優しいGWのはじまり
「今日、楽しかったお礼に夕飯を作ってあげるよ!」と息子。
お出かけしてたくさん美味しいものを食べて、ほしいものをゲットして、大満足の今日のお礼にと、一から全て料理をするんだと意気込んでいた。
1ヶ月前に料理を始めて、最初はコンロの使い方も包丁の持ち方もわからなかったのに、
時間と元気のある日には、「これ作ってみたい」「この工程はやったことないからやりたい」「これにこの材料を入れたらおいしいんじゃない?」など、ゆるり興味を持ってくれて、
一カ月経った今は、ひとりで全部やってみたい、というくらいになった。
本当にひとりでできるのだろうか?
疑心暗鬼だったものの、自分で決めた一食分のメニューに使う材料を書き出して、冷蔵庫にあるかどうか確認していた。
「今日は大人と子どもは反対ね。だから必要なもの、お使いしてきてくれる?」と、買い出しリストを渡された。「のび太くんみたいだねー」なんて言われながらお使いを終わらせてくると、「待ってる間にじゃがいもあらってみた!」と得意気にみずみずしくなったじゃがいもを見せてくれた。
そんなこんなで子どもの、はじめての夕飯作りがスタートした。
気まぐれな息子のやる気は、またとない気もしたので、危ないこと以外は口も手も出さないでおこうと見守ることにした。
「お母さんはゆっくりしてていいよ」と言われつつ、その場からは離れがたかったので懸命な後ろ姿を眺めることにした。
ピーラーもなかなかよく使えるようになっていて、硬いじゃがいもも工夫して一口大に切っていた。電子レンジの使い方もコンロの使い方も教えた通りにできていた。調味料の場所も覚えていた。
スプーンで水を計量した後にすぐに流しに置いてしまったときには、まだ他で計量するだろうにと思ったけど、本人は全く気にせずに調理をしていた。
そして、別の工程でマヨネーズやらチーズやらを計量する段階になって、「あ!スプーン、流しに入れちゃった!」と慌てていたのがおかしかった。
「塩を1分の8入れて〜」と言ったときは、分数は逆さから読むんだよと指摘してしまったけど、子どもは終始楽しそうに調理をしていた。
お米が炊き上がり、炊飯器を開けたときの湯気を吸い込んで、「ん〜大好きな炊き立てごはんのかおり!」とすごく幸せそうな横顔をしていた。
時間はかかったけれど、本当にひとりで一食を作ってしまった。
しらす丼とポテトサラダとキャベツのスープ。
「食べて!」と言われてスープを飲んで、本当に美味しくて「ん〜!おいしい!」と言おうとしたら、「ストップ!言わないで!」と感想を途中で止められた。
美味しいという表情を途中で制されたので私の顔はおかしな顔になったらしい。「お母さん、変な顔!」と笑われ、「ぼくが先に感想を言うから。」と、スープを一口飲んで、「めっちゃうまー!絶品!」と満面の笑みだった。
正直どれもおいしくて、本当に良い食卓だった。
「夕飯ありがとうね」「お母さんもありがとうね」と寝る前に交わした言葉がなんか沁みた。
こどもの日は、こどもの成長をお祝いする日という。
今日まで、日々の子どもの心身の成長の記録をとってきたけれど、子どもの伸び代は計り知れない。
本当によく育ってくれたなとお祝いしたくなる気持ちも大きいけど、今年はGWを楽しみにしていたのが半分、正直来て欲しくなかった気持ちが半分でいろいろと心揺れていたから、子どもの成長に救われたという方が強い。
青い空にうっすらと白い顔を出す富士山やお月様を見つけたときみたいに、嬉しく優しい気持ちになるような、そんなGWの始まりだった。