井戸
砂漠の美しさはどこかに井戸を隠しているからだよ
砂漠が美しいなんて思ったことなかった
どこまでも続く乾いた砂の世界は、
子供のころの私にはとてつもなく怖かった
いま、この、言葉を、じっと感じてみると
砂漠の砂が月あかりに照らされ金色に輝きだす
命が存在しないというのに、絶望的な風景だというのに
あるかないかわからない「水」が必ずある
それがわかる、見えないけれど…
見えない心の井戸の中
静かに湧き上がる透明で冷たい水で洗う
深い深い悲しみ、
感覚がなくなってしまうほど、気の遠くなるような痛み
そのことについて、語ることはなくても
その人の美しさとなって
見えないようで見えている
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