日記。夜中に荒んで呑んだくれようとも、早朝からわたしは甘い菓子を焼く。【その1】
進学のために18歳で上京してからずーっと、週末の夜は実家から電話がかかって来ていた。かけてくるのは母。わたしの近況確認も、自分たちの近況報告も母。父は毎回ひと言だけ「いつでも帰って来い」。
地元の短大に行って、卒業したら結婚する、というのが父が思い描いていたわたしの人生の理想像だった。でも、それは叶えてあげることはできなかった。
高校は父が望んだ女子校に進んだが、それは単に受験のハードルが低かったゆえ。頑張って、努力して進学校に入るほど、勉強に興味がなかった。大学進学も望