海亀湾少年のイヤミス【エッセイ】
中学生になったわたしは、ショートショートをはじめとした小説の習作を大学ノートに書き付けるようになったが、その中に、これは、という作品が紛れているのを発見した。もちろん下手である。文章はひどいし、漢字や送り仮名の間違いが多く、物語も粗末なものだ。けれども、珍しいことにその作品はミステリー小説だった。そして、中学生だからこそ書けたというような、犯罪に手を染める大人を主人公にした作品だった。これは今で言う「イヤミス」と呼ばれる小説ではないだろうか。わたしは何十年かぶりに自作を読み