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【映画感想】きっと忘れられない映画になる


今朝、G7で話題のニュースを目にして、昨日観た映画を思い出しました。


外からしか見えない

気になったのは、あの写真です。

G7で男女共同参画について話し合いをしようとしたその席に、日本の代表だけが男性大臣だった。

そのことを、アメリカの『タイム』が「きまずい写真撮影」として報道したのです。

男女共同参画について考える会議で、しかもホスト国日本の女性の活躍をアピールする場。

そこで、色とりどりの服を着た6カ国の女性たちに混ざり、スーツ姿の日本の男性が一人中央に立っていました。

それが世界中に配信され話題になったのです。

今の日本では、そんなことが普通に起こります。国内では至って普通のことだからです。

「わたしたちは現在、女性をこれだけ引っ張り上げてきました。日本もそれなりにやってます」そんな報告を男性がしようとした。

けれどG6はそれを女性たちがやっている。やってもらっているわけじゃないのです。

それを、こうして海外メディアがとりあげることで、この国のおかしさが表に出ることがあります。


逆転のトライアングル

昨日みた映画は、2022年昨のリューペン・オストルンド監督作の、邦題『逆転のトライアングル』Triangle of Sadnessです。

恐らく、子どもが観ると、ギャグ多めなエンタメ系の映画にしかみえないと思うのです。

けれど、わたしは映画館を出て以降、電車の中で、シャワーを浴びていて、食事をしていて、つい思いだしては膝を叩いたり、笑ってしまったのです。

舞台っぽく3部構成になっていて、パート1、パート2、パート3の文字が、ふざけた感じで、シーンごとに出てきます。



船旅と階層

人は働く場では、どこかの場に属しているものです。

しかも、それが資本主義の国であれば、おおよその形は決まっています。

労働市場ではトップはわずか。

その次の層がトップを支える人たち。

さらに、その下には雇用されて働く人たちが山ほどいます。

ヒエラルキー構造です。

で、トップは資本家と呼ばれます。

その映画では、社会構造を見える化するために、豪華客船での船旅がでてきます。

その船旅で自由に発話し、善良な人として振舞うのは、リッチな資本家たち。彼らは親切で、機会があれば弱い人たちを助けてあげたいとすら思わすような話をします。


トップはトップ

そのトップの気まぐれな親切は一過性のものです。誰も豪華な船旅で自分の資産をなげうってまで誰かを助けたいなんて思ってはいません。

だからこそ、そんなビジネスが成立します。資産家の潤沢な資産は、船会社にとってはなくてはならない宝です。で、スタッフは徹底して快適なサービスを彼らに提供します。

この揺るぎのない構造が社会のヒエラルキーというわけです。

ただ、この映画では、船が座礁して無人島に流された時からその構図がひっくり返ります。資本家は下の階層へ、生活の知恵を持つ労働者がトップへきます。

ネタバレになりますので、映画の内容はここまでとして、と書くとシリアスな映画のようですが、そうではありません。

映画は楽しく軽快に進みます。かなりの皮肉をこめながら。

はい、きっと子どもにはその皮肉はわかりません。


動かない形

話は飛びますが、だからこそ、日本では、男女共同参画の話し合いにスーツを着て男性の大臣が出席しちゃうのです。

彼らはトップなのです。そう、この国のトップ。しかも長く固定して変わらないヒエラルキーのトップです。もちろん、働く場だって同じようなヒエラルキーがあるです。

そしてトップと直接かかわる人たちはトップを怒らせないよう気を使います。「男女共同参画会議には、女性の代表が出席しなきゃまずいんじゃないでしょうか」とは言えません。

それが正しいヒエラルキーの姿なのです。


おわりに

だからわたしたちは苦しいのです。

ひっくり返ることはないとしても、そのトップが固定化しすぎると、外から見ると腰を抜かすほどおかしなことが起こっていても、内側ではそれが普通ですから、となります。

豪華客船のように閉じられた社会で、下層の労働者が苦しんでいるのにです。だから、それを最も端的に伝え、手を貸す人がいるのです。それが国外のメディアです。

この国の矛盾に、外の関心が高まることはいいことだと思っています。国内でそれをいうとアホな人になってしまいます笑。それが固定したヒエラルキーでおこる悲しみです。

今日のG7のニューを聞いて、わたしは昨日の映画を思い出したのです。


※最後までお読みいただきありがとうございました。

※スタエフでもお話しています。

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