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念願の若冲作品に会ってきた休日

こんばんは。

先日、伊藤若冲の『鳥獣花木図屏風』を目当てに出光美術館に行ってきました。

正直、私は西洋絵画の方が好きで、今まで西洋絵画をメインにした展覧会ばかり観に行っていました。ここ最近、東洋の作品もちゃんと見てみたいな、と突然思い立ち、ちょこちょこと日本美術の展覧会にも足を運ぶようになりました。

そんな私ですが、実は伊藤若冲の『鳥獣花木図屏風』だけは知っていて「いつか見たいな」と思っていました。

というのも、小さい頃に宇多田ヒカルさんのSAKURAドロップスのMVを観て強い衝撃を受けて以来、誰が描いた絵なのかを知らないまま、あの絵だけはずっと頭から離れなかったのです。

MV自体もとても好きで、子供ながら「なんて鮮やかで、不思議でキレイな世界なんだろう」と思ったのを覚えています。色彩の美しさ、存在しない動物たちのおもしろさ、そして、MVの最後に出てくる若冲の絵。MVの中では、象が顔を(首を?)左右にゆっくり振る姿がありましたが、なぜかその光景が頭から離れなかったのです。

MVは繰り返し観ていましたが

「あの絵を描いたのは誰か?」

調べようともしていませんでした。というより、SAKURAドロップスという作品の一部、という理解だったんです。

なので、大人になり美術に興味を持っていく中で、伊藤若冲の存在を知り、そして『鳥獣花木図屏風』という作品を本で観た時に「SAKURAドロップの、あの!!」と驚いたものです。

それまでの私の日本美術に対する印象は「地味」で、絢爛豪華な西洋美術の方が魅力的に見えたのです。(今はそう思っていませんが)

なので、この作品を改めて観た時に今まで日本美術に抱いていた「地味」という印象が、ガラリと変わりました。緻密に書き込まれた動植物、鮮やかな色彩に埋め尽くされた画面に本当に驚いたものです。そして、私が知っていた日本美術はほんの一部だったんだ、ということにも気付かされました。

そこから、これもまた何故か「見たいな」とは思いつつもどこの美術館に行けば見れるのか調べないまま、月日が流れていきました。何がきっかけだったのか覚えていないのですが、静岡県立美術館に「鳥獣花木図屏風がある」という情報を得ました。しかし、コロナ禍だったこともあり、長らく展示されていないことを知り意気消沈。

「次回、展示されたら行くぞ!」なんて意気込んでいたら、静岡県立美術館にあるのは、よく似ている『樹花鳥獣図屏風』で、『鳥獣花木図屏風』は出光美術館にある、しかもこの秋に展示される、と今年になってようやく答えに辿り着いた次第です。(まだまだ勉強不足ですね)

そして訪れた、幼い頃に観て衝撃を受けた作品との対面。

実際に近くで観た時の第一印象は「タイルみたい」でした。寸分の狂いもなく配置された四角形の中に、これもまた計算し尽くされて配置された色彩。少し盛り上がっているように見える箇所もあり、その四角形1つ1つを観るとタイルのように思えたのです。

あまりの細かさに、目が眩みそうでした。ところどころ、絵の具が剥がれている箇所もありましたが、それでも失われることのない鮮やかな色彩。今にも動きださんばかりの動物たち。咲き誇る花々。

本当は近くでも遠くでもじっくり観たいところでしたが、日曜日のお昼過ぎ。多くの人が作品の前で足を止めている状況でしたので、長い時間鑑賞することはできませんでした。

でも、それだけ多くの人を惹きつける作品なんだなぁ、と改めて思いました。

そして、この世界観を現代に甦らせたSAKURAドロップスのMVも改めてすごいなと思いました。

静岡県立美術館にある『樹花鳥獣図屏風』も来年の1月から3月にかけて久しぶりに展示されるそうなので、こちらもぜひ見に行きたいなと思っています。

他の作品で、惹かれたのは以下の3作品。
まず、酒井抱一の『十二ヵ月花鳥図貼付屏風』と『十二ヵ月花鳥図』

四季折々の花や鳥が繊細に描かれていて美しかったです。特に紫陽花の色が絶妙で、ポストカードをお持ち帰りしました。いずれもよく似ている作品でしたが、描かれている花や鳥が違う箇所もあり、それを探すのも楽しいかもしれません。

購入したポストカード、紫陽花の色が美しい!

次に、『日月四季花鳥図屏風』
室町時代から在り続ける作品の迫力がありました。絵の具はだいぶ剥がれかかっていましたが、圧倒的な存在感。きっと色彩豊かな絵だったのではないかな、と思いました。太陽と月は金細工でできていたのですが、現在はだいぶくすんでしまっています。そのくすみすらも長い年月を積み重ねた作品の重みを感じました。作品ができた当時はどれだけ輝いていたのでしょうか…。屏風の縁の部分の螺鈿細工は今でも輝いていて、とても綺麗でした。

今回の展覧会は10/20まで。あと残りわずかです。そして、出光美術館は次回の展覧会(12月まで)を最後に、ビルの建替え工事により休館となるそうです。今の出光美術館に行けるチャンスもあと少しなので、気になった方はぜひ行ってみてくださいね。

良いものを観た休日でした!

では、また次回。気が向いた時に。


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