造花

絵を描いた。貴方が逝ってしまった後の私の部屋を。小窓の側には小さな机。その上に花瓶と貴方の写真。ただその憧憬を、忘れないよう。

私は造花を飾る。貴方が選んでくれた花だ。
「君の命みたいに、永遠に僕たちの思い出が色褪せないよう。」そう貴方は言ってたっけ。
ただ一輪、黄色のガーベラを。隣には貴方の写真。貴方の事を忘れないよう。枯れることのない造花を飾る。

窓の外を見ると、もう夕方になっていた。とても眩しく、日が差し込む。

今日の日が終わってゆく。貴方がこの世界から本当にいなくなってしまう未来が来ることを悟る。
ふと不安に襲われる。

それでも夕陽は私と部屋を眩しく照らす。
目が眩んだ、紅く。呑み込まれてしまいそうだ。

それを背に貴方が手を振っていた。「また明日ね」と。無邪気に。

景色が潤んだ。