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異国の地でトルネードは予想できないっていう話

※情報量が足りず、実際の事実と異なる場合もあります。あくまで個人の体験です。

午前4時、アメリカ中西部。
日本で聞いたこともないけたたましいアラーム音が耳元で鳴り響く。明らかにバッドニュースだと分かる

一気に3言語でのアラーム通知。明らか普通じゃない。
私はその場で部屋の電気をつけてすぐ義両親の下に行くが、何も分かっちゃいない。
そこで初めて何が書いてあるのか、通知を見た。

実際に来た緊急速報

は?トルネード????
あの家屋破壊で有名なトルネード?
あと30分で到達???
メディアを見ろ???
シェルター?!?!!!?

マジでシェルター無い今、何をするべきなのか知らない。
トルネード来た時に地下に逃げるしか知らないが、
今いるところに地下になる場所はない。
1階しかないが、これで本当に大丈夫なのか?
というか、あと3時間でこの地域を離れようとしていたのに?え?死ぬ????
メディアつけるけど、音声じゃ分からない。字幕も早くて分からない。
反対側にあるお家に降伏ポーズしながら、交渉して現地の助けを求めるが良いか?そもそも外に出ていいか?

どうしよう私、旅行英語以外分からない。何をしたら生き残れるのか検討もつかない。

私は本当に心の中で、絶望した。
とりあえず、竜巻が30分で来ることだけが分かるとだけ伝えた。危機の共有は重要。
メディアでもどこのテレビをつけていいのか分からないし、番組によっては既に電波が悪くなっていて番組が機能していない。思ったより近いのかもしれないとも思う。外で大きなサイレンが鳴り響き始めた。

周辺家屋は電気はチラホラつく程度。
少し落ち着いて耳を澄ませると、ありえないほどの鳥たちが鳴いていた。聞いたことないくらいの大合唱。
数日前午前4時に目が覚めたことがあったが、それはそれは静かな朝だったはず。おかしい。山が騒がしい、と同じではないか?

大きな地震の前にはまず動物たちが騒がしくなる理論と合致していることも含めて、余計私の身体をこわばらせる。え?生き残れるかな。

無事に情報収集を終えた英語のできる夫が降りてきて、トルネードの進行状況(侵攻とも呼ぶべきか)が分かる体制を敷いてくれた。とりあえず状況が分かるようになったが、しっかり私達のもとにトルネードが来ているじゃないか。

アナウンサーよ、何を言っている。何がどうなっていているのだ。君の言語が分からないから、アナウンサーの後ろに流れる気象図を見ながら理解するしかない。
夫が理解してくれたものを、シェアしてくれるまで私たちは何もできることがない。何かをしたいけど、他に何をすべきなのか咄嗟の判断ができない。

私は無力だった。ただ慌てている無力な人間だった。情報が入ってこないと、ベターな選択さえできない。災害時は情報の量と行動の質が生存確率を確実に上げる方法なのに。

ただ、テレビを眺めること。次第に強くなる雨風の音に注意を払うこと。夫の指示を待つこと。いざという時に篭れるように荷物を集めることしかできない。

次第に近づいてくるトルネードをテレビの画面でじっと眺めることしかできない。怖い。




15分ぐらい経っただろうか。




ギリギリ直前でトルネードが東側に逸れた。逸れながら威力が低下して分散していく。緊張度合が減ったのか、テレビも待機画面が表示されるなど少しずつ日常に戻るような番組構成になっていく。すでに被害を受けたお宅の報道もされている。あぁ、お家がめちゃくちゃだ…。なんてひどい。

本当に私たちは生き残れたのだ。アドレナリンドバドバ出ているが、ひと息ついてもいいんだ。
どんな形であれ、ここを脱出することができそうだと思う。空港に行くためのUberに乗る時も無駄なく乗れるように、誰しもがピリついていた。
空港の頑丈な建物に入って腰掛けた時、ドッと疲れた。もう自分たちだけでどうにかしなくてもいい。飛行機も無事に飛ぶ。出れる。全員がもう眠りにつけそうな顔をしてた。






今回は英語が聞き取れる夫が居て、トルネードで、奇跡的に外れたからどうにかなったんだと思う。

でも、たとえば…?
夫が居なかったら?
私が仕事で1人だったら?

トルネードじゃなくて、銃撃のテロだったら?
連続誘拐事件のアラートだったら?

アラートの種類によっては、初手すぐに部屋の電気をつけた私は死んでただろうな。(英語と別問題か)
テレビの情報で何に気をつけるのか、何をしたらいいのか。分からないまま死んだだろう。
特に人に関係するものなら、咄嗟の判断をしなければ
良くないものに巻き込まれるだろう。

海外旅行好きならなおいっそう。その国でどんな災害や犯罪が起きそうか理解は必要だとも思う。
ただ、どんなものであれ緊急事態は日本含め、何かあれば英語での情報共有がある。ほぼ世界共通語として使われていることのメリット。

この英語での情報収集ができないのは、相当のリスクになると身に沁みた。自分が無力になるのは散々だ。
自分自身の行動力を活かして、不慮の死だけは避けたいもの。死に方は自分で選ばせてくれ。

英語を聞き取る&理解するスキルが少なすぎる私は、今日という日から生き残るために英語をしっかりとやる事に決めた。
海外移住も目指すなら尚更。生きるためというより、生き残るため、に原動力がスイッチした感じだ。
ただぬるく生きたくても、そうはいかない時があるのは万国共通。少なくとも言語だけは備えていきたい。

そんな朝10時。脱出後の空の上から。
Umi

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