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忍殺TRPG小説風リプレイ【フー・ウィル・キル・ニンジャスレイヤー?(その15)】


◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

それではやっていきたいと思います!

◆本編

◇4ターン

遭遇ドラゴンチック: 1d12 = (6)
チキンハート

#SOUKAI_NET:BLIND:ドラゴンチック=サン見っけ。轢殺半成功!追撃重点な!

#SOUKAI_NET:CHICKENHEART:ポイント近い。すぐ向かいます。

#SOUKAI_NET:BLIND:THXXD!✉

 チキンハートはソウカイネットを通じて送られてきたブラインドのIRCノーティスに返信を送り、添付された画像ファイルを確認する。焼肉屋で撮影したと思われるセルフィ画像。テーブルを挟んだ奥に誰かいるようだが、網から昇る煙に隠れて姿が見えない。

「おおかた居酒屋かどこかで仲良くなった人と焼肉食べに行ってるんだろうな……こっちは大忙しだっていうのに、まったく」チキンハートはIRC端末を懐に仕舞い、カラシめいた色の濃煙を上げながら燃え続ける転倒したダンプカーへと慎重な足取りで近付いていく。

 ブレードブレイカーと共に挑んだニンジャスレイヤーとのイクサは、戦場となっていたジンジャ・カテドラルにアンタイブディズム・ブラックメタリストの集団が攻め込んできたことにより中断された。

 これによってブレードブレイカーとチキンハート組、そしてニンジャスレイヤーは両陣営ともに互いを追いかけ合い、互いから逃げ合う形となり、結局はイクサが始まる前の状態に戻っている。そこにブラインドからドラゴンチック発見の連絡が入り、急いで駆けつけたのである。

 チキンハートはカラテ警戒態勢を取ったままニンジャ野伏力を研ぎ澄まし、ドラゴンチックのソウル痕跡を嗅ぎ取ろうとする。ダンプカーの火が風を受けて燃え上がり、チキンハートの右半身に熱波を浴びせる。……と、その時である!

「イヤーッ!」ダンプカーを覆う炎の中から飛び出したドラゴンチックがチキンハートに飛び掛かり、超高速回転からの空中前転踵落としを繰り出す!ドラゴン・ヒノクルマ・ケリ!「イヤーッ!」この強烈なアンブッシュをチキンハートは紙一重でバック宙回避!

「ヘンゲヨーカイ・ジツ!」チキンハートは着地するより早く空中でミスティック・サインを刻み、ジツの力を解き放つ!「GGGGGHHHH!」チキンハートの身体が山めいて隆起し、竜の翼と蛇の尾を持つ巨大な鶏めいた怪物が姿を現す!

「イヤーッ!」「GGGGGHHHH!」ドラゴンチックのチョップと怪物の前蹴りがジョストのランスめいてぶつかり合い、ほんの一瞬拮抗し、また離れ、また激突する!「イヤーッ!」「GGGGGHHHH!」「イヤーッ!」「GGGGGHHHH!」「イヤーッ!」「GGGGGHHHH!」

ドラゴンチック『対抗判定:カラテ』+
『◉◉タツジン:ジュージツ(2)』+
『◉トライアングル・リープ(1)』+『★カトン・パンチ(1)』:
19d6>=4 = (1,5,3,6,3,4,6,4,4,3,1,3,3,4,3,6,3,3,2 :成功数:8)

チキンハート『対抗判定:カラテ』+
『★★グレーター・ヘンゲヨーカイ・ジツ(2)』+『★肉体切断(1)』:
13d6>=4 = (4,5,3,6,3,5,3,5,1,5,1,4,4 :成功数:8)

◇◇◇

遭遇ブラックヘイズ&リストレイント: 1d12 = (7)
グロウコブラ

 トラガリ・ストリートにぽつぽつと並ぶ、トタン板とビニールとポール代わりの鉄パイプで構成された粗悪な露店の集合地帯。そのうちのひとつである、とある違法基盤屋。そこにリストレイントはいた。店主が夜逃げをしたか、あるいは借金を返せずカニキャッチ漁船に乗ったか、とにかく無人となった屋台を拝借し、一時的な隠れ家としたのだ。

 彼はボロ布を纏って浮浪者に偽装し、今も操作を行っているUNIXの明かりが周囲に漏れ出ないようにしていた。モニターにはネオサイタマの上面図とその地図の中を高速移動する2つの光点。そのうち一つは黒く、もう一つは赤い。ブラックヘイズとニンジャスレイヤーだ。

「そのままうまく振り切って逃げてこいよブラックヘイズ=サン。これ以上の面倒はごめんだぜ……」トラガリ・ストリートは犯罪者たちすらも寄り付かないほど寂れた地域にあり、どうせ客も来ない。リストレイントは高速タイプでブラックヘイズに逃走ルートを指示し、合流ポイントを送信しようと「見つけたぞ!おい貴様!こいつを外せ!」

「……アァ?」背後から聞こえてきた声にリストレイントが振り返ると、そこには手枷足枷を付けたグロウコブラがウナギかドジョウのように跳ねていた。

「ここで会ったが百年目!貴様の付けてくれたこの枷のせいで走ることも出来んわIRC通知も出来んわスシも食えんわで散々だわ!そんなモータルや一般的サンシタニンジャならば打つ手なしの絶望的状況に追い込まれてなお不屈の精神と鍛え上げられた肉体と灰色の脳細胞で貴様の場所をつきとめたこの極めて優れたソウカイニンジャである私の」「イヤーッ!」「ムグーッ!?」

「……さっきも言ったよな?そのうるさい口を縫い付けてやってもいいと」おお、ナムサン!長話を続けていたグロウコブラの口を閉じさせたのはリストレイントの投擲した防声具だ!「ムグーッ!?」無駄口を叩くことはおろか、呼吸すらも制限されたグロウコブラは杭を打ち込まれたマグロめいてひくつくのみ!ナムサン!ナムアミダブツ!

