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68冊:親を、どうする?/小林裕美子

こんばんは、Umenogummiです。

いつかくる家族の老後や介護問題に切り込んだ作品です。


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親を、どうする?/小林裕美子 作・滝乃みわこ 原作協力


おひとりさまのカスミ
共働き夫婦・ハルカ
シングルマザーのサヨ

三者三様のライフスタイルから年老いてゆく家族の「終活」を見つめます。

おひとりさまのカスミは半身不随で入院している父方の祖父を見舞いに行きます。
昔はタヌキのようなおなかをしていた祖父も、入院してからはすっかり痩せこけ、自分は祖父に似ていたのだと知るカスミ。
母は腰を悪くし、カスミに祖父の洗濯物を取りに行くよう頼みます。
その時、カスミは思います。

人は順に歳をとっていく

めんどうをみたら、今度は自分がめんどうをみられていくもの

やがて祖父が死に、父が「お父さん」と呼びかけるのを聴き、カスミはいずれ父と母もこうして死んでゆくと感じるのでした。


ハルカは足の悪い義母の世話をしながら、働いています。
昼間はヘルパーに見守りをお願いし、夜は帰宅した夫とヘルパーの書く連絡ノートを見ることが日課となっています。
足は手術をしたことで少し良くなりましたが、やがて認知症と思わしき兆候が見えてくるようになります。夫や義母と暮らしていない義理の妹は何ともないというので、ハルカは自分だけがおかしいのかと苦悩します。

しかしある夜、義母の行方が分からなくなり夫と二人、ハルカは義母を探しに行きます。
「友達にダンスの発表会に誘われたが道がわからなくなった」
と義母はいいますが、そんな友人はいません。とうとう夫も認知症と認めることとなりました。

いつまでも親子の関係でいたい
「守る」「守られる」の関係が変わるのが耐えられない
年齢とともに、母の体も心もよわっていっているのに
そのことをなかなか受け入れられない自分がいたんだ きっと

夫は語り、これからは自分が守らないとと決意するのでした。


サヨは父からがんになったと聞かされ、なぜもっと早くに病院へ行かなかったのかと父を責めます。
酒好きで、医者に止められているにもかかわらず酒を飲む父。それを止めるサヨとのいさかいを止めるのは、中3になるサヨの息子の役目。

父は手術をしますが、胃や肺にも転移が認められ、余命半年と宣告されます。離婚した母もかけつけ、最後にはいい関係に戻ることができたようです。

病室で父はサヨにしみじみ告げます。

ある意味オレは幸せ者だと思う
うっかり事故で死んでしまうより
こうして家族と語り合いながら死んでいけるもんな

父の死後、写真が趣味だった父の写真ファイルを見ると、「俺の一番の宝」というフォルダが見つかります。
サヨが掃除する姿、テレビを見て笑っている姿、息子が難しい顔をして勉強している姿、最後に4人で撮った写真…。


誰の両親もいつか、死んでゆきます。それは避けられないことです。
でもだからこそ、親孝行をしたり、何か思い出を作ってゆくことが大事なんじゃないかなぁ。
人生ももしかしたら折り返し地点に来ていることに気づき、会社の上司から「親孝行するように」言われた今日、この親や家族の終活に向き合う作品を紹介しようと思いました。


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