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180作目:空飛ぶモグラ/森屋シロ

こんばんは、Umenogummiです。


今日は読み切りのマンガ作品です。




空飛ぶモグラ/森屋シロ 作


地球は酸性雨が絶え間なく降り注ぎ、人類は生き延びるために地下へと逃げました。地下に作った東西南北の4つの国のうち、すでに2つは海水に沈み、そして主人公・シエラが暮らすイーストホールもまた、間もなく地上からの海水に飲まれ、滅びようとしていました。

生き残る方法は、唯一残った隣国に逃げること。しかし隣国へ行くには査証が必要で、その査証がもらえるのは一部の人だけ。査証問題はイーストホールの治安を急激に悪化させていきました。


3年前家を飛び出したシエラは、3年ぶりに父親からの電話を受け、今後の話をしに実家へ戻ることにします。整備士をしている父親は、幼少期に父親とともに飛行船で地上の空を飛び、人類が生きられる場所―パシフィスを見たと語り、足の悪い父親はパイロットになれないため、ともにパシフィスを探す同志を探していました。シエラはそんな幻想を語る父親に嫌気がさし、母親が死んだことがきっかけで家を出ました。


実家に戻ったシエラを迎えたのは飛行船・シルバーモル号と父親の遺伝で足が悪く、少し頭の足りていない妹・リコでした。父親とも再開し3人で食卓を囲みますが、またパシフィスの話をする父親に、シエラは反発します。



読み切りとは思えないほど読みごたえのある作品です。およそ90ページあるのですが、まったくだれることなく美しいラストに着地します。登場人物はごくわずかで、素直になれない親娘と、回想で出てくる亡き母、純真無垢な妹。あとはテレビのアナウンサー?が国の惨状を報せています。

アイキャッチ、冒頭数ページ、メインと異なった絵柄を使い分けており、森屋氏の技術の高さが伺えます。


こちらは読み切りですが、森屋氏はジャンププラスで檻の中のソリストを連載しています(現在は休載中)
ご病気とのことで、1日でも早い回復をお祈りいたします。

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