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「あなたがしてくれなくても」は器用で賢い夫婦の仲を、場当たり的で不器用な夫婦が壊すお話

ちょっとひねくれすぎた見方ですが、結果そうなってしまいました。 うーん、納得いかん。でも、ドラマの終点としてはありだし、予想のつく着地点でしたね。 しかし、このドラマ、周りで見ていると言う人は少なかった。 「あれ見てる?」 「どれ?」(友人) 「アナ〇でしてくれなくても」 「そりゃ、しないべ(笑)」 こんなやりとりを繰り返しても、見てる人が見つからず(そんなに親しくない人が見てたりしたが、関係の薄い人と話したいドラマじゃない)。 ぶつくさ言える相手もおらず、こうやって文章書い

    • 「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第24話(最終回)

       祥太郎の妻に不倫がバレたときは、どうなることかと思った。  里奈は祥太郎と別れるつもりがなかったし、祥太郎もそうだろうと思っていたから、祥太郎が妻にたくさんの金を払い、別れるのだと思った。   奥さんとはどうせ愛のない結婚なんだろうし(金目当ての女なのだろうし)、カネの切れ目が縁の切れ目になるのだろう。  しかし、妻は祥太郎とは別れないという。  これは意外だった。お金をもぎ取ればそれで気が済むだろうと思っていたからだ。  そして、女はおかしな条件を出してきた。紹介する男と

      • 「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第23話

         余計なものを持たない里奈にとって、50平米を超える1LDKの部屋は広すぎた。  里奈はリビングを横切り、窓辺へと進む。  祥太郎に買ったもらった(といっても里奈がねだったわけではない。祥太郎が勝手に用意したのだ。くつろげる場所が欲しいからという理由で)マンションに住んで半年になる。  実家暮らしは気楽だったが、愛人生活には適してなかった。  帰宅すれば食事が出てくる生活は男がいなければこのうえなく便利だが、そうでないときは不便になる。  母から「今日はどうするの? 食事の必

        • 「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第22話

           新藤は里奈と会い続けた。  誘えば里奈は出てきた。  おかしな状況で出会った二人だったが、不思議と反りが合った。  里奈は頭が良く、明るく、話し相手として十二分だった。  専門的な話には首をひねるが、仕事の話もできないわけではない。  ずっと働いてきているだけあって、社会の理不尽や矛盾も知っている。くだらない話や下ネタにも大きく笑って反応する。  馬鹿話もできる大人の友人が久々にできたと新藤は秘かにうれしく思っていた。  そんななか、里奈が思わぬことを口にした。 「私、あの

        「あなたがしてくれなくても」は器用で賢い夫婦の仲を、場当たり的で不器用な夫婦が壊すお話

        • 「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第24話(最終回)

        • 「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第23話

        • 「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第22話

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第21話

           女と会う店は、聡子が紹介してくれた店を使った。 「高からず安からず、高級過ぎず、庶民的過ぎない・・・しかも、美味しいとこか」  すべてを相手の女は値踏みしてくるだろう。  聡子はそんなふうに言って、頭を悩ませていた。新藤は馬鹿らしいと思いながらも、楽なのでのってやる。  聡子が悩みに悩んで選んだ和食料理の店は、なるほど感じのいい店だった。  薄味で上品な味付けの料理も新藤の好みだった。  テーブルの間隔も広く、聞かれたくない話もしやすい。  新藤だけでなく、目の前の女の箸の

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第21話

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第20話

          「絶対に離婚なんかさせちゃダメだぞ」  そうすれば、祥太郎はあっさりと里奈のところへ行くだろう。何もかも捨てて。 「え? そんなこと私に言われても」 「田上君はどういってるんだ」 「美那子は・・・別れないって」 「え?」 「意外でしょ?」 「うん。そうだな」  美那子はプライドが高く潔い女だ。  不倫している旦那、それも昔の女と不倫している旦那との関係を続ける選択は彼女の中に無いと思っていた。  新藤は口を閉じる。  気持ちを落ち着けようとグラスワインをひとくち飲む。  聡子

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第20話

          「メロドラマ」第3話

          ○病院・待合室(夜)    ベンチがずらりと並んだ無人の待合室。    中本が隅のほうで腰をかけている。    中本、何かを考え込むような顔をしているが、携帯を取り出し、緑に電話をかける。 ○緑のアパート・洗面台(夜)    洗面台の前に濡れ髪の緑が立っている。    緑、ドライヤーで濡れた髪を乾かしている。    緑を映す洗面台の鏡は湯気で曇っている。       スマホが鳴る音。    緑、ドライヤーを止め、居間へと移動していく。 ○緑のアパート・居間(夜)    緑

          「メロドラマ」第3話

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第19話

           祥太郎が美那子と結婚すると言ったとき、新藤は落胆はしたが、どこかほっとした。  だから、祥太郎にも笑顔でおめでとうと返すことができた。  祥太郎は美那子に恋してはいない。  人生のパートナーとしてちょうどいいと思ったから選んだのだ。  そのことが痛いほどわかった。  祥太郎が好きだった女を新藤は知っている。  会ったことも見たこともないけど、その女は祥太郎の大学の同級生で、東京で研究職に就いた女だと祥太郎から聞いていた。  その女のことを話すとき、祥太郎は夢中だった。  女

