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忍殺TRPG小説風リプレイ【フー・ウィル・キル・ニンジャスレイヤー?(その16)】


◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

それではやっていきたいと思います!

◆本編

◇4ターン

遭遇グロウコブラ: 1d12 = (7)
自分自身
遭遇グロウコブラ:1d12 = (2)
ニンジャスレイヤー

※自分自身が選ばれていますが回復アイテムの使用に意味が無いため振り直しています。

※ブラックヘイズ&リストレイントによる横取りが発生

「ムグーッ!ムゴーッ!ムグゴーッ!」「口を塞いでもうるせえ奴だ!息の根を止めてやろうか!エエッ!?イヤーッ!」「ムガーッ!?」手足を拘束され、口に防声具を付けられたまま必死にもがくグロウコブラの顔面に、リストレイントは痛烈なサッカーボールキックを喰らわせる!吹き飛ぶグロウコブラ!

 KRAAASH!グロウコブラは近場の屋台に激突!立ち昇る煙塵!リストレイントは崩れ落ちていく屋台を見ながら舌打ちを零す。「ソウカイヤのニンジャにバレた以上、ここも立ち退かねえとダメか」

 トラガリ・ストリートはインターネット環境すら整っていない過疎地域ゆえ、追手や敵ハッカーの目が届きにくいというメリットがあるが、それは一度潜伏が露呈してしまえば身を隠せる場所が一切無いというデメリットと表裏一体である。「ブラックヘイズ=サンには悪いが当分ひとりで頑張ってもらって……」

 そこまで言って、リストレイントは凍り付いたように動きを止めた。寂寥たる露店がいくつか点在するだけの広場に、いつの間にか赤黒の影が立っていたからだ。「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」リストレイントはアイサツを返すより早く、自分のUNIX画面を確認する。モニタには確かに黒のマーカーを追跡する赤のマーカーが表示されている。

「位置偽装か……やられたな。ドーモ、リストレイントです」彼は観念したかのようにアイサツを返し、捨て鉢なカラテを構えた。「だが何故ここが分かった?ブラックヘイズ=サンのバイタルサインはまだ消失していない筈だが」「状況判断だ」

 ニンジャスレイヤーは短く答え、その双眸に殺意を滾らせた。リストレイントは質量すら帯びるかのような濃密な殺気を前に、無意識的に後ずさる。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投擲し、リストレイントのUNIXを破壊した。

「もう私の所在をネズミめいてコソコソと嗅ぎ回る必要はない。オヌシらの探している相手はこうして目の前に立っている。あとは捕まえるなり殺すなり好きにすればよかろう。出来るものならな」ニンジャスレイヤーの両手に再びスリケンが生成される。死神は両足を大きく開いて腰を落とし、両腕を交差させる独特の構えを取った。

 ニンジャスレイヤーの背中に縄めいた筋肉が浮かび、空気がミシミシと軋み声を上げる。リストレイントにはその音が巨大な死神が自分の肉体を握り潰す音のように思えた。「イィィ……ヤァーッ!」ニンジャスレイヤーの交差していた両腕が開かれ、DNA螺旋構造めいた軌道のスリケンが放たれた!ダブル・ツヨイ・スリケン!

「ウ……ウオーッ!」リストレイントは鉄製の拘束具を装着した両腕を掲げ、破壊の流星を受け止める!「グワーッ!?」しかし威力を殺し切れず、腕のガードをこじ開けられ、1枚のスリケンがリストレイントの胸部に命中!「グワーッ!」しかし胴体に巻き付けていた鎖付き巨大錠によって致命傷は回避!

「イ、イヤーッ!」リストレイントはスリケンを受けた衝撃に身を任せ、背後に思いきり飛ぶ!これによってニンジャスレイヤーとの間に距離を稼ぐことに成功する!「オタッシャデー!」リストレイントはそのまま逃走を開始!

「イヤーッ!イヤーッ!」ニンジャスレイヤーがスリケンを投擲しながら後を追う!「グワーッ!グワーッ!」リストレイントは背中を激痛で焼かれながらも懸命に走る!トラガリ・ストリートは遮蔽物が少ない!はたしてリストレイントは逃げ切れるか!?

