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スーパー・ローカル

地方遊びをするようになったのは、30歳の頃だったと思う。

27歳で独立し、30歳になる頃には少し経済的な余裕もでき、19歳で上京した東京でも10年過ごし、ミーハーなので東京出身者以上に(雑誌などを片手に)東京に詳しくなり、東京を満喫していた。

流石に30歳の頃に「もう東京は、十分満喫したな」と思うほどではなかったが、地方に目が行くようになり始めた。


京都

最初は、京都だった。京都が好きなヒトと訪れたのがきっかけで、その後、一人でもよく訪れるようになった。

30代では実家がある北海道よりも、京都に赴く回数が明らかに多く、第二の故郷感すら勝手に抱いていた。30歳の頃には、町屋の一軒家を一人で1ヶ月借りて、デュアル・ライフを試してみたこともあった(結果として、デュアル・ライフはクリエイティビティよりも、疲れるな。という結論に至った)

京都は多い年は年6回、少なくとも1回は訪れた。大抵、春と秋は気候が良いので訪れることが多く、真夏の暑さは危険なので、人に誘われたレストラン以外の用事で訪れることはない。

京都以外の主要都市

主要都市には、一通り行った。

札幌は実家が旭川であることもあり、札幌経由で一泊してから帰省したり、ビジネス・カンファレンスで年に一度訪れることもあった。

名古屋や大阪も何度か行ったが、特に惹かれるコンテンツがなく、あまり好みの街ではない。

神戸は案外好きで、30代のうちに5回行った。珈琲が好きで、北野坂の日本初の元会員制喫茶店で飲むのが(雰囲気的に)格別だと思い込んでいた。洒落たBARも二つある。

広島は立ち寄った程度。

福岡もビジネス・カンファレンスで年に一度訪れたり、鮨目当てで訪れることが度々あった。

沖縄は僕は普通の人よりは好きではなく、本島と宮古島で30代のうち4回しか訪れていない。

金沢は京都の次に好きな街で、美味しいレストランが多い。10年で12回、平均すると最低年1回は行っている。11月から3月の、蟹の時期に赴く機会が、やはり多い。

スーパー・ローカルとは

前置きが長くなった。上記はあくまで「主要地方都市」の話である。

今日の主題は、「スーパー・ローカル」。いわば、地方主要都市ではない街だが、面白いコンテンツを彼の地に見出すことで、その体験が強烈となることを、示す。

京都や金沢はもう僕にとってはある種、ルーティン的な年に数度の風物詩であり、実家への帰省のような感覚になっている。


上京した時、「東京って、どんなとこだろう?」と誰かに聞いたら、「札幌がたくさんある感じだよ。5,6個くらい」と言われて、聞いた時はピンと来なかったが、上京してすぐにその感覚がわかるようになった。渋谷や新宿、銀座や六本木が、それぞれ札幌の中心部のような一つの大きな街だ。

その感覚が今や自分の中では全国に拡張されていて、20代の頃は渋谷に住んでいた時期もあったのに(自身の会社の所在地もずっと渋谷なのに)京都の方が近いな。新幹線も快適だし。と思っている。池袋は、心理的には福岡より遠い。

主要都市巡りが一巡した中で、新たな刺激を求めて、僕は数年前から。厳密には2021年(36歳の時)から、主要都市ではないが、何やら面白そうなコンテンツがありそうな、「スーパー・ローカル」の世界へ足を踏み込み始めた。

基本的にはご飯が好きなので、レストラン目当てに日帰りで行くことも多い。地方都市には率直にいうと泊まる価値があると思えるホテルがないことも多く、それなら自宅で寝たいから、日帰りするまでだ。

この記事では、僕の今までのスーパー・ローカルの思い出と、企画中のプランを紹介したい。

鳥取といえば🦀蟹

インパクト強めのスーパー・ローカルといえば、鳥取。2020年に初めて行ったが、蟹専門店の「かに吉」には3回行った。

もう価格が高騰しすぎて行く機会がなさそうだけど(自分の体験では1人最大10万円程度だったが、今は20-30万円)そこまで蟹が好きではなかったけど、「今まで食べていた蟹はなんだったのか」と開眼した体験だった。

