【介護】高齢者と美容院。美は健康と仲がいい
今日は母の美容院の日だった。
これがどうしたわけかあっという間に月日が過ぎる。病院へは必ず行くけれど、なぜか美容院はついつい後回しになってしまう。
先月、母の体調が優れず予約をキャンセルした。ならば翌週さっさと行けばいいものを、今度はわたしが忙しくて動けなくなった。
そうしたらもう3月も後半。母の髪がすっかりのびている。慌てて予約して母と出かけた。
一人では歩けない母とは毎度タクシーで動く。
目的地に到着する手前から、小さなバックを取り出してそわそわと支払いの準備を始める母。今どき現金なのだ笑。何も言わないけれど、娘より早くしなきゃと気を使っているのが隣に座っていてもよく分かる。そんな母を見ていると、まだまだしっかりしているから大丈夫と嬉しくなる。
タクシーの運転手さんはいつだって皆さんお優しい。降車時には母のシルバーカーを母の足元まで持ってきて下さる。
「ゆっくりでいいですよ。お気をつけて」なんて声までかけて。
そんな運転手さんたちも、母よりちょっとだけお若いんじゃないかと思うほどタクシードライバーは今や高齢化が進んでいる。そんなドライバーさん方とはよく妻や母の想い出話が出る。年取った母を見ると懐かしい人を思い出されるのだろうか。
母と暮らしてもう3年と8カ月になる。
田舎で暮らしていた母にはお付き合いの長い美容師さんがいらして、我が家へ遊びに来る時には、決まってその美容師さんに髪をセットしてもらっていた。
ただわたしはそれがどうにも好きになれなかった。
真っ黒な髪に毎度同じ髪型。あ~あ、またこの髪型なんだ~、と娘としてはややがっかりだった。
けれど今は違う。
白髪だ。生え際だけは真っ白だけれど、他は金と銀の中間のような鈍い白。これが美しい。美容師さんに、この色と髪の量を母は毎度褒められる。
往きに咲いていた桜が帰りには満開だった。ドライブ気分もたっぷり味わえた。
帰りのタクシーでは、WBCで日本が優勝したと教えてもらった。大谷選手の浮かれすぎない謙虚な姿勢が実に印象深い、そんな話で大いに盛り上がった。
それにしても、高齢者にこそ美容院は必要だと思う。往きと帰りとでは桜の花と同じ程、母の姿が変化する。パーマをかけた白い髪をきちんとセットしてもらうと明るい色の服が良く似合う。
手入れが簡単なだけでなく、きっと心まで軽くなるに違いない。
幾つになっても美しくありたい、そんな気分が人を元気にしてくれる。
いつも素敵な髪型にしてくださる美容師さんには感謝しかない。
※最後までお読みいただきありがとうございました。
※スタエフでもお話ししています。
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