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第19話

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第18話

           女というものは意地の悪いことを考えるものだ。  だから自分は本当に愛するのは男だと決めている。  女はときどき気晴らしに抱くがそれは男より不自然なく簡単に手に入るからだ。  新藤雄輝はほろ酔いでしゃべり続ける目の前の平井聡子の目をじっと見る。  彼女もこっちを真っすぐに見つめ返してくる。 「なんですかー、また、意地の悪い目つきしちゃって」 「いや」  新藤は苦笑する。 「女は意地が悪いなー、怖いなーって思ってるんでしょう?」 「いや、そんなことは」 「いいですよー。私もろく

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第18話

          「メロドラマ」第2話

          ○居酒屋・店内(夜)    カウンターに並んで座っている中本と緑。二人の前には唐揚げ、枝豆、ポテトサラダが出ている。    飲み物のジョッキビールとジョッキ酎ハイも置いているが、量はあまり減っていない。 緑「奥さんとはどうなんですか? うまくやってる?」 緑(M)「意地悪く聞こえないかと、心配になります。でも、どうしてこっちが気を使わないといけないのかと、腹も立つのです」 中本「うん、まあ・・・おまえは、あのあと、どうした?」 緑「どうしたって?」 中本「(言いづらそうに)ほ

          「メロドラマ」第2話

          「メロドラマ」第1話

          【あらすじ】 今井緑はつくばの短大を出て、今は都内で一人暮らしをしながら、派遣社員として働いている。 友人の高野冴子に会うため、つくばを訪れた緑は、短大時代に付き合っていた中本英治とすれ違う。 英治を無視した緑だが、東京で英治と再会する。 英治は資産家の娘、裕子と結婚し、婿入りしたが、舅が詐欺にあい財産を失い、苦しい生活を送っていた。 緑は、英治の妻、裕子が交通事故にあい、植物状態になっていると知り、英治に裕子を殺そうともちかける。 一方、裕子が交通事故にあったときに一緒にい

          「メロドラマ」第1話

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第17話

           あの人がすべて失ってしまう。お金も仕事も・・・それもいいんじゃない?  祥太郎があぶく銭を失い(ベンチャーキャピタルの世界で働く人間には悪いが、里奈にはあの世界はただのばくち打ちの集う異界にしか見えない)、普通の稼ぎの仕事に就く。  自分は今の仕事を続け、子供の一人でも設ける。  莫大な財産はないが、お金に苦労することもなく、穏やかに淡々と生きていく。  激しいアップもダウンもない世界で生きていくことに、二人は静かな喜びを見出すことができるはずだ。  だから、なにもかも消え

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第17話

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第16話

           あなたと夫のことは知ってます。興信所を使って調べましたので。  夫があなたにマンションを買い与えたことも、そこで頻繁に二人で過ごしていることも。  え? 訴えたりしません。それは別れを覚悟した女がすることでしょう?   悲しみや苦しみをお金に変えて、新しい人生を踏み出すために区切りをつける女がすることでしょう?  あおいにくさま。  私は夫と別れるつもりは微塵もありませんから。  そりゃあ、あの人と別れれば、ものすごいお金が手に入ることはわかってます。一億や二億の話じゃない

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第16話

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第15話

           美那子は急いでアメリカに渡った。  いい仕事はいつ誰にとられてもおかしくはない。ぼやぼやしてたら売り切れる人気のクロワッサンと同じなのだ。  優秀な人間ほど人のものをかすめ取ることに長けている。  それを知っている美那子は焦って日本を離れた。  職場は快適だった。皆、とても忙しく働いていて、人の縁の薄い会社といえばそうなのだが、人間関係のおかしなドロドロがあまり見当たらなかった。  スタートしたばかりの小さな会社で金回りがいいとなると、内部は利権争いで四苦八苦しているかと思

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第15話

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第14話

           聡子の先輩の新藤という男はなかなか東京に来なかった。  もう他の候補者でポジションが埋まったかも。  美那子はだめだったときのことを考え、他の仕事を形だけ探しながら、心を痛め続けた。  しかし、美那子の心配は杞憂に終わる。 「上司にセクハラされたんだってね。大変だったね。あいつら高学歴の猛獣だから」  新藤は美那子が会社を辞めた経緯を事細かくは聞かなかった。  事情が事情なだけに触れずらかったのだろうが、実際はそうではないはずだ。  東京の外資系金融の世界は狭い。  美那子

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第14話

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第13話

           聡子は夫のことも良く知っている。  もとはといえば、夫、祥太郎と自分を結び付けたのも聡子だ。  美那子は大学卒業後も周囲との隔絶に悩んでいた。  周りにうまく溶け込めないのだ。ひどくいじめられるわけでもなく、かといって受け入れられるわけでもない状況も変わらなかった。  自分は他人に好かれない、とっつきにくい人間なのだ。  美那子はもうそれにあまり悩むことがなくなっていたし、そんな自分に合った就職先を選んだつもりだった。  しかし、就職した外資系の銀行は思ったよりもずっと人間

          「高学歴男女のおかしな恋愛~蛙化した彼とのその後~」第13話