気持ち悪い喩えが得意な僕は「高知時代の広末涼子のようなピュアな蟹」と称し、友人たちにプレゼンしていた。都会ではない、地方の美人女子高生の代表的な表現をしたつもりだ。

筆者撮影:かに吉の蟹

かに吉は知名度を上げ、プライベートジェット?で訪れる有名人も増えているらしい。鳥取砂丘もしょぼいし、ここにいく以外にやることがないのが少し辛いw

熊本のインスタ映え風呂

インスタで「#竹ふえ」で検索すると、けしからん画像がたくさん出てくる有名な旅館「竹ふえ」に訪れた。総工費2億円らしい、大きな野天風呂が(確か泊まった部屋によるはずだが)1時間貸切にできる。

筆者撮影:竹ふえの貸切風呂

このスケール感の貸切風呂はなかなかない(泳げるほどの広さ)のと、竹をバックにして、垢BANギリギリのショットを載せるインスタグラマーの気持ちもわからなくはない。

松山のスイートルーム

愛媛の松山には二回行った。リトリート青凪の「青凪スイート」からの見晴らしは凄まじい開放感で、好きな景色だった。

筆者撮影:リトリート青凪「青凪スイート」

ちなみに、「くるますし」という鮨屋も美味しくて、気がつけば食べログシルバーで4.35(2024/3/8時点)まで点数を上げてきている。瀬戸内海ならではのお魚で、白甘鯛の美味しさが印象的だった。

筆者撮影:くるますしの白甘鯛(多分w)

飯田の熊鍋

長野県飯田市。東京からのアクセスの悪さはかなりのもので、品川発だと陸路で行くと最低3.5時間程度はかかる。

初回は幸運なことに、友人のヘリで行くことができた。ヘリがなければ、陸路がきついので腰が重かったが、陸路からも行ってみたところ、案外行けなくもなかったw

筆者撮影:「柚木元」の熊鍋

熊鍋は滋賀の某店でも食べたことがあったが、初回は小熊だったからか、それをも全然上回るインパクトで大満足。熊の時期に二回訪れたが、山菜や松茸の時期にも興味があるし、春の花山椒熊鍋にトライしたい。

こちらも初訪問時は食べログシルバーだったが、今年ゴールドに昇格した。訪問した人が増えたのだろう。

伊勢で食べる江戸前鮨

最近、伊勢に10年ぶりくらいに行った。しかも、日帰りでw

友人おすすめの鮨屋「こま田」が、都内で食べる以上に綺麗な江戸前鮨に思えて(個人の感想です)で、すっかり惚れてしまった。

筆者撮影:「こま田」の鮪

なんとも食後感が綺麗で、都内に戻るには終電が2016にも関わらず、必ず再訪したい。キャビアを乗せるような鮨とは真逆の、引き算の極みみたいな鮨だった。この穴子の詰めの薄さからして、品が良いと感じた。

筆者撮影:「こま田」の穴子

伊勢市から少し足を伸ばせば伊勢志摩にアマネムもあり、立地の不便さがなければ、サイクリングできたりもするし、サーマルスプリングの迫力もあり、好きな人が多いホテルであろう。

筆者撮影:「アマネム」のサーマルスプリング

近々、天気が良ければ賢島の鮨屋に、友人がヘリで連れて行ってくれるらしい。

その他の訪問済スーパー・ローカル

写真を使わずざっと箇条書きで書いていくと

ニセコ:最早スーパー・ローカルの代表だが、個人的にはスキーをしないので、そこまで惹かれない。坐忘林の系列のシグチに泊まったので、次は坐忘林に泊まってみたいかな。という程度。