リストレイント『対抗判定:ワザマエ』+『☆小拘束具投擲(1)』:
10d6>=4 = (2,6,1,4,6,4,5,1,2,6 :成功数:6)

ニンジャスレイヤー『対抗判定:ワザマエ』++『◉ツヨイ・スリケン(1)』:
13d6>=4 = (6,2,3,3,2,3,6,4,5,1,6,6,5 :成功数:7)
リストレイント体力5 精神力4

◇◇◇

「……ムググ……イヤーッ!」KRASH!グロウコブラは覆い被さっていた屋台の残骸を吹き飛ばすようにして立ち上がった。「ハーッ……ハーッ……ク、クッフハハハ!やった!やってやったぞ!まんまと出し抜いてやったわあのケチな傭兵め!手足の枷と口の防声具を我がチドク・ジツで少しずつ腐食させていたことに気が付かなかったようだな!そこにリストレイントの攻撃をわざと、そう、あくまでもわざと受けることでその衝撃を利用し、拘束を破壊することに成功したという訳だ!この例えどれだけ絶望的な状況に追い詰められても諦めない精神力と限られた手札を利用して危機を乗り越える機転!その二つを併せ持つこの私こそソウカイヤの極めて優れた………………ム?」

 グロウコブラはその場に誰も居ないことにようやく気が付き、言葉を止めた。遮蔽物の少ないトラガリ・ストリートに冷たい横殴りの風が吹き、露店の残骸をカラカラと転がした。

◇◇◇

遭遇デスクランチ: 1d12 = (3)
ブラインド&デスドレイン

 ガコーン!ストコココピロペペー!『スゴイ!プロフェッショナルドスエ!』天井から吊り下げられたモニターに映るチアマイコが激しいダンスを踊り、ブラインドを褒め称える。これで6投連続ストライクだ。「ムッハハハハ!ストライク!イェー!」ブラインドはハイタッチを求めて手を上げたがデスドレインは無視した。

「それじゃ次デスドレイン君ね!ガンバレ!」「アー、ハイハイ」デスドレインは億劫そうに立ち上がり、ボーリングの玉を床に落として蹴り飛ばした。ルール違反である。ガコーン。『ザンネーン!ガータードスエ!』モニターのチアマイコが肩を竦め、首を左右に振る。「エッヘヘヘ!ガーターガーター!」ブラインドは両手両足をパタパタと振ってはしゃいだ。

「……なあ、ブラインド=サン」その隣に座っていたローブを纏ったニンジャ……デスクランチがブラインドの耳元にその口吻を向け、声を落とした。「アイツ、デスドレイン=サンといったか?グロウコブラ=サンから相当ヤバイニンジャだと聞いているんだが」「エッ?マジで?フーン」

 ガコーン。『ザンネーン!ガータードスエ!』「ガーター!またガーターだ!エッヘヘヘ!」「ウルセェよ」デスドレインが苛立ちを隠そうともせずに席に戻ってきた。彼は前のゲームでブラインドに負けてこのゲームでもほぼ敗北が確定しているために機嫌が悪いのだ。

「つうかさァ、何そいつ?ワニ?ワニがいんの?ソウカイヤ?へへへ!テメェといいコイツといい、おかしなヤツばっかりじゃねェか!ソウカイヤ!ヘヘハハハ!」「ダメだよデスドレイン君!いくらボーリングで負けてるからって人のことバカにしちゃ!」「ウルセェよ!」「ンアーッ!」デスドレインはブラインドの頭を叩いた。

(……どうしたもんかね、こいつは)デスクランチは騒ぎ合う2人を見ながら考えを巡らせる。グロウコブラからデスドレインについての話を聞いた時は問答無用で始末するべき手合いだと思っていたのだが。(ブラインド=サンと仲良くやれてるんなら、そう神経質になることも無いのか?)

 デスクランチがそう考えた、まさにその時。デスドレインがほんの一瞬、デスクランチの方を見た。(!!)デスクランチはまるで弾かれたように席から立ち上がる。「どしたのー?」呑気に尋ねてくるブラインドの声もデスクランチの耳には入ってこなかった。彼はデスドレインと視線を合わせた瞬間、気付いてしまったからだ。

(こいつは……かなりヤバイ!方向性こそ違うが、こいつはあのニンジャスレイヤー=サンと同じ!頭のネジが溶けちまった異常者だ!)ソウカイヤで多くのニンジャを見てきた経験か、あるいはワニのバイオニンジャであるデスクランチの動物的本能のためか、彼はデスドレインの持つ危険性を肌で感じ取った。

「へへへ……どうしたんだよ、ワニ=サン。お前もヤリてェの?ボーリング」「おっ!いいね!それじゃあ次のゲームから3人でやろっか!」ブラインドがゲームのマシンを操作し、参加人数を調整しようとする。「……いや、悪いが俺はオイトマさせてもらうよ。まだ仕事があるんでな」

 デスクランチは2人に背中を向け、その場から離れていく。「あ、そう?残念だなァ。ヘヘ……」デスドレインは粘つくような笑みを浮かべ、その姿を見送る。「残念って、自分ひとりが私に負けっぱなしになるから?」「ウルセェよ!」「ンアーッ!」デスドレインはブラインドの頭を叩いた。

