手に取った「本」をあなたはどう読む?
わたしは以前一冊の本の感想を書いた。それがTwitter上でバズった。
それからずっと本について考えていた。そしてその内容を今も追いかけている。
無知の印
そんなわけで、この忙しい日々になんの因果か、わたしはマクロ経済の沼に落ちた。きっかけはnoteに書いた↓の感想文。
実にシンプルに感想を書いたこのnoteに数種類のコメントが付けられ、わたしのnoteはリツイートの波にさらわれた。
最もリツイートされたのがこのコメント。
どうやらメディアで近頃よくお見掛けする米国帰りの先生が口にされた乱暴な言い方に対するコメントだった模様。そりゃそうだ。こんな乱暴な言い方はダメだろう。
それにしてもどうしてわたしのnoteがそんなコメントに連れていかれなきゃならなかったのだろう。
しかも、しかも、である。単なるリツイートと勘違いしたわたしは内容を確かめないままご丁寧にもお礼のコメントをしたのだった。いかに忙しかったとはいえ無邪気な感想を書いた自分とコメントした自分が情けない。その後この無知の印のようなわたしのnoteは延々リツイートの波にもみくちゃにされることになった。
MMTってなに?
で、気になりはじめたのが、この本に書かれていたMMTという考え方だった。
とはいえ、これはまだ調べている途中なのだが、それでも現在わかっているところまでひとまずここに記しておきたい。そう、ずっと考えていたのだ。わたしは本をいったいどう読んでいたのだろうと。
あの本のタイトルが国の借金は問題ないだったように、この理論は国はいくら借金をしても問題ないという考え方だ。
ここがマクロ経済のド素人のわたしが驚いた理由だった。え?借金が増えても問題ないってどういうこと?と。
そしてもちろん、この考え方には賛否両論がある。調べていくとちゃんとあった。ここまで手を伸ばせばよかったんだな、と今ならわかる。
そりゃそうである。わたしたちは国の借金を減らさなければ国は破綻すると聞かされてきたのだから。だって借金だもの。心ある人なら踏み倒しちゃダメでしょ?と誰だって思う。
まあ、だから驚いて感想書いちゃったのよね。
この理論では、以下の条件が揃う国であれば借金は何の問題もないというのだ。
で、日本はといえば、この考えに完全に当てはまる。米国もそう。ところがEUは…EUの国々の通貨はユーロ、そう自国通貨ではない。だから欧州の大半はここには当てはまらない。あのドイツやフランスもそう。
というわけでMMTでは、米国や日本は借金しても大丈夫な国だというのだ。
誰が言っているの?
このMMTはモダン・マネタリー・セオリー(現代貨幣理論)という考えで、米国からやってきている。
それは従来の主流派経済学の考え方を根っこからひっくり返す理論ともいわれているらしい。
で、この提唱者で有名なのがバーニー・サンダースの経済アドバイザーだった経済学者ステファニー・ケルトン氏。
REUTERS(20190308)によれば、彼女は雇用やインフレを実現するためにこの考え方を積極利用すべしというMMTの強固な提唱者の一人なのだという。しかも2016年の大統領選ではバーニー・サンダース上院議員の顧問を務めている。
さらにこの理論を米国に広めた立役者は別にいるらしい。それが通称AOCと呼ばれるアレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏。
このAOCについてブレイディみかこ氏は、
という。
そのAOCは2016年の米大統領選挙であのケルトン氏が支えるバーニー・サンダース陣営に選挙スタッフのまとめ役として参加し、その2年後、史上最年少の女性下院議員として当選している。
そう、彼女は議員だ。しかも米国では極左と呼ばれる民主社会主義者なのだそうだ。
MMT派の考え
その国の借金についてブレイディみかこ氏は、
という。
ちなみに新聞報道などではこの「国債」を「国の借金」「国債発行残高」と呼ぶ。
そしてこの借金である国債は返さなくてもいいけれど、インフレになったら増税で調整しようという考えのようだ。
これは、国家には徴税権(ちょうぜい)という強制力があり、おそらく最終手段はこれを使えばいいじゃないという意見のもよう。
そして先の本を書かれた森永康平氏も、
と書かれている。
とはいえ、両氏はMMTの考えに賛同されている模様。
従来の経済学の考え
話が前後するけれど、これまでずっと話してきた国の借金とは「国債」のこと。
財務省は2022年8月10日、国の借金が6月末時点で1255兆1932億円になったと発表している。
その内訳は、過去の財政赤字の埋め合わせのために発行された国債が705兆円、財政投融資を実施するために発行した国債が109兆円、為替介入の資金を調達するために発行された国債が115兆円。その他62兆円と政府保証債務45兆円だという。
そしてこの国債について、
といわれているのが森田長太郎氏だ。
国債が暴落するということは、つまり対外的にこの国の信用が無くなることでもあると思う。
MMTとは国債の捉え方が違う。というより、順番でいくならMMTが従来の国債の捉え方をしていないという方が正しいのだろう。
おわりに
書店にも図書館にも沢山の本が並ぶ。そんな多数の本の中から偶然手にする一冊の本。
あなたはそれをどう読まれるのだろう。
もしもMMTの考えが正しいのなら、国はもっと国内が活気づくために国債を発行し続ければいいということになる。国債は危険どころか国を豊かにするというのだ。
もちろん国債が暴落して長期金利が急上昇すると財政は行き詰まるという従来の考え方もある。
ここからもう少し詳しく調べていければと思う。
ちなみにこちらのDIAMOND ONLINEにMMTが対話方式で詳しく語られている。ご興味のある方は是非読んでみて欲しい。
そしてあなたはMMTをどうお考えだろうか?
参考図書
『女たちのポリティクス』ブレイディみかこ 2021 幻冬舎新書
『国の借金は問題ない」って本当ですか?』森永康平 2022 技術評論社
『国債リスク 金利が上昇する時』森田長太郎 2014 東洋経済新報社
参考URL
アングル:「財政赤字は悪くない」、大統領選にらみ米国で経済学論争 | ロイター (reuters.com)
中野剛志さんに「MMTっておかしくないですか?」と聞いてみた | 中野剛志さんに「MMTっておかしくないですか?」と聞いてみた | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)
※最後までお読みいただきありがとうございました。
※スタエフでも話しています。
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