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無意識の排他行為

ママたちの活躍

うちの会社は女性を応援していることもあり、多くのママたちが活躍しています。女性にとって働きやすい環境であることを魅力に感じています。

お子さんのいるママたちは定時に帰らないといけない事情があるため、時間内に効率よく仕事をこなします。私自身は子供がいないので、仕事と育児と家事の3本を両立させる大変さは想像もつきませんが、いつもバタバタと出社してすさまじい勢いで帰っていく様子をみていると、息をつく暇さえないのでしょう。仕事上では、緩急のつけ方、生産性の高さ、集中力・・どれもかないません。容量の悪い私は、いつも「すごいな~」と圧倒されています。尊敬の念を抱くこともあります。
そして、わたしの部署でも、仕事ができるママが全体の半数います。

あれ?また。。

現在、求人の募集をしています。今回も、男女、未既婚、年齢、子供の有無など垣根なく採用活動をしています。

数名にお会いしていますが、あれ?と思うことがありました。それは、偶然なのか、採用面接にいらっしゃる方がほぼ全員、幼いお子さんがいるママさんばかりということ。そして、決まって「時短勤務はできますか?」「週4回の場合はどのような処遇になりますか?」「最初のうちは有給休暇はありますか?」など、勤務時間や処遇について詳細に聞いてきます。
ママたちは優秀な方が多いとわかっていますので、最初は何の違和感も感じませんでした。しかし、あまりにも似たような境遇の方ばかりが続くので、不思議に思い、求人票を見直してみました。

間口を広げるつもりが狭めていたという事実

募集要項のタイトルにはこのように書いてありました。

「東証一部上場企業のグループ会社で安定!(育休・時短制度有)」

これまでは、特段気にすることもなく、サラッと流していました。なぜならば、うちの会社の姿勢も示せますし、間口を広げるために有効だと思っていたからです。しかし、あまりにも続くので、おや?っと思ったのです。

「男女、未既婚、子供の有無、年齢の有無などの垣根なく」という意図で出していたこれらの文言が、「ママさん大歓迎!バリキャリさんはお断り!」のように受け止められていたのです。

子供のいないバリキャリさんがこの求人をみたら、どう感じるでしょうか。おそらく自分なら、このような想像や不安を抱くでしょう。
「相対的に、業務の比重が偏るのではないか?」
「何の制限もない自分が損する役回りになってしまうのでは?」
「ママさんが帰宅したあとの残務を処理するのは自分になるかも?」など。
そんなイメージを抱いてしまったら、ママたちが多そうな環境には身を置こうとは思わないかもしれません。

逆差別?同調圧力?排他?

とっさに、今回の現象が「女性専用車(男性に対する差別だという)批判」と重なりました。2018年2月、東京メトロ千代田線の女性専用車両に男性たちが乗り、電車が遅れたというニュースを思い出したのです。
偏見やハンディを克服しようと特別な対応をしようとすると「逆差別だ」といわれてしまうことがしばしばあります。マイノリティが強くなりすぎるとマジョリティが差別されているように感じる現象ともいえます。
女性専用車両批判は、ジェンダー論も絡んでいるので、今回のケースとは次元の違う話かもしれませんが・・。

「同調圧力(ピア・プレッシャー)」という言葉があります。ある特定の集団グループにおいて意思決定を行う際に、少数意見を有する人に対して暗黙のうちに多数意見に合わせることを強制することを指します。「自分だけ違う意見を言うと排除されるのではないか」「何でも周囲に合わせないと仲良くなれないのではないか」などと無意識に感じてしまい、不安感やストレスにつながったということは日本人である以上、誰しも経験があるのではないでしょうか。
求人をみて、バリキャリさんが少しでもこれらの不安を抱いていたとしたら、応募意欲どころか、転職先の対象から外れてしまいます。

もしくは、今回採用の現場で起こった事象は「排他行為」だったのでしょうか。排他とは、「自分(の仲間)以外のものを排斥すること」です。
意識的ではなかったので、「無意識の排他行為」といえるかもしれません。今回の場合、万人に向けた要項のはずが、逆に受け止められてしまった可能性があったのですから。

二項対立で語らない方がよい

ママさん vs ママさん以外(バリキャリさん)?
マイノリティ vs マジョリティ?
対等ではない、他力に差があるもの同士をそのままの土俵で競わせて、強いものが勝つという状態を良しとするか、他力の差を補正することで結果の平等をある程度担保するのか、どちらを良しとするのか、という問題だったのでしょうか。
無意識だったにせよ、少しでもそのように感じられたとしたら、この求人要項のタイトルは、ミスリードされやすい言葉だったといえるでしょう。

早々にこの問題に気づくことができたので、すぐ修正をして再募集をかけています。
素敵な出会いがありますように・・。

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