親子は、それでも続くもの。
毎朝、家族より早めに朝食を摂る娘が不意に、
「予約しといたからね、6時だよ。詳しい内容はチャットするね〜」
といい残し、バダバタと家をでた。
そういえば、きょうは食事をご馳走してくれるといっていた。わたしの誕生日祝いだという。といってもわたしの誕生日は数ヶ月前に過ぎている。お祝いしようね、という話なら何度も出ていたけれど、皆の予定がなかなか合わなかった。
じゃあ、今年は2人で美味しいものでも食べに行こうよ、といってくれていた。
母と暮らし始めて以降、わたしは滅多なことでは夜の外出はしなくなっている。けれど、3連休前の今日は、夕方のアポを入れていた。
そのことを娘に告げると、
「じゃあ、お母さんの外出先の周辺でどこか予約しとくよ」
と言っていた。
その予約がしてあったのだ。
本気だったのだ。
そして、母の夕飯の支度を済ませると、わたしは昼過ぎに家を出た。母と暮らし初めて夕食を母一人にするのは初めてのことだった。
「わたしは気にしなくていいから、楽しんでらっしゃい」
と母に送られた。これも初めてのこと。
夕方からの外出ができるなんて!と、嬉しかった。
母は東京暮らしに慣れてきたのだろう。
なんともありがたい。
丸の内仲通りでは、ウエディングフォトの撮影に3組も出会った。モデルさんだと思っていたら、どうやら本物の新郎新婦の写真撮影のよう。それにしても皆さん絵のように美しい。日本の結婚も変わったなと思う。
予約してあったのは、驚くほどスッキリと視界がひらけた贅沢なレストランだった。
こんな時、子どもの世界が広がっているのを知る。
とはいえ、娘とわたしは、昨年から一時ギクシャクとした関係にあった。
わたしたちのそれまでの関係は……娘がわたしに仕事の悩み事を話すという関係だった。そのせいか、わたしは知らぬ間に娘の心の中にまで踏み込んでいたのだろう。
もちろん無自覚で。
その関係を、昨年、娘の方から指摘され、そして見事にぶち壊された。
よくぞ言ってくれたと今では思う。
親が良かれと思って子どものためにすることは、子どもの人生にとっては余計なことばかりなのだ。
少しだけ時間はかかったけれど、今では2人の間に、ほど良い距離ができている。
ギクシャクして、喧嘩して、仲直りして、そんなことを繰り返さなければ、きっとわたしは変われなかっただろう。
親子はこの先もずっと続く大切な関係。どちらが謝ったっていい。良くなかったなと思ったのなら思った方が謝ればいいと思っている。
それに、こんな雰囲気のレストランで夫と食事することはない。きっと夫は窮屈だと嫌がるだろう。
しかも飲み物はノンアルコールのスパークリングワイン。これがなんとも美味しかった。娘との食事は、やはり夫との食事とは一味違う。そこも面白い。
家族の形は、変わっていくものだと思う。
そして身近だからこそ、家族は大切にしたいと思う。
※最後までお読みいただきありがとうございました。
※スタエフでも話しています。
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