秋田:グルメツアーで秋田市に行ったが、むしろ田沢湖の乳頭温泉の方が最寄駅から宿までスマホが繋がらない電波環境も込みで、思い出に残る。

新潟:新潟市よりは、最近一人で行った村上市の「新多久」と、燕三条の鴨「長吉」が印象的。特に鴨焼肉は人生で食べた鴨の中ではダントツに美味しくて、また11〜12月のシーズンに伺いたい。

那須:最近NOT A HOTELに行ったので、参考記事を置いておく。

軽井沢:万平ホテルのクラシカルな雰囲気が好きで何度か行ったが、今年リニューアルオープンなので、久々に行きたい。最近人気の「Naz」に行ってみたいので、誰か誘って欲しい。

静岡:実は近年ハイエンド・レストランで注目度が上がっている。静岡市の天ぷらの「成生」、鰻の「瞬」、焼津の「温石」、浜松の「勢燐」に伺いましたが、いずれも食べログゴールド。静岡は日帰りしやすい距離でもあるので、案外日帰りグルメデートに向いていると言える。

旅館では修善寺に「あさば」がある。旅館の中ではダントツで食事が美味しく、新緑の季節に雅な雰囲気を感じることもできた。

訪問予定のスーパー・ローカル

松本:本が好きなので「松本本箱」に泊まって本を漁りつつ、鰻や蕎麦を食べ、夜はBARで楽しみたい。一人で読書合宿のつもりで行くには良いのではないかと思い、体験が良ければ数年に一度のルーティン化できそうな感じも。

奈良:修学旅行以来訪れていないが、気になるBARがある。今春の京都のホテルはインフレが激しいので、京都で夕食を食べ、奈良に移動してBARで飲み、奈良に泊まり、翌朝蕎麦を食べて帰る。というプランを作った。

気になるスーパー・ローカル

他に候補案としてあるのは

島根:鮎が有名な「美加登家」を訪れる

木曽:アクティビティ豊富な「Zenagi」に泊まる(グループが楽しそう)

など。(追加したい)


スーパー・ローカルは、基本的には彼の地でしか手に入らないものを上手に料理してプレゼンテーションしている。プレゼンもまた上手だったりする。

新鮮な食材はそれだけで優位性がある場合もあるし(蟹や朝採れの筍など)、温泉や景色、気候などもそうだろう。

東京で味わえるものを地方に求めることはなく、その地方ならではの体験の追求こそが、スーパー・ローカル成立の条件に必要不可欠である。

個人的にはローカル駅の土産物屋を物色して時間を潰すのも好きで、「こんなお菓子あるんだ(注:僕は甘党)」と発見して、楽しんでいる。

人によっては海外至上主義の人もいて、海外を必要以上に持ち上げ、なぜか日本を貶す?日本人もいる。

その真理が僕にはよくわからない。穿った見方をすると、海外コンプレックスなのか?とすら思う。

海外の人が日本を好きなって再訪する際は、東京や京都だけではなく、よりディープな地方を巡る人も増えていると聞く。

僕の地元・旭川の近くには美瑛や富良野もあるが、近年の外国人旅行客の増加は凄まじいそうだ。


何が言いたいかというと、地方って結構面白い。特に、エッジが効いたコンテンツを持つ地方はスーパー・ローカルといえ、東京や主要地方都市に飽きた人は、スーパー・ローカルをdigる(掘る)という遊びを結構楽しんでいるよ。という話である。

地方遊びや、スーパー・ローカル遊びに慣れている人はフットワークも軽い。サクッと日帰りで遊びに行ったりする。桃鉄でいうと、文字通り新幹線カードを使えばサクッと行ける。みたいな感覚だ。

スーパー・ローカルに興味を持ち、そういう遊びに付き合ってくれる人が増えるといいな。と思い、書いてみました。

今回はコメント欄を開放しておくので、もしおすすめのスーパー・ローカルがあれば教えてください。(スーパー・ローカル=エッジが効いたコンテンツを持つ、主要都市ではない地方都市とそのコンテンツ)


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