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ほっこり那覇の冬旅 前編

旅の行き先は那覇

9月、資格の勉強と仕事の二重生活で死にかけていたとき、とりあえずお腹を満たそうと入ったフードコートでひさしぶりにフーチャンプルーを食べた。

フーチャンプルーは卵液に浸した大きめのお麩と、キャベツやスパムなんかを塩で炒めた沖縄料理なんだけど、そのお店のフーチャンプルーは塩加減と旨みがとにかく絶妙だった。
疲れた胃にも染み渡る味で、食べている途中からにこにこしてきてしまうような、元気になる食べものだった。(その後疲れていない時に食べに行ってもやっぱり美味しかったから間違いないと思う。)

元々これが終わったらお疲れ旅行として暖かいところに行って美味しいもの食べたいな、と漠然と思っていたのだけど、このフーチャンプルーの感動によって、その行き先は沖縄に絞られることになった。

沖縄には何回か行ったことがあるので、美ら海とかのザ・観光地は今回はいいやと思っていたのと、そもそもペーパードライバー歴10年以上のため、いきなりレンタカーを運転するのは恐れ多いのとで、訪れる範囲は那覇から公共交通機関+タクシーで行ける範囲とした。

今回の旅の目的は、寒い東京から逃れて美味しいフーチャンプルーなどの沖縄料理を食べることと、きれいな海を見て、あわよくば入ること、やちむんを買いに行くこと。

ほんとうは平日に紅の豚よろしく「悪いが俺は休暇だ。」とかいって有休をがっちりとりたかったけど、師走に入りかけの時期、土日の1泊2日という弾丸スケジュールで行くしかなかった…
でも、つかの間でも休暇は休暇である。

というわけで、これから1泊2日 弾丸沖縄旅行の旅日記を書きます。
(長いので前編後編に分けます。)


1日目 那覇到着

土曜日、セールで買えたLCCの便で昼の12時ごろに那覇空港に到着した。

もう南国感

空港の建物を出ると、もう冬のコートが必要な寒くて乾燥した東京から一転、長袖1枚で過ごせるほっこりほどよい気温とほわぁっとした湿度(伝わって)に包まれて思わずにやけた。
そうそう、これだよ。
東京の冬が苦手な私にはこっちの方が身体に合ってるみたい。乾ききっていた肌も心も、あたたかさと湿度をスポンジのようにぐんぐん吸い込んで生き返る心地! 

本当はまず空港の奥にある空港食堂というお店に寄って念願のフーチャンプルー定食を食べていこうと思っていたけど、何人も並んでいたので断念し、とりあえずホテルに向かうことにした。

モノレールの駅からホテルまでは時々店舗があるような住宅街を抜けて行ったんだけど、沖縄の住宅の造りや色合いが独特だったり、ほぼほぼどこかにシーサーが載っていたりするのが面白くて、なかなか進めなかった。

絶妙な色みのピンクの外壁とハイビスカス
アパートの入り口の渋シーサー


孤独のグルメ的昼ごはん

そしてやっとホテルにたどり着き、荷物だけ預かってもらおうとしたらもうチェックインできるとなって、海の見える部屋で少しだけ休んでいたら、気がつくと13時半になっていた。

腹が…   減った…

ポン  ポン  ポン… (突然の五郎さん)

ということで、事前にGoogle mapで見つけていた近くの食堂へ向かった。

この食堂は地元の常連客っぽいおじちゃんおばちゃんか、1人で黙々と食べているタクシーの運転手さんしかいないほんとうに昔ながらのレトロな食堂で、一瞬ためらったけど勇気を出して扉を開けたら、ほがらかなおばちゃんにすんなり迎え入れてもらえた。

メニューは壁に貼ってあるものから選ぶスタイルで、おすすめと書かれていた「煮付け」650円を頼み、時々楽しそうにおしゃべりながら料理を作るおばちゃんたちの様子を見たり、他のお客さんたちと一緒にぼーっとテレビでマツコを見ながら出来上がりを待った。

この激渋な小上がりがたまらなかった
千客萬来!

