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【介護】思わぬところで救いの手


今日は一週間のバタバタから逃れられる唯一の土曜日。その土曜日は夫と街歩きを楽しむ日と決めている。けれど、残念ながら今日は野暮用がいくつもあって、遠くへは行けそうもなかった。

そこで、午前中、ご近所の鍼灸マッサージ治療院へ行った。こちらは引越しで背中を痛めて以降、何度か夫がお世話になっている。

せっかくなので、わたしも肩の治療をして頂くことにした。痛み始めてもう半年も経つというのに、自分のことで治療院に行くことはなぜか思いつかない。夫や母のことなら気になるのに、おかしなものだ。

すると、肩の痛みは首や腰が原因だという。それがどうして肩にくるのか、先生が丁寧に説明して下さった。その後、電気治療をすると、なんと、午後から痛みが和らいだ。もっと早く治療するんだったと反省。

その治療院でのこと。

一緒に暮らす母の話になった。

引っ越しして以降、介護認定が介助に格上げ?となり、89歳になる母は、介護保険料は払い続けても、介護に関するものがほとんど使えないと笑い話のように話してみた。

引越し前にお世話になっていた病院では、障がい者手帳がでますといわれていたほどの足の痛みを抱えている。片方の足の股関節がない。だから歩く時だけでなく、台風や低気圧がやってくると、天気予報より先に、母のお告げがある笑。

そんな時は、とにかく恐ろしく痛む。

そして動けなくなる。

それでも、我慢強い母は黙って静かに足をさすっている。そして、忙しいわたしは、時にそのサインを見逃し、夕飯時に、ふと母の眉間に深いしわが寄っているのに気づく。

言わないだけなのだ。

痛み止めを飲んでも、相当に痛む。

だから夜も眠れない。

けれど、わたしにできることといえば、横になった母の腰から足の先までをゆっくりさすることぐらい。それでも母はありがたがる。なんとも歯がゆいけれど、こんな暮らしがもう長く続いている。

そんな話を、治療院の先生にしてみた。

痛くて起きれない日もあるんですが、何かいい方法はないでしょうかねと。

すると、先生が、「それなら介護4ぐらいですか?」と聞かれる。「いえいえ、今は介助1なんですよ」というと驚かれた。「そんな、本当ですか?」と。

ちなみに、介護保険では軽度から重度までレベル分けされている。軽度は介助、介護は一人では暮らせない人が該当する。もちろん、母は一人でお茶碗を持ってキッチンにも行けない。けれど、審査の結果は軽度の介助だった。

そして、その先生に、病院で診断書を書いて頂ければ、往診にお伺いしますよといって頂けた。

もし、まだ病院を見つけられていないのなら、いい先生もご紹介できますよと言われた。

色々と問い合わせしてすっかり諦めていたことが、ほんの少しの立ち話で、ポーンと遠くまで行けた。確かな繋がりがこんなところにあったとは。

痛みというのは人にはわからない。

介護申請が通らなかったのも、恐らく引っ越してきたこの土地の病院の先生のご判断だったのだろう。レントゲン写真には確かに股関節がなくなった骨の形が写っているけれど、母は頑張り屋で、外ではシルバーカーを押してけなげに歩く。だから、先生には、自分で自分のことができる人にしか見えないのだろう。

これは、なかなか難しい。

痛みは、人には決して見えない。

治療院の先生が来て下さる、そして保険適用になるかもしれないという話しを母にしてみた。しかも、その先生は地域包括センターとも繋がっていますよとおっしゃるではないか。

母の顔が輝いた。

地域包括支援センターからはたどり着けなかったけれど、治療院の方から光へたどり着けそうだ。

まだまだ台風はやってくる。あの雲の渦をテレビで観るたびに母の痛みと重なってわたしはぞっとする。

とにかく、痛みを抱えている人が家にいると、なにもできないことがもどかしい。痛み止めも、湿布薬も、何も効かない。

それでも、今日は少し希望が見えてきた。

わたしはよく色々なところで、気軽に人と話しすぎると娘に驚かれる。確かに、ブティックでも、雑貨屋さんでも、病院でも、よく話しかけられる。

そして、それに返すのが、楽しかったりする。そんなちょっとした会話が嫌いじゃない。

今日はたまたま、いつものように先生と立ち話をした。すると、こんなありがたい情報をいただけた。これが、人と話すことの良さだと思う。

やっぱり、幸運は人が運んでくるものだとわたしは思う。


※最後までお読みいただきありがとうございました。


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