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【詩集】月のぬくもり、星のなみだ。

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10代~20代に描いた詩
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2021年2月の記事一覧

【詩】ガードレール

【詩】ガードレール

彼の問いに応えられない

必要としていたのは
私を好きだと言ってくれる誰かで
その事実から彼の問いかけに
黙っていることしかできなかった

もしかしたら
そのことに気づいていたのかもしれない

ガードレール越しに
初めてキスをしたあの時から。

【23歳のルール】

【詩】すき

【詩】すき

オレンジを
4等分にしたような
瞳のかたちで笑う

あなたがすき。

この感情は
すてきなもの

一緒に笑いあえることは
もっとすてきなこと。

すてきなことを
もっとつなげて
もっとひろげて

明日も明後日も
1年後だって
ずっとこの先

あなたがすき。

【20歳の躓き】

【詩】ふわり

【詩】ふわり

ふわりとした
わたあめの様な雲

やんわりと
中途半端なところに
おきざりにされた感情

雲がうごくのは
地球がまわっているから
そう考えていたことは

ちがっていたみたい。

こんなにも
気持ちが揺さぶられるのは
好意をいだいているからだと
そう思っていたのは

まちがえていたみたい。

【22歳の記憶】

【詩】おやすみ。

【詩】おやすみ。

まもなく 夜明け間近

君はどんな夢を見ながら眠っているのか
出勤前にコーヒーを飲みながら
想像することが最近のお気にいりタイム

以前、君に言われた
言葉の意味が分からずに過ごしているけれど
その時の君の笑顔が素敵だったから
いい意味だってことにしておこう

朝もやけのなか 太陽が昇りはじめた

さて、そろそろ僕は出かけるよ
君はもう少し心地いい夢のなかで

おやすみ

【21歳の分かれ道】

【詩】真冬の葉のない木

【詩】真冬の葉のない木

永遠ということば
言うのも言われるのも
とても簡単なものだけど

すくなくとも
僕は永遠など
存在しないことを
知っている

そして、たぶん。
君もそのことを知っている

お互いに
知らないふりを
しているだけなのだろう

僕は永遠ということばを
耳にするたび
口にするたびに

なんだか
真冬の葉のない木を 思いだすんだ

【19歳の青春】

【詩】雨のしずく

【詩】雨のしずく

雨がふる。

僕と君の心に
冷たい雨のしずくが
滴りおちる

傘なんて
持ちあわせてなくて
雨宿りする場所も見当たらずに

ただ
僕らは無造作に
冷たい雨にうたれ続けている

行き場のない
感情のふたしかなものは
きっとみきりをつけるべきで

行く先のある
たしかな感情は
おそらく輝きつづけるのだろう

この先の
感情の行方はどちらだろう

僕らに残されている
選択肢はどちらなのだろうか

雨がふ

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【詩】六花

【詩】六花

貴方は
ひとつの
大切なことを教えてくれたね

やがて
このぬくもりも消え
声も忘れて
顔も思いだせなくなって

のこるのは思い出だけ

だから
今は貴方のすべてを
覚えていたかった

手のぬくもり
名前を呼ぶ声
眉間にしわを寄せて笑う顔も

だけど
少しずつ雪が溶けてゆくように
薄れてゆくのだろう

貴方がのこしてくれた
思い出を胸にきざみながら
生きてゆこう

生きてゆくんだ

【19歳の青春

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【詩】存在

【詩】存在

俯きながら
ひたすら街の中を歩き続けていた
その中でふいに顔をあげると
少年が、隣にいる少女に笑いかけている瞬間だった

彼らの存在は小さすぎて
この広い街の中では埋もれてしまう程に見える

だけど静かに、情熱的に愛を育んでいるのだろう
僕の想像だけど、でも、きっとそうだといい

ふたりを見て懐かしい気分になったのは
今朝、久しぶりに君の夢をみたせいかもしれない

【22歳の記憶】

【詩】星影

【詩】星影

時はながれ
月日はすぎてゆき
ありきたりだと感じていた
日常にも変化がおとずれた

-今、たのしい?

だれかに
そう訊かれたのなら
戸惑いながらも
それでも以前よりはっきりと

-たのしいよ

そう言って
笑うことが出来るだろう

時はすぎ
月日はながれた
それでもまだ
戻れない時間の怖さに

泣くことが
たびたびあるけれど。

【17歳の進む道】

【詩】ビター・チョコレート

【詩】ビター・チョコレート

甘い、
けれど苦い

後ろすがた
焦がしキャラメルの匂い
しずんでゆく夕陽

ビター・チョコレート

せつない、
だけど泣けない

呼ばれたこえ
缶詰の蓋のぎざぎざ
ふきそくな波のおと

ビター・チョコレート

【18歳の冒険】

【詩】真夜中

【詩】真夜中

真夜中
ふいに逢いたくなったの

世界中の
愛のことばを
みみもとで
ささやきあって

最後に
ちからづよく
抱きしめあえたのなら
それでいいのに

いちどすれ違った
心と心を元にもどすことは
笑ってしまう程に難しくって、もどかしいよ

真夜中、
最近別れた彼氏に
ふいに逢いたくなったの

そう考えているのは
きっと自分だけなのよね きっと

解っているのよ

【21歳の分かれ道】

【詩】公衆電話

【詩】公衆電話

深夜の公衆電話はもの淋し気で
それでも釈然と立っていた

よくここで
大好きな人と待ち合わせをしていた
彼は公衆電話の先に車を停めて。

あの頃のわたしは
彼に早く会いたくて
その場所まで走りながら向かうけれど
公衆電話から見える角を曲がると歩くんだ

―どうして走ってきたの?
そう彼に訊かれないように
その理由を、言わなくてもいいように

20歳の躓き

【詩】解放

【詩】解放

真冬なのに
海はしずかだとは
言いがたかった

波のおとに
すべてが囲まれてしまう
そんな空間

その空間で
これでもかという程に
泣いた

-海にきたよ。

そう連絡しただけなのに
むかえにきてくれた彼

そんなに
心配しなくて大丈夫よ?

この海に
1年分の涙を預けに
来ただけだったから。

【24歳の葛藤】

【詩】黒猫

【詩】黒猫

暗く、
暗い夜空に

細く、
細い月が
浮かんでいました。

とにかく
言葉にならない程に
せつない夜でしたので

私を明るく照らす
月がないことを

嬉しくもあり
少々、悲しくもありました。

もしも
私が人間ではなく
黒猫だったとしたのなら

このまま
闇のなかへと
溶けてゆけるのに。

【16歳の光と影】