そして出てきたのが「煮付け」の定食。
煮付けというと魚かと思うけど、沖縄では違うようだ。
おでんっぽい具(ちくわ昆布大根)といんげんと、焼いた豆腐と三枚肉が、醤油ベースのあっさり系甘辛味で煮付けてあってとても美味しかった。ご飯をばくばく食べれてしまう味。
王道のゴーヤーチャンプルーと迷ったけど、この煮付けはここでしか食べられないと思うし選んで大正解だった。しかもめちゃくちゃ安い。

650円

ほくほくした気持ちでお店を後にし、そこから壺屋のやちむん通りに向かうことにした。

おばあの親指の爪とやちむん

壺屋やちむん通りはこの食堂からそこそこ距離があり、途中モノレールに乗ってもかなり歩くことになりそうなので、タクシーに乗った。
このあたり、初乗り600円でだいたい行けるっぽかった。
タクシーの運転手のおじさんは最初まったくしゃべらなかったけど、終盤に差し掛かったらべらべらしゃべるようになってちょっとかわいかった。

そうして着いたやちむん通り。
1本の通りに何店もやちむんを売っているお店があり、器好きとしては心踊る通りだ。

やちむんの壁
ブーゲンビリアと猫
ガジュマルに導かれて上がったら見つけた登り窯
邪魔してごめん
やちむん通り


さっそく片っぱしから入っていったのだけど、私はどうも、若者向けにおしゃれに作られたお店で売っているちょっとポップな感じのやちむんに1ミリも惹かれなかった。
もちろんすごくかわいくて素敵なんだけど、なんか趣きが物足りなく感じてしまう。

ただ、通りにはそういうお店とは別に、窯元が直接営んでいたり窯元から卸した器を扱っている、昔からありそうなお店も結構あった。
一見入りにくそうな店構えだけど、お昼のレトロな食堂の成功を思い出してその中の1軒に入ってみた。

そこは薄暗い店内で福山雅治のラジオを聴きながら店番しているおばあのお店で、客は私ひとりだけだった。(おばあさんのことだけこの旅日記では親しみを込めておばあと呼ぶことにする)

ゆっくりと器を見て回り、最初見た時からどこか惹かれた赤い絵付けの鉢を買うことにした。
なんとも言えない味があるし、これによそった料理が美味しく見えそうだ。
おばあ的には正月なんかにぴったりらしい。でも私は普段から使いまくろうと思っているから常に正月になるということか(どういうこと)。

そしておばあはおもむろに私が買ったやちむんの器の値札シールを一生懸命剥がしてくれようとし始め、でもまったく剥がせなくてずっとかりかりやっていた。曰く、昨日まではこの値札シール剥がしのために親指の爪だけ伸ばしていたのに、今日短く切ってしまったらしい。
やっぱり伸ばしておけばよかったーって何度も言いながら、頑張って剥がしてくれて、新聞紙で頑丈に包んでくれた。
ありがとうおばあ。
(家に無事に持ち帰って見たらやっぱりはがしきれてなかったよ。それもまた良い思い出。)

フーチャンプルーの失敗

この後、一帯に広がる迷路のような古き良きアーケード街をぶらぶらしてアジアを感じたり(タイとか韓国とかの市場がフラッシュバックした)、新しくなった公設市場を覗いたり、マンゴージェラートを食べたりして歩き回っていたら、気がつくと1万5千歩くらい歩いていた。那覇はほんとうに探検しがいがある街だと思う。

アジア感がすごくてうれしい
誘導ブロックをタイルに合わせる執念がすごい。
特注したのか こういう製品が元々あったのか気になる…

目当てのタコス屋さんも売り切れていたし、体力的に限界になってきたので、市場近辺でせんべろはしごをするのは諦め、ホテル側に戻って沖縄料理の居酒屋に入ることにした。

しかし目星をつけていたお店は満席で入れず(予約しとけばよかった)、その近くの別のお店で海ぶどうを食べてオリオン生を流し込んだのがこの日のハイライト。
一緒に頼んだアオサの天ぷらは美味しかったけど、念願のフーチャンプルーは塩が効きすぎていてちょっと私の舌には合わない味だったのが残念だった。
なんだかんだで満腹状態でホテルに戻り、爆睡してこの日は終了した。

2日目の渡嘉敷島に行った話は後編に書きます。

↓後編はこちら

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