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医師のツイートよりママの目を信じよう

 ことの発端は韓国発の育児用品ブランド・コニーのスワドル。スワドルは赤ちゃんを寝かしつけるときに使う、袋状の服。赤ちゃんは寝るときにモロー反射で手足をビクッと動かして起きちゃうから、スワドルで適度に手足の動きを制限してあげると寝つきやすくなる。
 赤ちゃんは手をW型、足をM型に曲げているのが自然な姿勢で、特に足を伸ばしたままでいると股関節脱臼の原因になってしまう。だから普通のスワドルは足の方に大きなゆとりがあってある程度足を動かせるようになっている。

 コニーのスワドル(2022年11月8日時点販売休止)は見た感じとてもきつそうで、足を動かす余裕がなさそうだった。
 宣材写真を見た医師が「スワドルは発育性股関節形成不全(いわゆる股関節脱臼)のリスクがある。使わないで」とツイートした。医師たちがリツイートした。多くのママがそれを見た。
 スワドルを使って赤ちゃんを寝かしつけているママたちは一気に不安になった。たくさんのママがスワドルをやめた。

 

 でもこれ、違うと思うんです。冷静に考えたら、スワドル=股関節脱臼ではない。
 文献で、股関節脱臼の赤ちゃんは0.1~0.3%、1000人に1~3人と出ている。スワドルの普及率はわからないけど、図で表すとこんな感じ。

 医師の言葉というのはママにとって非常に重くて、医師の発言は絶対のように思える。今回の場合、スワドルを使ったら100%股関節脱臼になるかのように、ママたちは思ってしまう。しかも股関節脱臼の場合、赤ちゃんにつらい装具治療を強いることになる。「うちの子がなったらどうしよう」我が子が健康に育ってほしいと願うママの気持ちは無限大。1%でも、0.1%でもリスクがあるなら排除したい。
 

 ママたちの気持ちも十分わかるけど、いまいちど自分の赤ちゃんを見てほしい。何かおかしいところ、ある?

 股関節脱臼のスクリーニングは足が自由に動くかどうか(股関節の屈曲を90°より強くし、足を開排した時に開排角70°以下)を確認する。また足(太もも)のシワが左右対称に入っているかどうかも目安となる。
 普段赤ちゃんのお世話をしていて、おむつ替えの時にこっちの足だけ開いてくれないなとか、抱っこしてもこっちの足だけ曲げにくそうだなと思う瞬間があれば、要注意。医師に相談すべきだと思う。
 でも、自分の赤ちゃんを見ずに医師のツイートだけを見て「スワドル=股関節脱臼、スワドル=使ったらダメ」と思い込むのはちょっと違うんじゃない??? と思ってしまう。
 使っているスワドルが十分足に余裕があって、あなたの赤ちゃんにとって問題ないのに、スワドルをやめて赤ちゃんも寝つきが悪くなってママも寝不足になったら元も子もない。
 同じように、おくるみも足の動きを制限すると叩かれた。おくるみ専用の布はビックリするほど伸縮性があって、赤ちゃんを包んでも自由自在に伸びる。自分が赤ちゃんを寝かしつけるとき、足の動きを奪うほどスワドルやおくるみがきついかどうか、触って感じて考えてみてほしい。



 こういうのが情報社会の悪いところだと思う。医師を責めることはできない。医師は股関節脱臼の赤ちゃんを減らしたくてツイートをしたから。ママも責めることはできない。自分の赤ちゃんを股関節脱臼にしたくはないから。
 でも、医師とママとでは見ている世界が違う。医師は股関節脱臼の赤ちゃんしか見ておらず、あなたの赤ちゃんを見ていない。あなたの赤ちゃんを一番知っているのは、ママあなた自身。

 だからこそ、ママがちょっとでも違和感を持ったらすぐ病院に行った方がいいと思う。そして普段のお世話からしっかり赤ちゃんを見てあげよう。手足の動き、皮膚の様子、赤ちゃんの機嫌、ぐったりしてる感じ、などの異変に気付けるのはママしかいない。

(パパの育児参加が進んでいるのは重々承知してるしうちも積極的に頑張ってくれてるけど、それでも赤ちゃんはママと接触している時間が圧倒的に長いのでママの目の方が確かだと思う。そしてパパはママの違和感に余計な口出しをしないこと)


 育児関連の情報は、一事が万事、全部同じ構図。医師や助産師の言葉はとてつもなく重いけど、言葉を鵜呑みにする前に自分の赤ちゃんをしっかり見よう。それが赤ちゃんを愛してあげる一番の方法だと思う。



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《終わり》

 

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