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上方漫才参考文献その1:1980年代まで

というわけで、上方漫才関連の参考文献、ざっくりと1980年代までをいくつか挙げたいと思います。
  
『かみがた演藝 漫才太平記』、吉田留三郎、三和図書、1964
『笑話の時代 立ち読み演芸館』、織田正吉、のじぎく文庫、1968
『遊芸稼人 アチャコ泣き笑い半生記』、花菱アチャコ、アート出版、1970
『秋田實 名作漫才選集 1~2』、秋田實、日本実業出版社、1973
『上方まんざい八百年史』、前田勇、杉本書店、1975
『私は漫才作者』、秋田實、文藝春秋、1975
『大阪の笑芸人』、香川登志緒、晶文社、1977
『上方笑芸見聞録』、長沖一、九藝出版、1978
『まんざい風雲録』、吉田留三郎、九藝出版、1978
『漫才世相史』、小島貞二、毎日新聞社、1978
『まんざい-大阪の笑い-』、井上宏、世界思想社、1981
『大阪笑話史』、秋田實、編集工房ノア、1984
『笑いの戦記 「笑の会」の全記録』、笑の会出版部(編)、創元社、1985
『漫才作者 秋田實』、富岡多惠子、筑摩書房、1986
『昭和上方笑芸史』、三田純市、學藝書林、1993
『太夫才蔵伝-漫才をつらぬくもの』、鶴見俊輔、平凡社ライブラリー、2000
 『昭和の漫才台本 1~5』、秋田實(著)、藤田富美恵(編)、文研出版、2008

いくつか補足しておくと、これらの著者は基本的に戦前・戦後世代です。秋田實は上方漫才の父的存在である漫才作者です。東大出身で、横山エンタツ・花菱アチャコのブレーンとして吉本興業に入りました。その盟友が長沖一。吉田留三郎は京大出身だったかな。
 
基本的に、上方漫才界は、戦前から戦後にかけて、エンタツ・アチャコを頂点とする漫才師たちと、秋田實を中心とする漫才作家たち(インテリ系)の両輪で回っていたんですね。この構図が崩れたのが1980年頃です。漫才を自作する人たちが増えた。
 
香川登志緒はご存じの方もいるかもしれません。ダウンタウンの才能をいち早く見抜いた人として知られています。
 
三田純市さんの本はいい本ですが、トミーズやハイヒールの漫才に言及しながら、ダウンタウンを無視するという、どうして?と思わせる著作です。三田さんはダウンタウンのことを認めていなかったのかな?
 
「笑の会」は、上方漫才の歴史のなかでは重要な研究会だと思います。実は、マンザイブームは、この研究会から発生したのです。またどこかで紹介したいと思います。
 
あと、上方の漫才師の自伝って、皆無なんですよ。おそらく花菱アチャコのものしかない(エンタツさんも少し書いてるけど)。ほんとに資料がない。これに対して、漫才作家の秋田實の方が自伝を著していたりして、漫才師と漫才作家の立場が逆転しているような印象です。これも重要なことだと考えます。
 
また折を見て詳細に書いていきます。では、また次回。(梅)

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