「自分探し」を探してみる(9)「本当の自分」がわかる心理学

「本当の自分」がわかる心理学
すべての悩みを解決する鍵は自分の中にある
シュテファニー・シュタール 繁田香織(訳)大和書房

「本当の自分」というタイトルに惹かれて読んでみた。しかし残念ながら「本当の自分とは何か」を直接的に取り上げている本ではなかった。それでも世界で160万部、出版されているというだけあり、自分探しにも役立つと思うので紹介したい。その上で、これに関連させて、自分なりに考えたことを述べたい。

〔1〕ザックリとした内容の紹介と感想                     心の中には「内なる子供(子供時代に刷り込まれた自分)」と「大人の自分」がいる。私たちは理性的に判断し行動していると思っていても、実際には内なる子供に翻弄されがちだ。内なる子供の傷を癒し修復することで、より人間関係が上手く行き快適な人生が送れる、というものである。

筆者の主張はSフロイトなどの精神分析に準拠したもので、たとえば内なる子供は無意識、内なる子供のネガティブな部分とした「影子」は、抑圧や防衛などの心理機制に相当する。

本書に対する不満は以下の点である。まず平易さを趣旨とするためか同じような内容が繰り返し述べらややくどい。次に精神分析は近年の脳科学研究などによって、事実と異なるとして否定される傾向がある。これに関しては、目次8などで一応触れてはいるが、反論を含め踏み込んだ説明はない。

さらに人間関係の問題点の大半が自分自身の問題で、自分を変える必要があると述べている。問題の全ての責任が自分自身にという意味なら賛成できない。というのもDVやパワハラ、他者の偏見や思い込みなども多いからだ。

次回からしばらくこの本に関連させながら、自分探しについて述べてみたい。


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