若者は思う

わたしは近々異動予定なので、後任者に仕事を教えています。

後任者は協力会社からやってきた、親くらいの年齢の女性で、

え、そんな結構年齢上の人に今更新しい仕事を……?

というのがとても正直な感想でした。

酷な人事往来を考える弊社が悪いんですが。

おまけにわたしがここにきてまだ若葉どころか種のころ、電話越しに怒られた人なので、

わたしの気持ちは全くウェルカムではありませんでした。

でもそんなこと言ってられず、時はちゃんと流れやがるので、

新年度前夜の日曜日は、必要以上にナーバスになり、しくしくしていました。

おばさんは、わたしに教えてもらう立場になるのに、またよく分かんないことで怒られたらやってられないな、などと思っていました。

しかし、実際に会ってみるとニコニコしていて、とても感じが良いです。

協力会社から来ているので、業務上で必要な知識は少しあり、ありがたいことに細かいことにも気を配ってくれます。

ありがたいのですが、それらがかえってネックになっているな、と感じることが多いです。

また、分からないことを質問してくれる素直さは大変助かりますが、

そこに年なりの図太さが存在していそうで、

聞ける図太さがあるから、教えたはずの仕事を平気で2、3回目でも初耳みたいな感じで聞いてくるのかなぁ、と今までに出会わなかった感情を抱きます。

どうでもいい細かいことは川の向こう岸におっぽっときゃいいから、そんなことより基本の業務を1人でできるように工夫してくれ、と毎日思います。 

おばさんは、申し訳ないですが当然パソコンも全然できなくて、メールの宛名の、CC欄の追加方法から教えるレベルです。

あとはエンターキーを押せば完成、の作業において、そのエンターキーを押す動作だけをいつまでも覚えないおばさん。

そんなことも教えなくちゃいけないし、教えても1回では覚えないし、

おばさん着任後、わたしの心は穏やかではありませんでした。

カラー写真付きのマニュアルを作って渡してあげました。

質問してきても、聞いて理解した気になっているので、メモして1人でもできるようにしてくださいね、と促しました。

メモしてくれているみたいだけど、それでも何回も聞いてきてしつこいので、

「質問内容いつも合っているので、自信持ってくださいね」

と京都の人になりきる術も覚えました。

わたしは東京の人なので、大変心苦しいです。

心苦しいあまり、苦し紛れにインターネットの検索エンジンで、「おばさん 仕事覚えない」と調べてしまいましたが、さすがに罪悪感を抱きながらです。

知恵袋的な掲示板に、わたしと全く同じ悩みを抱えた若い人の書き込みがありました。

その書き込みに、しっかり「おばさん」と書いてしまっていることから、色々察せます。

わたしはこの悩みに対する共感や、慰めの回答を期待していましたが、甘かったようです。

「教え方が悪いのではないか」
「そのおばさんを、自分の母親に置き換えて考えてみろ、そんな考え方にならないはずだ」
「そもそもおばさんというのをやめましょう」

などと、おばさん擁護派が圧倒的多数でした。

むかつきました。とくに、真ん中の母親に〜とか言っているやつは、どう考えても男で、

都合いい時だけおばさん擁護派をやっているとるに足らないやつだろう、とむかつきのベクトルが変な方向に向いてしまいました。

当然、匿名のお前が言う前から、このおばさんの立場が母親だったら…と想像しましたよ。

早く馴染めるように、頑張ってほしいと切に思いました。
  
でもまあ、本当にまもなくわたしは異動するから、正直もうどうでもよくて、

異動先でそのおばさんみたいにならないように、頑張ろうと思いました。






 







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