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更衣室で、携帯


こんばんは。

いま、すこし遠出をした帰りです。一眠りして、目が覚めて、電車の中でnoteを書き始めています。

近頃は昨日のことさえ思い出せないほど慌ただしくめまぐるしい時間の中におりまして、土曜の散歩や温泉が大袈裟なようですが、命の息継ぎのような気分なのです。

というわけで、早朝から電車に揺られて温泉街へやってきました。

そして、その息継ぎのような温泉でのこと。いつものようにランチを済ませ、ゆっくりと露天風呂を楽しみました。これほど暑いというのに、それでも温泉はじんわりと体に沁みて意外にも身体が冷えていたことを知ったりするのです。木の葉が触れ合うカサカサとした音、温泉水が流れ落ちつづける音、そんな些細なことが心を休めてくれます。

平日はようやく23時過ぎにシャワーを浴びます。ようやく、というのは、自宅が仕事場のわたしは、気をつけなければシャワーを浴びる時間さえうっかり無くしてしまうのです。もちろん、湯にはなかなか浸かれません。だからこその温泉のありがたさです。

そしてたっぷりと温泉を堪能したわたしは、バルタオルを巻いた状態で呑気にドライヤーの風にあたっておりました。ドライヤーを冷風にして首筋に当てるとなんとも気持ちがいいのです。拭いても拭いても大粒の汗が出てきます。

それからドライヤーを洗面台の左脇に置き、右側に置いてあった紙コップのレモン水を一口飲もうと思ったのです。

そこへ、わたしのすぐ後ろにある木製の長椅子に、女性がお二人、話しながらやってきました。すると、そのお一人の方がバスタオル姿のまま、携帯をわたしに向けたのです。もちろん撮影しているわけではなかったはずです。携帯チェックをされたのでしょう。

その時でした。

「だめよ、こんなところで携帯触っちゃ!」

と太い声がしました。なんと、その太い声はわたしの声でした。アハ。

「あ、すみません」

とその女性は携帯を木製の長椅子の上に置きました。

すると再び、

「仕舞ってください。」

というキッパリとした声がしました。こちらもわたしの声でした。なんて太い声なのでしょう。自分で驚いちゃったのですから。

その方はすぐにロッカーへ向かいました。鼻ピアスが光っていましたが素直な方で、悪気がなかったことはその方の目を見ただけですぐにわかりました。

習慣とはなんとも恐ろしいものです。近頃は食事中でも携帯チェックされる方に驚かなくなりましたが、それでもここはいけません。女子の更衣室は無防備な場所です。そんなくつろぎの場で、無意識のうちに携帯を持ち歩くことが、どれほど他人を不快にさせることなのか。そんなことにさえ思い至らない人がいる怖さを知りました。

近頃は、温泉や公衆風呂で、女性が女性の入浴シーンを撮影して売るなどという恐ろしい話も耳にします。そんなことを聞いて以降、温泉にはもう絶対に行かないという知人さえいるのですから。

すっかり習慣になったスマホですが、それがまさか裸の自分に向けられるとは。考えるより先に声が出ていました。

それでは皆様、更衣室、温泉、公衆浴場ではくれぐれもお気をつけください。


※最後までお読みいただきありがとうございました。


※スタエフでもお話ししています。

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