虚像

主人公 名前 小川 遥 
             女子大生 19歳 
    大学は県外なので一人暮らしをしている。

「痛い…」
昨夜、マンションの階段で、転んでコンクリに身体を強く打った。鏡を見ても特に見た目に変化は見られなかったので、自然に痛みは引いていくだろうと思いそのまま寝た。
朝起きて、体を起こした瞬間に激痛が走った。とてもじゃないが我慢できる痛みじゃなかった。
だが鏡を見ても何も変化はない。でもどこか折れてたりしたらと思うと怖くて、大学を休んで病院に行った。
足の骨にもヒビが入っていて、鼻も折れていた。あとは数ヵ所あざができていたらしい。
足はまだしも鼻って折れても見た目に変化ないんだなと思った。
1週間ほど入院することになった。
時間が経ったからなのか、入院している時に鏡を見たら顔と手足があざだらけで、ほとんど紫色になっていた。
退院間近になってもあざは最初の時よりはマシになっていたが、まだ残っていた。
鼻にはギプスがしてあり、顔と手足のあざもまだ残っている。
これから松葉杖生活が始まるのかと思っていたら部屋に着いた。
部屋の片付けなどいろんなことをしている時に鏡の前を通った。
「ん?松葉杖持ってるよね?今」
鏡をもう一度見た。
鏡に映った自分は松葉杖もせず自力で立っていた。
それに鼻にギプスもしていない、どこにもあざがない。
そして笑っている。

「あれ、今…私笑ってるっけ?」

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