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希望と現実、アシスタント時代2

やっぱ赤坂は夜の街ですね、ビルのオーナーにいろんな人がいる飲み屋、食べ物屋さんへ連れていって、赤坂の街が、昼と夜の街の顔が全然違うことがわかりかけてきたころに、いつものように仕事が遅くなり帰り際に、そういえば今日は忙しくて、何も食べてないことに気づき、帰り際に千代田線の入り口の近くにある吉野家に入ることにしました。深夜なんで、ほどほどの人がいました。コの字型のカウンタのーの奥に座って、牛丼の並を注文しました。待っている間、店内に有線から中島みゆきの♪夜明け前の吉野家では~~狼になりたい~~♪がBGMでながれていて、毎日がいそがしくて、従順にアシスタントの仕事がいそがしくて、自分も狼になりてえな~~と、口ずさんでいました。なにげなくふっと対面を見ると、しょうがを山盛りに載せている女の子と目があいました。彼女も狼になりたいんだよ、という顔をしてほほえんでいました。彼女はゆっくり、ゆっくり食べていて、自分が食べ終わるのを待っている感じでした。会計をして、お店をでると、彼女もすぐでてきて、ねえ~~狼になりたいのと声をかけてきました。うーん、すぐにはなれないけどね、オレ、いまカメラマンのアシスタントだからね、とすると彼女もわたしも、イラストレーターのアシスタントなんだ、とぶっきらぼうな返事がかえつてきました。とっさにじゃあこれから「ふたりで狼にならない」と事務所に車があるので、羽田空港に飛行機見にいかないかと、誘いました。ちょいためらっていましたが、OKでした。夜の首都高速から見る東京の街は夜明け前で静かでした。車のなかでお互いの夢とか、いまの仕事の不満とか、自分の才能とかを話して盛り上がりました。空港ではゲートが閉まっているのを乗り越えて入ってしまって、警備員に見つかり、ふたりで逃げまくりました。なんとなく映画のシーンのような出来事、東京は面白いし、自分たちが行動すれば、何かが変わることが彼女と会ったことでわかりました。(ps扉の写真は当時の赤坂の写真事務所です、壁にかかっている絵は先生の友達で当時の売れっ子のイラストレータさんの作品です。)


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