リストレイント『対抗判定:ワザマエ』+『☆小拘束具投擲(1)』:
10d6>=4 = (2,6,3,6,5,6,1,2,2,4 :成功数:5)

グロウコブラ『対抗判定:ワザマエ』+『◉◉コブラカラテ(2)』:
11d6>=4 = (4,3,4,1,3,1,5,3,4,5,3 :成功数:5)

◇◇◇

遭遇チキンハート: 1d12 = (11)
ブレードブレイカー

 ネオサイタマ東部、シントー・ディストリクト。この区画に巨人のドミノ倒しめいて並ぶマンションはすべて投資ゲームのためのコマであり、人の住んでいる気配は無い。だが、それはすなわち人目を憚るような非合法行為を行うのにうってつけの場所であるということも意味している。

「893、893……ここだな」無数に並ぶマンションのうちのひとつ、13号棟の893号室。チキンハートは扉の前に立ち、取り出したハンコを横のスキャニング装置へ押し当てる。『お名前を聞かせてドスエ』「……チキンハートです」『ヨロコンデー』

 聞こえてきた電子マイコ音声に応えれば扉がひとりでに開き、中へ入れば銃を持ったクローンヤクザ2人が出迎える。「「センセイ、ドーゾ」」「……ドーモ」奥へ促され、チキンハートは会釈をしながらそちらへ向かう。

「チョウダ!」「ハンダ!」「バタフライこい!バタフライこい!」「なにやってんだ落ちろー!」「100倍チャンス!」通常のマンションならばリビングとなっているであろう部屋にはルーレット台やスロットマシン、麻雀卓やドヒョー・リングが設置されており、異常興奮した客たちがカネやチップを握りしめて喉も枯れんばかりに叫んでいた。

「こちらへドーゾドスエ」「ああ、ハイ」尻を弾ませるような特徴的な歩き方をするオイラン・バニーガールに案内され、チキンハートはVIPルームへと通される。

「ごゆっくりドスエ」バニーガールの開けた豪奢な扉の先には古代ギリシャめいた内装の広い部屋だ。天井の高さも先程までの部屋のゆうに2倍はあり、各種ギャンブル用のテーブルの他にも、専属のイタマエが待機しているスシ・バー、キングサイズのベッド、シャワールームまで完備されている。

「……よォ、きたか」上等な革張りのソファに腰かけグラスを傾けていた男が視線を向けてくる。「ドーモ、ブレードブレイカー=サン。遅れてスミマセン」チキンハートは上司の下に素早く駆け寄り、頭を下げた。

「どォでもいい。とっとと報告しろ」「ニンジャスレイヤー=サンは見失いました。ただ、ブラインド=サンからドラゴンチック=サンの情報を得て、先程まで交戦を」「殺したのか?」「いえ、申し訳ありません」「逃がしたのか?それとも、逃げやがったのか?」「……前者ですよ」

 チキンハートの心臓が微かに鼓動を早める。その音がブレードブレイカーの耳に届いていないことをチキンハートは祈った。「……ドラゴンチック=サンを見失った地点を端末に送ります。それと先程は話せませんでしたが、デスドレインという危険なニンジャがいるとグロウコブラ=サンから話が」

「あのバカが言うところの危険なニンジャねェ。まァそれなりに手練れなんだろうが」ブレードブレイカーはグラスの中身を飲み干し、空いた容器をクリスタル製のテーブルに叩き付け、勢いよく立ち上がる。「とにかく優先すべきは死神野郎だ」

「ニンジャスレイヤー=サンでもドラゴンチック=サンでも、どっちでもいいからすぐに探し出すぞ。他の連中に先を越されちゃならねェ」「ハイ、ヨロコンデー」追加のサケと料理を持ってこようとしたオイランバニーたちを乱暴に押し退け、ブレードブレイカーはVIPルームを後にする。チキンハートは倒れたオイランバニーたちを助け起こし、慌ててブレードブレイカーを追いかける。

「ところで、あのアホ女は今何してる。何処かで道草食ってんじゃねェだろうな」「ブラインド=サンなら……その、食事中、みたいで」「…………あのクソアホ女は後でブチのめす。今はソウカイヤの賞金首どもだ。行くぞ」「よ、ヨロコンデー」チキンハートはブラインドの無事を祈り、心の中で合掌した。

※チキンハートはブレードブレイカーと情報共有を行ったことで、次回以降のドラゴンチックとの戦闘時、ダイスが+2される。

※ブレードブレイカーはチキンハートと情報共有を行ったことで、次回以降のドラゴンチック、ニンジャスレイヤー、デスドレインとの戦闘時、ダイスが+2される。

◇◇◇

フー・ウィル・キル・ニンジャスレイヤー?(その16)へ続く