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思いを伝える

私は今お付き合いしている人がいる。
まだ交際期間は間もないのだけれど、その人のとても好きなところがある。

それは、言葉にして伝えてくれること。

「かわいいね」「好きだよ」「尊敬しているよ」「頑張ってるね」「怒ってる?」「ごめんね」「ありがとう」

ぽんぽん言葉が口から出てくる素直ぶりに、私は大いに感動してしまった。私はどちらかというと、思っていることをなんとなく渋って飲み込んでしまったりすることが多いので、彼のことを思いを伝える天才だと思ったし、それができる人はなかなかいないと思うので、本当に尊敬している。

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私は、中学3年生の頃「思いを伝える」という表題の作文を書いたことがある。

90歳目前となった祖父は体が不自由になり、病院に入院し、祖母はそこに通い介護の日々となった。祖父はとても気難しく口下手な性格で、普段祖母に対して感謝の思いを伝えることなどなかった。そのうちに祖母も心身ともに疲れ、喧嘩も増え、まさに老老介護の問題を目の当たりにしているような日々だった。

ある日祖母が病室に行くと、部屋の隅に一通の手紙が置いてあった。

そこには覚束ない字で「I love you」と書かれていた。
不器用な祖父は精一杯の思いを、照れ隠しからか英語にして祖母に伝えたのだ。

2人の関係はそこから少し変わり、喧嘩もしなくなり、病院へ向かう祖母の足取りが軽くかったのを感じた。

たった一言の思いを伝えるだけで、こんなにも人の気持ちは変わるんだ。思いを言葉にして伝えることって本当は非常に大切なことなのかもしれない。

そう感じた孫の私が文章に書き留めたのがこの作文だった。
この出来事を、なんとなく思い出した。


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彼が私に素直に思いを伝えてくれることは、私に自信を持たせてくれるし、彼の気持ちがわかるので、自分がどうしたらいいのかも教えてくれて、不安になることも少ない。

私は今、彼を見習って「素直化計画」を実行している。
彼に対してだけではなく、接する人にできるだけ素直に気持ちを伝えてみようという計画だ。お互いに思いを伝え合うことで本当の意味で分かり合えるのではないかと思っている。

それを示してくれたおじいちゃんや、改めて感じさせてくれた彼に大いに感謝したい。

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