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若者のわたし

今イチバンの夢ってなんだろう。

将来を考えろって言われるし、
よく聞くけど、
そういう人達はもともと何か持ってるんでしょ?
って思う。

私には、なにもないんだよな。

トモダチ、の、ゆかりはいつも明るくて元気だ。めちゃくちゃ美人ではないけど、笑顔に皆惹かれてる。
あ、つまりそれって美人てこと?
たくさん笑っていつも楽しそうだよね。おまけに手先が器用で、そこもポイントだね。

それからもう一人、まみは学級委員タイプ。
しかも運動神経バツグン。
少しどれかわけてよ〜
って、言ってみるけどもらえるワケない。
わかってるけどお決まりを言ってみる。
そうするとまたそのまわりの皆が
"そうだよねーっ"
と、一緒に頷いてくれるから。
そしてわたしと皆で同じように笑うんだ。

帰り道が一緒で3人でいつも居たけど、
まみは最近彼氏が出来たからゆかりと2人が多くなった。
ゆかりの家にお邪魔して、ゲームしてお菓子食べて、たまにゆかりのお兄さんの漫画を借りて帰る。
青年マンガが多いけど、結構面白い。

そうそう、わたしは最近塾に通い始めた。
行きたいなんて一言も言ってないのにね。
いつも「バスが遅れて」と言い訳して少しだけ遅刻して行く。
もちろんバスはほぼ時間通りにきて、間に合う時間に私を届けてくれる。
料金は変わらないから、一駅過ぎてから降りて歩く。
その時間だけ、わたしひとりきりの自由時間だ。
コンビニに寄っておやつをひとつ買う。
だいたいグミ。
一粒ずつ食べながら塾に向かって、歩く。
昨日は10分遅刻にしたから、今日は6分くらいにしとこうかな。いや、あんまり英語好きじゃないから13分くらいに行こうかな。
微調整をしながら歩く。

なんで皆あんなに頑張れるんだろ?
なんのためなんだろう?
その頭良い学校に行ったら、どんないいことがあるの?
そんなくだらないコト考えてたらあっという間に自分の遅刻ボーダーラインタイムがきてしまう。
しゃーない、行くか。
えらいな、わたし。

帰ってからは晩ごはん。
小さいコトをつつかれながら楽しくもなく時間が過ぎる。
食べるのが遅いから、なおのことしんどい時間だ。

しょーがないじゃん、いろいろやる気出ないんだよ。なんかやる気出るアイテムある?
そしたらそのアイテムの効いてる時間はこんな私でもなにか頑張れるんだろうか。


次の日はいつも長ったらしくあっという間にやってくる。

ああ、大きな声を出して笑いたい。
自分の好きなものを好きって言いたい。

違う意見を思いっきり言ってみたい。
そう思えるような自信がほしい。

腹の底から、を味わってみたい。

美味しいねって言いながら好きなものをただ食べていたい。
昔はそう出来ていた気もするのに、
いつから出来なくなったのだろう。

制服は嫌いじゃないから着倒したい。

楽しいことってどうやったらわかるの?
教えてもらえるなら教えて欲しい。

眠れないと言いつついつの間にか寝て、
また朝がきて顔を洗う。

だいぶ馴染んできた靴を履いて、
遅刻しないように微調整して歩く。

ゆかりとまみとまたおはよう、と言う。

授業中、窓からは秋のさわやかな風が入ってくる。
あー、教室の後ろの端っこの席って好きだな。
なるべく窓側。
さわやか、ってどんな漢字だったっけ?
書けたら将来役に立つカナ。

うちの学校はノーチャイムだから先生によって授業が終わる時間が少しずつ違う。
あ、先生も自分のために微調整してんだな、わたしと一緒じゃん。

なーんて。

さて、またいつもの明日のために、
いつものわたしを頑張ろう。

同じことのくりかえしでも、いつかなんか変わるんだろうか。
変わらなくても、なにか見つかるんだろうか。

…あ、漫画返さなきゃな。
そしてまた続きを借りに行こう。
とりあえずこの漫画が続く限りは頑張れそうじゃん、わたし。

#2000字のドラマ
#若者の日常

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