220冊目:握手/井上ひさし
こんばんは、Umenogummiです。
今日は大好き国語の教科書シリーズから。
握手/井上ひさし
児童養護施設で思春期を過ごしたわたしが、そこでお世話になったルロイ修道士と、彼が母国であるカナダへ帰国する前に再会した1日と後日談を描いた短編です。
ルロイ修道士は戦争で日本人兵士に暴行を受け、左の人差し指を潰されてしまっています。作中でその手から繰り出される指言葉がいくつか出てきます。
その指言葉がキーワードとして登場し、そしてラストの印象的なシーンが描かれます。
指言葉は一例として
右の人差し指をたてる → よくお聞き
両手の人差し指をせわしなく打ち付ける → お前は悪いこだ
などです。
そしてタイトルとなっている握手のシーンも実に印象深いです。作中で3度わたしとルロイ修道士が握手をする場面がありますが、そのどれも異なった表現で綴られています。
短編ですが、この作品に込められているものはとても深いものがあるように思います。
ルロイ修道士は日本人に指を潰されながら、愛情をもって田畑を耕し、日本人の子どもたちの面倒を見てきた人です。
様々なわたしの視点から、愛情深いルロイ修道士を見つめ、戦争、人間の放漫さ、愛情、そして生と死などテーマを描いた、やさしい作品です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?