※デスクランチはブラインドの協力によって、今後の遭遇ダイスでダイスを1度だけ振り直してもよい。(シナリオ中ずっと有効)
(ブラインドは交渉せずとも教えてくれる)

◇◇◇

遭遇ブラックヘイズ&リストレイント: 1d12 = (2)
ニンジャスレイヤー
振り直しを使用

遭遇ブラックヘイズ&リストレイント: 1d12 = (2)
ニンジャスレイヤー

ダイスが殺意高い

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」リストレイントとニンジャスレイヤーの追走劇はまだ続いていた。すでにトラガリ・ストリートを抜けた両者はイクサの場面を治安劣悪区域のウナギ・ディストリクトへと移し、ビルからビルへと飛び移り、ネオサイタマの夜空を駆けていた!

「イヤーッ!」「グワーッ!」リストレイントは背中に何枚ものスリケンを生やしながらも必死に足を動かし、死神から遠ざかろうとする。だが、今宵のブッダはリストレイントにまだ蜘蛛の糸を垂らそうとはしなかった。「グ……ブラックヘイズ=サン!救援はまだか!ノーティス送ってんだぞ!」

 リストレイントはIRC端末を乱暴に操作しながらがなり立てる。そもそもブラックヘイズはこの緊急事態にどこで何をしているのか。(まさか、俺を死神に売りやがったか?)胸中に湧いた疑念をリストレイントは振り払う。憶測で物を判断するのは馬鹿のすること。目の前の現実に冷静に対処してこそのプロフェッショナルである。

 だが、現実はどこまでもリストレイントを追い詰める!「イィィィ……」後ろを振り向けばニンジャスレイヤーがスリケンを持った両腕を交差させ、弓を極限まで引き絞るかのようにその四肢を強張らせている!「ヤバイ……!」リストレイントは慌てて速度を上げる!

「……ィィヤアァーーッ!」ニンジャスレイヤーは己の肉体に閉じ込めていたカラテを……解放する!本日2度目のダブル・ツヨイ・スリケン!螺旋軌道を描くスリケンがリストレイントの後頭部へ迫る!迫る!ブッダ!今度こそリストレイントの命運も尽きたか!?

 ……いや、その時である!「イヤーッ!」「グワーッ!?」リストレイントの身体が弾かれたように横へ飛んだ!ダブル・ツヨイ・スリケンはあらぬ方角へと消えていく!「ヌウッ」ニンジャスレイヤーは険しい視線をリストレイントの飛んで行った方向へ……その先に立つ男へ向けた。

 ガンメタルカラーのニンジャ装束に身を包むその男は右手をリストレイントへと伸ばし、反対の手で葉巻を吸っていた。男はニンジャスレイヤーを一瞥し、アイサツをした。「ドーモ、リストレイント=サン。ちと遅くなってすまなかった。だが、どうにか間に合ったようだな?」

 その男、ブラックヘイズはヘイズネットで引き寄せた相方を隣に立たせてやった。最後の最後、後ほんの少しでリストレイントの命の火が消えるかと思われたまさにその瞬間、ブッダはリストレイントに蜘蛛の糸を垂らしたのである。「ゲイのサディストめ……」「おいおい、助けてもらっておいてそれか?」

 ブラックヘイズの勘違いをリストレイントは訂正しなかった。そんなことをしている暇があれば、他にやるべきことがある。そう、まだ彼の命が助かったわけではない。彼は目の前の現実に、すなわち本日3度目のダブル・ツヨイ・スリケンを構えるニンジャスレイヤーに対処せねばならないのだから!

「散開しろ!」「イヤーッ!」リストレイントとブラックヘイズは左右に分かれ、ニンジャスレイヤーを挟み撃ちにする形を取る!ニンジャスレイヤーは素早く状況判断する。リストレイントとブラックヘイズ、どちらを先に殺すべきか!?「イィィ……ヤァーッ!」死神の投じたスリケンは、はたしてジゴクに垂れた蜘蛛の糸を断ち切ったのか!?それとも!?

リストレイント『対抗判定:ワザマエ』+『☆小拘束具投擲(1)』: 10d6>=4 =
 (6,1,5,1,1,1,2,6,6,3 :成功数:4)

ニンジャスレイヤー『対抗判定:ワザマエ』+『◉ツヨイ・スリケン(1)』:
13d6>=4 = (3,2,2,1,4,6,4,5,5,6,6,1,4 :成功数:8)
リストレイント体力3 精神力2

◇◇◇

続く