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#田舎
叔父との想い出:#5 庭に張ったテント
叔父とはよく一緒に出掛けたり、お風呂に入ったりしたのだが、不思議な事に一緒に寝た事はなかった。弟が、「一緒に寝ようや」と誘っても、なにかと理由を付けては断っていた。それを不思議に思って、一度理由を聞いてみた所、叔父はしばらく考えてこんなことを言った。
「実はいろいろと寄って来る体質でな。お前らも巻き込んで、虫とかに刺されるの可哀想だろ。あと、霊が出やすかったり」
本当の所は、昼間に散々私た
叔父との思い出:#4 親子電話
習字の宿題を早く終えろと言われ、私は半紙に向き合っていた。隣では弟が退屈そうに計算ドリルを解いており、向かいには母と叔父がいた。
お手本を見ながら、「将来の夢」の4文字を順番に書いていくものの、思うように書けない。悔しくて、思わず涙が出そうになったのを堪こらえるが、こんな事で涙が出そうになる自分が情けなくてさらに悔しくなる。
さらに「の」の出来の悪さも相まって、ぽろりと涙をこぼしてしまっ
叔父との想い出:#3 とどまる水
弟と一緒に叔父に市民プールに連れて行って貰った。いわゆる「流れるプール」で、落花生らっかせいのような形をしたプールを1方向にぐるぐる回る方式だった。夏休みだけあって沢山の人でごった返しており、泳ぐのはとても無理で、水に浸かりながらぴょんぴょんと跳ねまわるだけであったが、楽しかった。
私は泳ぐのが好きで、50メートル位であれば普通に泳げた。だが、弟は顔を水に浸けるのを怖がり、まったく泳げなかっ
叔父との想い出:#2 泥たん坊
ゴールデンウィークに静岡に遊びに行った私と弟は、叔父と共にペットボトルロケットキットで遊んでいた。ペットボトルに羽根とゴム製のノーズを付け、水を入れてパッキンで止め、発射台に設置する。
自転車用の空気入れで空気を送り込んでパンパンになったところで、ワイヤーで繋がっているレバーを引っ張るとパッキンが外れ、水飛沫みずしぶきと共にペットボトルロケットが空高く飛んでいく。
水と空気を入れ、飛ばし、
叔父との想い出:#1 晋呉くん
私が小学校5〜6年の頃の話だ。当時、私達は大阪に住んでいた。父の実家は静岡にあり、子供の頃は長期休暇の度によく連れて行ってもらったものだった。
大阪の街にはない野山や田圃、大小の川といった、いわゆる田舎の風景は、物珍しく、胸が躍るものだった。
静岡の家には、祖父と祖母、そして父の弟である叔父が一緒に住んでいた。私と弟は、父によく似た叔父に良くなつき、叔父も私たちの世話を何くれと焼いてくれ