男女平等で葛藤を抱える人。そしてかなり痛い…日本。
良いことだとわかっちゃいても、男女平等には副作用がある。
そして、いいたくはないけれど、この国がやっていることは、ちょっと痛すぎる。
優等生スペイン
世界のジェンダーギャップ指数で上位にくるのは北欧と相場は決まっているけれど、忘れてならないのがスペイン。
2023年3月8日のNHK World-Japanによれば、6割以上が女性閣僚であるペドロ・サンチェス内閣は、
①2024 年 7 月までに上場企業の取締役の4割を女性に
②2028年までに公的機関(閣僚や地方行政)代表の4割以上を女性に
を義務化する法案を承認。
いずれスペインはガラスの天井を打ち破り、世界で最も男女平等が進んだ国の1つになるという。
巻き返し、猛チャージ!
そのスペインは男女平等に関してはかなり後発国。1975年、フランコ将軍の死去で独裁政権からやっと民主化した国。
その独裁政権下で、既婚女性は家庭にいることが奨励され続けた。その影響で1992年でも女性の就業率は31.5%。
それが2011年には67.2%まで増加した。
それを支えたのが2007年に制定された男女平等法。
中でも、労働者250 名以上の企業は、男女平等計画の策定と労使協議の開催が義務。
女性の就労促進対策では、女性の雇入れに対し減免額が上乗せして設定され、再就職支援対策では、女性対象の期間の無い雇用契約の締結促進策がある。
こうした制度が整い、現在スペインは男女平等へまっしぐら。
※参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 2010~2011海外情勢報告
副作用
とはいえ、こうした男女平等を実現する過程では、どうしても副作用が出る。
スウェーデンは男女平等先進国。そのスウェーデンに「男性危機センター」がある。
人口の少ないスウェーデンでは、1960年代から深刻な人手不足が起こり、70~90年代に女性が一気に社会進出し、女性の就業率は8割になった。
そこで悩みを抱えたのが一部の男性。活躍の場を失われたと悩んだのだ。
で、家庭内で暴力が問題になる。彼らもまた男らしさの呪縛に苦しむ。
そこでセンターでは、DV根絶のため、『自分は力強く支配的だ』という意識をなくすための支援活動をはじめている。相談者には半年ほどかけてセラピーやグループワークをして更生活動をするという。
※参考:日本経済新聞2022年12月7日「優等生」も憂う男女格差
ねじれ現象
それから、以前から気になっていたこと。それはこの国が抱える矛盾。そのことを、アジア開発銀行副官房長の児玉治美さんが危惧されている。
現在、世界経済フォーラムの日本のジェンダー平等は146か国中116位。その日本が今もアジア途上国に開発のための融資や無償資金協力をしている。
けれど支援国のバングラデシュやインドネシアのジェンダーギャップ指数は71位と92位。支援する側の日本より女性の活躍が進んでいるのだ。
児玉氏は、このままでは差はますます広がると危惧されている。
日本は一見すると男女平等が制度化されている。けれど実はかなり手薄。
このまま変わらないこの国が、他国を支援する側に居続けることは矛盾でしかない。
※参考:日本経済新聞 2022年12月5日 「国際支援で日本上回る」
おわりに
ジェンダー平等はいうほど簡単ではない。北欧でさえ男性が苦しんでいる。そしてこの国にも女性に職を奪われたと考える男性が大勢いる。男女格差がこれほど開いているというのに…。ここで男性を苦しめるのは刷り込まれた意識。それをあっさりと脱ぎ捨てられる人もいるけれど、それが染みついて抜け出せない人もいる。そんな人は苦しくてたまらない。
そして現在アジア諸国を支援する側にまわる日本は、実に間抜けな活動をしている。もう幾つもの国にジェンダー平等でおいていかれた。それでも日本は支援する側でいたい…というのであれば、この国も男女平等に正面から向き合うしかない。
体裁だけはなんとか…ではもうどうにもならない。
※最後までお読みいただきありがとうございました。
※スタエフでもお話ししています。
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