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『 仙とん(仙川とんかつ)2022 』

  今日は久しぶりに仙川(東京)に行ってきた。
この町は俺が学生時代を過ごした桐朋のある町だ。

数年前に来たときにも驚いたのだが
すっかり町が様変わりしている。
駅前にはロータリーが出来て、その先には
小洒落たショップが軒を連ねている。

あの頃あった連なる畑など当然消えている。
大学も調布に移ってしまったようだ。
ま、その駅前にあるとんかつ屋「仙とん」で
ドイツから帰国中のピアニスト・松下佳代子さんと
ランチの約束をしたので仙川にやってきた。

このとんかつ屋は僕らの頃、
そう、1970年代には線路向こうの路地にあった。
桐朋オケのちょい悪どもがいつもたむろいていた。
あの時代は「食う」といえば
「仙とん」、レストラン「アラスカ」、
町中華「代一元」、ラーメン「源平」などだった。

今、その「仙とん」は
駅からすぐのところに移転していた。
あの頃の大将は今年の夏に亡くなったそうだ。
今はよく似た息子が引き継いでいる。

ここは桐朋の才能教育に通っていた佳代さんにも
懐かしい店の一つだという。
それならば、と
ここでのランチとなった。

このところ、
カレーとトンカツが食いたかったので
俺はメニューに「平日のみ」と書いてある
「カツカレー」を注文した。
佳代さんはロースカツ定食。
よしえさんはカキフライ定食。
ついでにビールも注文した。



松下佳代子さんはこの夏に
夫の世界的チェリストThomasさんを亡くされ
傷心の内での帰国ツアーとなってしまった。
そして、なんと!!
ツアー中にドイツでの愛猫カンちゃんも
亡くなるという悲報にあうのだ。



しかも、元々
身体にトラブルがある佳代さんは
草津(滋賀県)では来ると思っていた
「駅のホームまでの迎え」が来ず、
改札へ向かう途中に
なんと転倒してしまい
足や頭を打つ怪我までしてしまったのだ。

その数日後に予定していたエアジンでのライブコンサートは
残念だがキャンセルをするしたなかった。



佳代さんは東京にも住居があったのだが
今回の個人的なことも含めて日本を引き払い
完全にドイツのデュッセルドルフを拠点にした生活を決めたようだ。
今回の怪我などでのエアジンLiveキャンセル分は
来年の秋にブックすることになった。

食後は3人でぶらりと町を散策し、
昔はなかったお洒落な喫茶店に入り
珈琲とケーキを食べながら
ドイツ生活や音楽のことなどを話して
楽しく午後を過ごした。

これからは女ひとりでドイツの音楽家生活だ。
色々と大変だとも思うが
「実は歌曲の伴奏も予定してるんだ」
と新境地に挑む心意気なども話してくれた。

とにかくあれだけ大変なことになっているのに
佳代さんは明るく元気な笑顔で僕らとの時間を過ごしてくれた。
それどころか俺の坐骨神経痛を心配して
「うめさん、大丈夫?」
とか言われる始末だった。
佳代さん、たくましいな。
少しだけ、安心した。

とにかく、また来年
お互いに元気で会えることを約束して
仙川の駅で手を振った。

じゃあ、また来年ね。

 うめ。2022.11.22


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