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『 複視 / FUKUShi 2022』

 「うめもとさん、複視ですね」
「は?」
「うめもとさんのは
乱視ではなく"複視"です」
「え?トンボと同じなんですか?」
「あ、あれは複眼です」

最近、
shezooの名曲『moons / 2つの月』のように
東西ほどに離れてはいないが
月がダブって見えるので
近所の眼鏡屋を訪ねた。

検眼の結果、
上下にダブって見えるのは
「乱視ではなく複視」
という症状らしい。

「うめもとさん、
これは目の問題の場合もあります。けど、、」
「けど?」
「脳かも知れません」
目医者に行くより先に
脳の専門医に検診を受けて下さい。
と言う。

「ぎょへ、脳かあ。Oh , NOOOO~~~!!!」
考えてもいなかったので思わず笑ってしまった。

メガネを作りに来ただけなのに
急いで大病院へ行けという。
これは意外な展開となった。

実は右目を10年ほど前に
網膜剥離(mo-maku hakuri)手術をしている。※1
その後遺症の可能性もあるが。ということだ。

脳神経外科と言ったら
横浜市大病院のDr.S大先生が知り合いなのだ。

「やったな、うひひひ」
などと思い早速、相談をしようと思ったら、
なんとその日は4月1日だったのだ。
そう、エイプリルフールの日だ。

そんな日に
「先生、実は脳に問題があるらしいので
早急に検査などして欲しいのですが」
などど、メールしようものなら
「はははは、はい、はい」
とかジョークと思われてスルーされるのが落ちだ。

仕方がない、
翌日の4月2日にメールをした。

検査は4月4(月曜日)。
MRIで脳の「血管に欠陥」があるか写真を撮って貰った。
ご存知の方も多いだろうが
あのガンガン、ゴンゴンと爆音で有名な検査だ。

俺は過去4、5回体験してるので
耐え切る自信は充分にある。

検査は地下2階だ。放射線だからな。
「そこで着替えてください」
可愛らしい女性のMさんが優しい声で指示をしてくれる。
「脱いだ服はその2番ロッカーへ入れてくださいね。」
「あ、下着は履いたままで大丈夫です」
そりゃそうだろうな。
頭だけ撮るMRI検査だからな。
パンツを脱ぐ必要はない。

「では、始めますね」
頭を動かさないよに。
と注意されるが、ガッチリとガードされていて
普通の人間なら動くことなど出来はしない。
それをあえて注意するということは
過去にゴリラのようなヤツがいたに違いない。

ヘッドホンを付けられて固定されていたのだが
なんとこのヘッドホンから音楽が流れて来た。
しかもドビッシー亜麻色の髪。
かなりの音量だがやっぱ名曲だなあ。
これで
ガッタン、ゴットンを消し飛ばそうってことだな。

お、始まったようだ。
遠くで カッタン コットン と鳴っている。
「こりゃ、スゴイな」
などと思っていると音楽がバッハに変わった。
なかなかいい音だ。
あとでどこのヘッドホンなのか聞かなくては。

「最後に喉の撮影です。
5分程度ですからゴックンしないで下さいね」
こう言われるとゴックンなど考えていなかったのに
急にゴックンしたくなる。

必死にゴックンを我慢してMRI検査は終了した。

検査結果の診断は1週間後となった。
それが今日だ。

昼少し前に診断が始まった。
Dr.S先生がパソコンに映る俺の脳血管写真を
グリグリと回し見したあと、
「全然、問題ないですよ」
過去に血管がブチ切れた痕跡もないし
これからも危なそうな兆候も見当たらない。
だから、問題はない。と言う。
「そうですか、
ありがとうございました」

では、
「またエアジンでお会いしましょう」
そう言って診療室を出た。
何となく予想はしていたが
何だか拍子抜けの気分ではある。

あとは会計だ。
大病院ってところは大抵ひどく待たされるのだ。
だから、
俺はいつも待ち時間を利用して食事に行ったりするのだ。

今回の横浜市大病院は
地下鉄「阪東橋」から徒歩で数分のところにある。
あ、ちなみに
「横浜市・大病院」ではなく
「横浜市大・病院」なので誤解のないように。

そして、
数年前に舌ガンの手術をしてもらった
「海の見える」市大病院とは別の病院だ。
ここは横浜の下町らしく洋食屋、町中華、
ちょっと歩けば「よこはまばし商店街」もある。

前回は町イタリアンの「まろん」で
Dr.S先生オススメのスパゲッティアラビアータを食った。

イタリア製のフライパンごとテーブルに出てくる。
この店の自慢料理のようでなかなか美味かった。
で、
今日はやはり「医大通り」にある 
町中華「うらふね」に入った。

昼時ということもあるのだろうが
賑わっている。
ネットでも好評判の店だ。

「日替わりランチ750円
タンメンと半チャーハン」
と店先に看板が出ている。

じゃあ、ってんで
それに決めて店に入った。

大病院のお膝元だからだろうか
タンメンが塩分控えめになっていて笑えた。
いや、充分に美味いのだが。
その埋め合わせだろうか
ビールの付け出しに出てきたメンマは
しっかりとした味付けになっている。

チャーハンは見ての通りだ。美味かった。
この店が人気なのがよくわかる。

ともかく
Dr.S先生に
「とりあえず問題なし!!」と
太鼓判を押された。
せっっかく会員証(診療券と言うようだ)を作ったのだが
あまりお世話にならないようにと思いながら
病院を後にした。

ドクターS先生、
診察、ありがとうございました。
これで、一安心で打ち上げができます。

うめ。
 2022 apr.11th

阪東橋駅そばの小さな公園には
まだまだ桜がキレイに咲き誇っていた。

「街の中の大病院」



※1  昔の網膜剥離を手術した時の日記
「いま、ふたたびの入院」

あの時の俺。笑


新調したプリズム入りの跳ね上げ式メガネ。

エアジン恒例の
横浜国際なんでも音楽祭2022<春>
全プログラム(4/29~5/29)
https://www.facebook.com/events/526225598853425


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