだ向かい側、しっかり焼けた肉を独占していたデスドレインが声を上げる。「やだ。お肉美味しいもん」しかしブラインドは肉を食う手を止めぬ。「肉を食うのを止めろつってんじゃねえよ。映像だよ映像!」「ンンー?」

「コイツだコイツ。俺をいじめてくれたやつだよ」デスドレインが指差すUNIXの液晶に映っているのは、街中を疾走するドラゴンチックの姿。画面の中の彼女は首を左右に忙しなく動かしながら何かを探すように駆けまわっている。

「あー、この子かー。滅茶苦茶強いんだよなー。デスドレイン君にはキツかったかー」「ウルセェよ。つーか、知ってんの?」「そりゃ知ってるよ。中国地方の山奥にある秘密のドージョーでリアルニンジャ相手にイクサしたり、ケオサキで地元ヤクザと暗黒メガコーポの陰謀に巻き込まれたイクサしたり、その度に顔を合わせたんだからね」「なんだそりゃ!嘘クセェ!」「ホントなのに……」「いや、信じるぜ」「マジで?」

 ブラインドは箸を置き、横に置いてあったジョッキをイッキすると、注文用UNIXを両手で持って精神を集中させる。「ヌンヌンヌン……」その後頭部から肉のLANケーブルが意思を持った植物めいて伸び、UNIXと直結される。デスドレインはその様を頬杖を突いて興味深そうに眺める。「ヌンヌンヌン……ドゥーム!」

ブラインド『対抗判定:ニューロン+ジツ』:
19d6>=4 = (6,6,5,6,6,6,4,5,6,1,3,3,1,3,5,6,3,6,3 :成功数:12)

ドラゴンチック『対抗判定:ニューロン+ジツ』:
12d6>=4 = (3,5,5,3,6,4,4,5,1,6,3,4 :成功数:8)
ドラゴンチック体力16 精神力8

 ブラインドがそう言った瞬間、画面の中のドラゴンチックに暴走ダンプカーが追突し、少女の身体をピンボールの弾めいて弾き飛ばした。「ムッハハハ!ストライク!」ブラインドはガッツポーズ!「…………マジか。お前結構やるのかよ」デスドレインは頬杖を解き、感心したように言った。

「まあ私にかかればアグアグ、これくらいチョチョイのパーだよガツガツ。ブラインド姐さんってモグモグ、呼んでくれてもいいんだよムシャムシャ」「ウルセェよ。ヘヘヘヘ……おい、止めろ」「まだ何か見たいのあるの?」「映像じゃねえよ。肉だよ肉。……もうなくなっちまった」「マジで?」

 ブラインドはハッキングを止め、タッチパネルで追加の焼肉を10人前オーダーした。

◇◇◇

フー・ウィル・キル・ニンジャスレイヤー?(その15)へ続く