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明石の君は何色か 志村ふくみ展


織で源氏を表現する。
テーマだけで震えるような展覧会が、今月8月末まで姫路市立美術館で開催されているらしい。
▼志村ふくみ展 https://www.fashion-press.net/news/60991


そうです、そうです、人間国宝の志村ふくみさんです。
この世でいちばん美しい色をつくる志村ふくみさんです。
見たことありますか。
ああ、もう、画面にうつる絹糸を見るだけでもう、ため息しかない。


これらぜんぶ、自然の草木から染めたもの。志村さんは「色をいただく」と表現する。作りたい色があって、そのために草木を道具として使うのではなくて、あくまで自然がもっている色をそのまま写し取ろうとする。

色というか、光そのものを転写しようとするような志村さんの染色。光とは命だよ。

青空に茂る緑を見ると、いきいきしたものを感じるでしょう。あぁ生きてるなって、生命力に圧倒される感覚。
ふしぎなことに、志村さんの染めた糸からも織った作品からもそれを感じる。生きている。光っている。なにか脈打つものがある。


いのちの波動をそのまま取り出せたとしたら、こんな色になるんじゃないか。この世界はただただ美しい。そういうことを教えてくれる志村さんの作品。いま、本屋には特集ムックが並んでいます。それだけでもぜひ。

うめざわ

▼染色過程の写真も美しい
【アーティストの言葉】志村ふくみ「色をいただく」
https://www.fujingaho.jp/culture/a32592308/kajikawayuki-kahitsukan-shimurafukumi-07-200608/

▼このムックには、ドナルド・キーンさんとの対談も収録されていて。
そこには「源氏物語は色彩の文学だ」という志村さんの読みが展開されていて、興奮のうずうずが。
いわく、桐の紫、藤の紫、武蔵野に生えていたという紫草(ムラサキ)。その「紫」がゆかりの色となり、対する光源氏は「光」。いうなら、白か黄色だと。それは紫の補色であって…という。どこまでおもしろいのだ。

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