309冊目:檸檬/梶井基次郎

こんばんは、Umenogummiです。


今日は冒頭の虚無感が今日の私の気分とぴったり合った気がしたので、こちらの短編です。



檸檬/梶井基次郎



あらすじ


京都で複数の友人の下宿を転々として暮らす私は、空虚な想いを抱えていました。その日もいつものように、あてもなく街をさまよい、二条を下った寺町のお気に入りの果物屋で、私は一つだけ檸檬を購入します。

そのあとも私は街を歩きますが、先ほどとは打って変わって、どこか幸福に包まれていました。檸檬の心地よい感触や香りが、ずっと昔から求めていたものかのようにしっくりと来ていました。


そうして私は、最後に丸善に立ち寄ります。




感想


私の複雑な心境や物の描写が事細かで美しいです。

お気に入りの果物屋の好きな時間帯の情景は容易に想像できるし、檸檬の描写は実際に手に取っているような、実際に爽やかな香りがするようなリアルさです。


出来事としてはほんのわずかなことで、箇条書きにしたらなんてことはない話なんですが、その巧みな描写に引き込まれ、読ませる作品に昇華しています。


どこか清々しい気持ちになれる作品です。


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